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作品「命をかけた再起動」から1年後__
あの戦いの後、世界は平穏を取り戻したかのように見えていた。
しかし――
新たな脅威は、すでに静かに動き始めていた。
ー聖都大学附属病院ー
小児科の外来は今日も慌ただしい。
宝生永夢はカルテをめくりながら、次の患者に目を落とす。
(横山新くん、六歳の男の子。発熱三日目か…)
1呼吸した後に、はっきりと声を出す。
「次の方、どうぞ」
少し顔の赤い子供がお母さんと共に入ってくる。
永夢は目線を合わせて、優しい声で聞く。
「お名前言えるかな?」
子どもは小さな声で答える
「よこやま あらた」
永夢はにっこり笑いながら応える。
「ありがとう」
口を開けさせる。
「“あー”って言ってみようか」
小さな喉の奥を観察し、咳の有無を確認する。
次に聴診器を取り、お腹に当てる。
「お腹の音も大丈夫そうだね」
続いて背中に当て、呼吸と心臓の音を確かめる。
「呼吸も問題なし。心音も安定してるね」
保護者に顔を向け、穏やかに説明する。
「熱は続いていますが、呼吸や心臓に異常はありません。」
「症状からすると、風邪の可能性が高いです。」「薬は処方箋を出しますので、薬局で受け取ってください。」
「しばらくは安静にして様子を見ましょう。」
子どもはぺこりと頭を下げ、保護者も安心した笑みを浮かべる。
診察を終え、永夢はカルテを抱えてCRへ戻る廊下を歩いた。
そのときだった。
「うわっ!」
足元のわずかな段差に気づかず、永夢の足が引っかかる。
ードンッ。
「いった……」
床に手をつきながら起き上がると、鼻に鈍い痛みが走った。
指先で触れると、赤が滲む。
「やばっ、鼻血だ……」
通りかかった看護師が足を止める。
「宝生先生、どうかされましたか?」
「あ、ちょっと転んじゃって……」
看護師は慣れた様子でティッシュを差し出した。
「よくありますね。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
永夢はそれを受け取り、鼻に詰める。
鏡飛彩がちらりとこちらを見た。
「小児科医か」
――小児科医。
まだ、その呼び方には慣れない。
確かに僕はもう、研修医じゃない。
そう分かってはいるけれど。
「……また転んだのか」
「あはは……ちょっと段差で」
飛彩は小さくため息をつく。
「医者が怪我をするな」
永夢が苦笑したそのとき、CRのアラームが鳴り響いた。
ーピピピピ、ピピピピ
緊急通報だ。
永夢はすぐに受話器を取る。
「はい、電脳救命センターです。どうされましたか?」
受話器の向こうから、焦った声が聞こえた。
「へ、変な生き物が……!青山公園で暴れてて……!」
永夢の表情が引き締まる。
「分かりました。すぐに向かいます。」
「落ち着いて、できるだけその場から離れて避難してください!」
そう言って電話を切る。
永夢は振り返る。
「……飛彩さん」
飛彩はすでに立ち上がっていた。
「聞こえていた」
永夢は小さく頷く。
「場所は青山公園だそうです」
飛彩は白衣を翻す。
「……バグスターの可能性が高いな」
永夢も頷いた。
「すぐに向かいましょう」
二人はCRを飛び出した。
青山公園。
公園に着いた永夢と飛彩は、広場の中央に立つ異様な人型の影を見た。
白くゴツゴツとした体躯。
どこか不自然で、人間とは違う存在感を放っている。
飛彩が低く呟く。
「……やはり、新種か」
永夢はその姿を真っ直ぐ見据える。
「行きますよ」
二人は同時にガシャットを構える。
「大変身!」
永夢がガシャットを起動する。
ゲーム音が鳴り響き、光が体を包み込む。
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
現れたのは、エグゼイド レベル2。
続いて飛彩もガシャットをセットする。
「術式レベル2」
「変身!」
青い光の中から、ブレイブ レベル2が姿を現した。
その時――
「バグスターは俺がぶっ潰す」
低い声が背後から響く。
振り返ると、そこには花家大我が立っていた。
鋭い視線で敵を睨みながら、ガシャットを取り出す。
「第2戦術」
ガシャットをドライバーに装填する。
「変身」
光に包まれ、スナイプ レベル2へと変身する。
その横から、軽い声が響いた。
「ここか〜」
公園の入口から歩いてきたのは九条貴利矢。
状況を見渡し、ニヤリと笑う。
「こりゃ新種っぽいな。ノリノリでいっちゃうぜ!」
貴利矢もガシャットを構える。
「変身!」
赤い光が走り、レーザーが姿を現した。
エグゼイド、ブレイブ、スナイプ、レーザー。
四人の仮面ライダーが、異様な敵を囲む形となる。
敵の体がゆっくりと動いた。
その背から、長い触手のようなものが伸びる。
一本。
二本。
三本――。
「来るぞ」
ブレイブの声と同時に、戦闘が始まる。
エグゼイドのパンチ、ブレイブの剣撃。
スナイプの銃撃、レーザーの高速攻撃。
四方向からの連携攻撃が敵へ叩き込まれる。
しかし――
敵の体から伸びた触手が、それらすべてを受け止めた。
触手は戦うたびに増えていく。
一本、また一本。
まるで増殖するように、空中をうねりながら広がっていく。
「増えてる……!」
エグゼイドが距離を取る。
触手はさらに増え、公園の広場を覆い尽くすほどに広がり始めていた――。
その直後、異形の腕のようなものが子どもに向かって伸びる。
「危ない!」
エグゼイドは咄嗟に走り出し、子どもを抱き寄せる。
しかしその瞬間――
エグゼイドの腰あたりに、触手が突き刺さる。
「小児科医!」
ブレイブが思わず叫ぶ。
「エム!」
レーザーの声が重なる。
「なっ……!」
スナイプも思わず息を呑む。
触手の先端から、何か冷たい液体が流れ込む。
永夢の体内へ――。
「……っ……!」
鋭い痛みが走る。
だがエグゼイドは歯を食いしばり、必死に堪える。
視線を上げると、腕の中の子どもは無事だった。
エグゼイドは短く息を吐き、子どもに声をかける。
「大丈夫か? 早く逃げろ!」
子どもは震えながらも頷き、よろよろと安全な場所へ走っていく。
エグゼイドは息を整える。
ブレイブは鋭い目でその姿を見つめていた。
一瞬の沈黙。
「刺されたのか!?」
永夢は痛みを押し殺し、平静を装う。
「大丈夫だ……なんとも――」
再び戦おうと前に出る。
だがその瞬間。
体が大きく揺れた。
動きが止まる。
エグゼイドの体から力が抜けていく。
「エム?」
貴利矢の声が低くなる。
エグゼイドの装甲が不安定に光り――
次の瞬間、変身が解除された。
光が消え、生身の永夢の姿が現れる。
そして――
そのまま、地面へ倒れ込んだ。
「小児科医!」
飛彩の叫びが響く。
「エム!!」
貴利矢も声をあげる。
スナイプはすぐに状況を判断する。
「ブレイブ!」
鋭く命じる。
「お前はエグゼイドのところへ行け!」
レーザーもすぐに続く。
「ここは俺たちで何とかする!」
ブレイブは一瞬だけ二人を見る。
そして頷いた。
「……わかった」
すぐに永夢の元へ駆け寄る。
「小児科医!!」
ブレイブの声が、公園に響いた――。