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風紀委員室にて書類整理をしていたヒナは、その手を休めて大きく伸びをした。
「ふぅ……」
今日は比較的落ち着いている。大きな事件もなかったし、この調子なら明日もまた平穏無事な一日になりそうだ。
(たまにはこういう仕事もいいわね)
普段から真面目に仕事をしているが、やはりトラブルがないほうが気持ち的にも楽だ。それにこうしてゆっくりとお茶を飲みながら自分の時間を過ごせるというのも悪くない。
そう思った矢先だった。
ドアの向こうから慌ただしい足音が聞こえてきたかと思うと、「失礼します!」という声と共に勢いよく扉が開かれたのだ。
「どうしました?」
「大変です! 空崎市全域に非常事態宣言が発令されました!」
「えっ!?」
ヒナは慌てて窓際に駆け寄ると、外の様子を窺った。すると確かに街のあちこちから黒煙が立ち上っているではないか。
しかもそれだけではない。彼女は、とんでもない秘密を隠し持っていたのだ!
「先生……私ね?実は、男性恐怖症なんだぁ~♪」
彼女の衝撃的なカミングアウトを受けた私は、その言葉の意味を理解するまでに数秒の時間を要した。
そして理解できた途端、今度は驚きのあまり口を大きく開けて固まってしまう。
だってそうだろ!?男嫌いの女生徒ってだけでも珍しいのに、それがあの空崎ヒナだぞ!?この世に存在する全ての男が苦手とかいうレベルじゃない!!そもそも人間全般が無理っていうレベルの話じゃないか!
「ふっふん〜!どうです先生?驚いたでしょう?」
「あー……まあな」
そりゃ驚くよ。むしろ驚かない奴がいるのか聞きたいくらいだわ。
「でも安心してください!私の症状はあくまで軽度のものなので、普通に接する分には問題ありません!」
「いや、あの……」
何の話かと言うと、彼女の話だ。
僕の隣の席に座っている彼女──空崎ヒナさんのこと。
彼女は今朝登校してきた時からずっとこんな調子なのだけれど、いったいどういうことなんだろう? 確かに今日のヒナさんの髪形はいつもとはちょっと違うけど、だからといって僕まで巻き込まれなくてもいいんじゃないかと思うんだよね……。
僕は横目でちらりと隣の席を見る。そこにはいつも通り真面目に授業を受けているいのさんの姿があった。
彼女の名前は小桜いのり。僕と同じクラスに所属する同級生だ。身長百六十五センチくらいでやや細身。長い黒髪を後ろで一つにまとめたポニーテールがよく似合う女の子だった。
性格は穏やかで優しくて面倒見が良く、困っている人を見かけたら放っておけないタイプでもある。まぁ、そのせいでよくトラブルに巻き込まれるのだけれどね。
しかしその一方で、いざ戦闘になると非常に攻撃的な一面を見せる