ある日の休日
桃side
この服いいじゃん、とソファーへ座りネットショッピングに夢中になっていると風呂から凄い音が聞こえてきた
何事かと思い風呂場へ足を運ぶ
そういえば赤が入るとかなんとか言ってたな
桃『赤ー?大丈夫か』
こんこんこんっとノックをしても応答がない
少し焦って鍵の空いたドアを開けると手首から血を流しながら床へ倒れる赤がいた
桃『あか、聞こえる?』
桃『返事して』
赤『ぁ、ぅ…』
桃『意識はギリあるか、』
辺りを見渡すと浴槽の中にカミソリが沈んでいた
赤はいつもカッターを使っている
なぜカミソリを?
とりあえず処置をしようと裸の赤にタオルを巻いてから抱いてリビングのふかふかのカーペットの上に寝かせる
手首にガーゼを当て強く握ると血がだんだん止まってきた
血が止まる頃には赤の意識はしっかりしていて俺が掴む腕を見ながら顔を顰めている
桃『よし、止まった』
赤『、、、』
桃『どうしてあーなったか言える?』
赤『おこらない、?』
桃『場合によっては怒らないよ』
俺の”場合によっては”に怯えながらもゆっくり話し始めてくれた
毛を剃ろうとしたら切りたくなったらしい
だとしてもあの出血量で倒れるとはとてもじゃないが思えない
桃『そっか、とりあえず風呂場であのカミソリを使うの禁止』
桃『T字のやつ使って?』
赤『わかった、』
倒れたのは何か別の原因があるんじゃないか、そう思った俺は赤の様子をよく見ることにした
・
別日
桃『赤おはよ』
赤『うん、』
桃『今日はどんな感じ?』
赤『多分大丈夫、』
桃『そっか、朝飯食いに行こ?』
赤が返事をして立った瞬間急に頭に手を置き眉間にしわを寄せた
桃『だいじょ、』
赤『ぅあ、…』
バタッとベットへ倒れてビクともしない赤に焦り急いで脈を取る
桃『大丈夫かー?俺の声聞こえる?』
2分ほど経つと徐々に回復したのか目を開けゆっくり体を起こす
桃『俺の目見れる?』
赤『ぅん、』
赤『…きもちわるい、』
桃『吐き気?』
赤『ぅ、』
こくこくと頷く赤を見ると唇が真っ青になっていた
とりあえず吐いてもいいようにゴミ箱を持たせて、自部屋にある医療バックから血圧計を取り出し赤の腕へ巻いた
桃『血圧図るぞ』
ピピッと音がして数値を見ると思ったより低かった
桃『低いなー、』
桃『めまい?それとも立ちくらみ?』
赤『たぶん、立ちくらみ…』
桃『そっか、』
桃『この前風呂で倒れた時もこんな感じだった?』
赤『ぁ、うん、そう、、』
桃『うーん、前はこんなことなかったもんなぁ、』
赤『もう大丈夫、』
桃『うん、唇の色も良くなってきてるな』
桃『支えるから立ってみ』
赤の腕を持ちながら一緒に経つと一瞬目を顰めたが平気そうだった
・
赤side
朝から気持ち悪いし頭くらくらするし最悪…
桃『今日は出勤だから青がくるんだけどもしもう一度なったら外来おいで』
桃『もしかしたら薬が合ってないんかも』
赤『わかった、』
数十分後、青ちゃんが家に来て桃くんが出発前に多分俺の状態を話してくれた
青『赤くんおはよ!』
赤『おはよ、青ちゃん』
青『話は聞いたよ、大変だったね、今日はテレビとかYouTubeとか見てゆっくり過ごそう!』
青ちゃんの底なしの元気さでいつも少しだけ俺も元気が出る
青ちゃんとテレビを見ているとだんだん心がモヤモヤし始めた
リストカットをしたくて部屋に行こうとゆっくり立ち上がるとまたも立ちくらみが、、
でも、今朝より酷くないため青ちゃんも気付いていなさそう
ソファーから移動すると青ちゃんにどこへ行くのが聞かれてトイレだと伝えるとなぜか着いてきた
トイレじゃないんだけどな、
自部屋につきドアノブを開けると青ちゃんも入ってくる
赤『青ちゃん出てって、』
青『ごめんねえ、腕を切らないように見張ってって言われてるんだ』
赤『なんで、』
青『まだ何が原因で倒れちゃってるのか分からないし、出血で倒れたら危ないからさ、』
観念してまたソファーに戻る
赤『はぁ、、』
青『今もやもやしてる?』
赤『ぅん、すごく切りたい、』
数ヶ月前からこの切りたい衝動に走る時の気持ちをもやもやと呼んでいるから直ぐに伝わる
青『音楽聴く?それとも、、動画見る?』
青『ちいかわ最新話でたらしいよ?』
俺の好きなことを沢山候補に出してくれる青ちゃんの愛が心地よくて涙がでてきた
青『どうしたのー、大丈夫大丈夫』
そう言いながら俺の背中を摩ってくれた
・
青side
泣き始めた赤くんの背中を摩っていると、こてんっと赤くんが僕に体を預けてきた
寝ちゃったみたい。
