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36 - 第36話:最初に動いたのは

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2025年07月16日

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シェアハウスの朝。

いつものようにリビングに集まる7人と真理亜。

しかし――その日、最初に空気を変えたのは、道枝駿佑だった。

駿佑:「真理亜ちゃん、今日の髪型、いつもとちゃうな。……なんか、めっちゃ似合ってる」

急にストレートに言ったその一言に、全員の動きが一瞬止まる。

真理亜:「……あ、ありがとう」

真理亜はとっさに笑ったけれど、顔が少し赤くなっているのが誰の目にもわかった。

駿佑:「なあ、今日放課後、駅前のカフェ行かん? 気になってたとこあって」

真理亜:「え、私と?」

駿佑:「うん。二人で」

その一瞬――

空気が変わった。

丈一郎が新聞をめくる手を止め、

大吾がカップを持つ手に力を入れる。

恭平は「へぇ〜みっちー、珍しいな」と笑ったが、その目は鋭くなっていた。

流星はじっと真理亜の様子を見ていて、

和也はいつもより笑顔の奥に静かな沈黙を抱えていた。

謙杜だけが、ぽかんとしたまま「え、カフェってオシャレなとこ?」と場を和ませた。

真理亜:(……こんな堂々と“誘う”って、今までなかった)

真理亜は戸惑いながらも、返事をした。

真理亜:「うん……ええよ。じゃあ、学校終わったら行こっか」

その日の放課後。

二人は駅前の小さなカフェに入った。

春の香りが残る店内で、駿佑は真理亜に向かって、真正面から話す。

駿佑:「……俺な、真理亜ちゃんのこと、ちゃんと“ひとりの女の子”として見てる」

真理亜:「え?」

駿佑:「俺、今まで誰かを好きになっても、“好きになってもいいのか”って思って止まってきた。でもな、真理亜ちゃんには、もう止まられへん」

真理亜:「……でも、私……」

真理亜は言いかけて口をつぐんだ。

胸の奥で何かが強く脈打っていた。

記憶の空白と、自分の感情への戸惑い。

でも――今、目の前の駿佑は、まっすぐで、真剣だった。

その夜、シェアハウス。

駿佑と真理亜が同じタイミングで帰ってきたとき、

7人の視線が一斉に集まった。

誰も何も言わなかったけれど――

全員が、はっきりと気づいていた。

「最初に動いた」のは道枝駿佑だった。

そして、その一歩が、

それぞれの“胸の内”を確実に揺らし始めていた。

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