ソファーに寝かしてブランケットをかけてあげて僕はテーブルの方で記録の作業を始める
桃くんが言ってた倒れる症状はまだ出てないなぁ、出てないことはいい事だけど
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1時間ほど経った時赤くんの体がもぞもぞ動き出した
赤『んぅ、、』
目を擦りながら立ち上がると頭を抑えながら倒れそうになる赤くん、
青『あぶない、!』
ダイニングテーブルに居た僕は赤くんを支えるには間に合わなくて赤くんはソファーの前にあったテーブルに頭をぶつけて倒れてしまった
青『赤くん!赤くん大丈夫?』
赤『、、、』
反応がない、救急車呼んだ方がいいのかな、
赤『ぅ、ぁ、』
青『あ!!良かった、泣』
青『僕が居たのにごめんね、泣』
赤『だぃ、じょぶ、ぅ、』
青『病院いこ、?心配だよ僕、』
赤『、、、』
青『とりあえずおでこ手当しよっか、』
少し切れてしまったおでこに大きめの絆創膏を貼ってあげた
赤『、、、』
青『よし、いくよ』
赤くんをゆっくり立たせて呼んでおいたタクシーに乗せ桃くんの病院へ向かった
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受付を済ませ、待合室のモニターを眺める
赤くんはというとぼーっとどこかを見つめたりウトウトしたりいつもより上の空だった
モニターに524と僕らの番号が出てきて赤くんの手を引く
こんこんっとドアをノックして入ると桃くんが心配そうな顔をして待っていた
青『怖いから連れてきちゃった』
桃『大丈夫、ありがとな』
桃『赤、ベットで寝てていいよ』
桃くんの言葉に素直に従う赤くんを眺めてからさっきの出来事を話した
桃『なるほどなぁ、』
桃『リストカットはしてないんだよな?』
青『うん、止めたからしてないよ』
桃『んーー、新しく追加した薬の副作用が血圧下げるのもあるから一旦それやめて様子見てみるか、』
青『うんうん、』
桃『一応血圧が上がる弱めの薬だしとくから薬局寄っていって』
青『了解!』
桃『あかー、終わったぞ』
1人でゆっくり起き上がって僕が支えてあげると倒れずに立ち上がれた
桃『気をつけて帰れよ』
赤『ぅん、』
僕は赤くんの手を引いて診察室をでた
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お家に帰ってきて赤くんをソファーに座らせる
今からごはん作ろうかと思ったけど赤くん1人にするの不安だなぁ
UVERでいっか、と自己解決して赤くんの傍に僕も座る
青『赤くん大丈夫…?寝とく?』
赤『んーん、もう大丈夫』
青『そっか、、僕パソコンで作業してるから立ちたくなったら教えて?また倒れたら怖いから一緒に立とう…?』
赤『うん、そうする』
いつもより落ち着いてアパシー気味な赤くんの様子を伺いながら残りの記録作業を進めた
1時間程経つと赤くんがバタッとソファーの肘置きの方へ倒れてしまった
焦って様子を確認するとただ寝ているだけで安心、
今日色々あって疲れちゃったのかな
記録も終わって一息ついたら僕も眠くなってきた…
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桃side
今日も残業無しで定時に病院を出る
さすがホワイト病院と胸を躍らせながら家へ向かった
玄関につき鍵でドアを開けると部屋は信じられないほどシーンとしていてリビングの方へ足を運ぶと赤と青が仲良くソファーで眠りについていた
いつもご飯を作って待ってくれてるから今日は余程赤のことが心配だったのだろう
部屋着に着替えてソファー横のヨギボーに座り、2人が起きるまで読書しようとスマホを開いた
・
1時間後
青『んぅ、』
青『あれ、ももくん?』
桃『おはよ』
先に起きたのは青だった
目を擦りながらごはんを作れなかったことを謝ってくるから大丈夫だと宥める
桃『赤はいつから寝てる?』
青『うーん、2時間前ぐらいかなぁ』
桃『夜寝れなくなるし起こすか』
体を揺さぶるとピクっとして瞼が開く
赤『ぅ、ん、?』
赤『ももく、おかえり、』
桃『ん、ありがとう』
目を掻きながら可愛い声でおかえりと言われて今日1日の疲れが吹き飛んだ気がする
桃『今日Uberにしよ、何食べたい?』
赤『お腹すいてない、』
桃『んー、なんか消化にいいやつ食べよ?薬飲めないぞ』
赤『ゼリーはぁ?』
桃『栄養偏るから朝だけって約束だろ』
赤『んぅ、あおちゃぁ、』
青『僕に助け求められてもなぁ笑』
桃『うどんは?お粥?』
赤『だって残しちゃうよ、?』
桃『風邪じゃないんだし俺か青が食べる』
赤『…じゃあうどん、』
桃『おけ』
桃『頼んじゃうね』
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青side
青『ごはんきたよー』
ごはんが届いてリビングへ持っていくと赤くんと桃くんがソファーの上で向き合って手を繋いでいた
赤『ぃや、ッ、こわッぃ、』
桃『大丈夫大丈夫、こっち向けるか?』
青『どうしたの…?』
桃『無意識に目が上向くらしい』
青『ええ、』
確かに赤くんは上を向いていた、
桃くんが赤くんの顔を下げても目は上を向いたまま
桃『うーん、斜視なのかなんなのか、、』
赤『うぅ、まぶしい、、ッ』
青『電気ずっと見ちゃうことになるのか、、』
青『電気少し暗くしてくるね』
電気を少し暗くして赤くんが落ち着くのを待っていると20分くらいが経った
桃『目開いて?』
怖くて目を瞑ってた赤くんの目が開く
赤『、、ぁ、』
桃『治った?』
赤『…た、ぶん、?』
桃『こっち見れるか?』
赤『うん、』
桃『青の方見て?』
ゆっくり僕の方に目を向ける赤くんとちゃんと目が合った
青『目合ったね』
桃『もう大丈夫かな』
赤『大丈夫、』
桃『飯食える?』
赤『うん、』
桃『よし、じゃあ食べよ』
・
桃side
ごはんを食べながら赤の症状の思い当たる節を探す
やっぱり薬のせいか、
桃『赤、』
赤『なに、、?』
桃『多分、血圧下がるのも目が上にいくのも薬のせいかも』
赤『…新しいやつ?』
桃『そうそう、』
赤『だから俺飲みたくないって言ったじゃん、』
桃『ごめん』『でも、副作用が出る出ないは飲んでみないと分からないの知ってるだろ?』
桃『青の記録からして最初は良い効果でてたっぽいし』
赤『は、?、なに記録って、』
あー、言っちまった俺
桃『んー、ここに通ってもらってる日に書いてもらってるやつ』
赤『俺青ちゃんにも患者扱いされてんの、?』
青『赤くんの心が良くなるた、「うるさい!!」
桃『赤、』
赤『俺のせいで青ちゃんも桃ちゃんも休みの日まで仕事みたいなことしなきゃいけないなんてやだよッ!、もう青ちゃん家来ないで!!俺1人で留守番ぐらいできるし!!!』
主張を吐き出すと自部屋へ向かうのだろう、赤はリビングのドアへ歩きだした
青『…ッ』
赤『離してよッッ!!!』
涙目で止める青は、きっとリストカットをさせるなという約束を守ろうとしているのだろう
桃『赤おいで、少し話し合おう』
赤の手を少し強引に引いてソファーへ一緒に座る
赤『薬なんか飲まないから!』
桃『飲ませないから俺の話ちゃんと聞いて』
いつもヒステリックな症状が出ると手に負えないため薬を少し強引に飲ませてるからか、いつの間にか薬への抵抗心まで芽生えてしまった
少し息の荒い赤に一つ一つ理由や思いを話す
桃『今の赤は1人じゃ生きていけない。だから青は少しでも早く赤が俺達無しでも生きれるように通ってくれてんの』
桃『記録は俺が赤の状態を知るため、今回の状態だって青の記録があったから薬が原因だってわかったんだぞ』
桃『赤は今心の病にかかってる。病人ではある。』
赤『でも…ッ』
桃『赤が早く治るように俺も青も記録や診察をやりたくてやってるから申し訳なく思わなくたっていい。』
赤『…ぐすっ、ぅ、』
赤『酷いこと言って、ッ、ごめんなさい、』
桃『んーん、ちゃんとこの事を話さなかった俺が悪いよ』
青『僕もコソコソしちゃってごめんね、』
赤『ぐすっ、うぅ、』
桃『どうする?もう薬飲んで寝ちゃう?』
桃『今日は色々あって疲れただろ』
赤『まだ起きたい、わがままでごめんなさい、』
青『わがままなんて沢山いいな、叶うかは置いといて我儘なんて言ったもん勝ちだよ?』
赤『ぅん、、』
桃『じゃあ、飯の続き食べるか』
赤『そうする、』
青『よし!食べよ食べよ!』
・
薬を変えたら少しずつ症状が治まってきた赤くんでした
END
コメント
3件
めちゃくちゃ好きです……😭😭
ほっっっとに大好きです . 好きとしか言葉に表せない(?? あ、別垢からこめんなさい。 yukataです( 学タブ学校に忘れてきちゃって 本垢からコメントできなくて💦 毎度毎度 . 素敵すぎる物語ほんとにありがとうございます🍀 ̖́-
うん 好きめっちゃ好き もう最高すぎる言葉が出てこない このシリーズ?好きすぎる一生応援し続けます! 最高すぎる作品ありがとうございました!