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#バディーズ
𝓞𝓵𝓲𝓮💛🍅🐵
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にこにこ
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コメント
1件
うわああ…第32話、読み終わったよ😭💕 「一緒にやりたい」って言えた愁斗の成長がもう…!あの一言にひでさんが動き止めるのも分かるよ~。でもその後の鼻血シーン、めっちゃ切なくて苦しくて…読んでるこっちまで息苦しくなった😢 でもね、ちゃんと「にぃに」って頼れたのが本当に大きくて!泣ける…「慣れたんじゃない。愁斗が俺の日常になったんだ」ってひでさんのセリフ、心臓ぎゅってなった…! 二人の絆が確かに強くなってるの感じる回だったよ✨
数週間が過ぎた。
咳は少しずつ落ち着き、熱ももう出なくなっていた。
まだ疲れやすさは残っている。
長く立っていると足が重くなる日もある。
急にふらっとすることも、まだ時々あった。
でも、愁斗は少しずつ前を向いていた。
できることを増やしたい。
兄ちゃんの役に立ちたい。
そんな気持ちが芽生え始めていた。
休日の昼過ぎ。
ベランダに干していた洗濯物が気持ちよく乾いていた。
『よし、取り込むか。』
ひでが洗濯かごを持つ。
愁斗も立ち上がった。
『愁斗は座ってていいぞ。』
「ううん。」
『まだ本調子じゃないだろ。』
「でも。」
少し照れながら笑う
「……一緒にやりたい。」
その一言に。
ひでは思わず動きを止めた。
“一緒にやりたい。”
昔の愁斗なら言えなかった言葉。
誰かと一緒に何かをしたい。
そう思っても、口にはできなかった。
ひでは嬉しそうに笑う。
『……じゃあ、一緒にやろう。』
「うん。」
⸻
二人はリビングで向かい合って座り、それぞれ洗濯物を畳み始めた。
愁斗はフェイスタオルを。
ひでは靴下やハンカチ、小さな衣類を畳んでいく。
畳んだタオルは、愁斗の横へきれいに積み重ねられていく。
『そういえば、この前スーパーで買ったかぼちゃ、また買おうか。』
「うん。おいしかった。」
『今度は違う料理にも挑戦してみる?』
「兄ちゃん料理好きだね。」
『好きっていうか、食べてもらえるのが嬉しい。』
愁斗は少し照れ笑いを浮かべた。
「……ありがと。」
その時だった。
ひでが最後に残った大きなシーツを広げる。
ふわり、と白い布が宙に舞い、一瞬だけ二人の間を隠した。
その向こう側で。
ぽた。
赤いしずくが床へ落ちる。
ぽた。
ぽた。
愁斗はまだ気づかない。
鼻の奥に、じわっと熱を感じる。
違和感があって、指先で鼻を触れた。
べったりと赤い。
「……え。」
その瞬間。
両方の鼻から、一気に血が流れ落ちた。
「っ……!」
慌てて両手で押さえる。
でも、指の隙間から血があふれていく。
ぽたっ。
ぽたっ。
床へ落ちる音だけが静かに響く。
「はっ……。」
急に息が浅くなる
胸の奥がきゅっと縮むみたいに苦しい。
鼻血なんて、こんなふうに出たのは診断を受ける前に一度だけだった。
その時のことが、ふっと頭をよぎる。
あの時も怖かった。
でも今は、あの時よりもっと怖い。
血が止まらない。
押さえても、押さえても流れてくる。
呼吸が乱れる。
「はぁっ……はぁっ……」
息を吸っても、うまく入ってこない。
視界が少し白く霞む。
立っている感覚が遠くなる。
胸がざわつく。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
苦しい。
怖い。
どうしよう。
そんな気持ちが一気に押し寄せる。
「……お兄ちゃん。」
小さな声。
もう一度。
「……にぃに。」
その時、自分ではっきり分かった。
これは、一人で大丈夫と言える状態じゃない。
足に力が入らない。
ゆっくりと、その場にしゃがみ込んだ。
⸻
シーツを畳み終えたひでが顔を上げる。
『……愁斗?』
床に広がる赤い血。
しゃがみ込み、両手で鼻を押さえる愁斗。
顔色はみるみる白くなっていた。
肩が小さく上下している。
「はぁっ……はぁっ……」
呼吸が荒い。
苦しそうに、息を吐くたびに喉が震える。
『愁斗!』
ひで はすぐに駆け寄る。
目の前には、畳み終えたばかりのタオルがきれいに積まれていた。
迷わなかった。
積み上げたタオルを崩すように一枚引き抜く。
タオルの山が音を立てずに崩れた。
でも、そんなことはどうでもよかった。
『これで押さえて!』
愁斗の手にタオルを添え、鼻をしっかり押さえる。
『少し前かがみ。ゆっくり息して。』
「……うん。」
そう答える声も、まだ少し震えている。
「はぁっ……はぁっ……」
タオルはあっという間に赤く染まった。
『大丈夫、大丈夫。』
もう一枚。
さらにもう一枚。
ためらうことなく新しいタオルへ替える。
「はぁっ……はぁっ……」
「……はぁっ…はぁっ…こわいっ…」
『大丈夫。すぐ止まる』
『大丈夫だよ』
水を持ってきて、薬を準備する。
『立てる?』
愁斗は首を横に振る。
「……ちょっと、無理。」
『分かった。』
肩を支え、ゆっくり立たせる。
立ち上がった瞬間、視界がぐらりと揺いた。
『危ない。』
すぐに腕を回し、そのまま寝室へ。
ベッドへ横になると、愁斗は大きく息を吐いた。
「はぁ……っ」
まだ呼吸は少し荒いまま。
鼻の奥もじんじんして、怖さがなかなか抜けない。
⸻
十分ほどして。
ようやく鼻血は落ち着き始めた。
呼吸も少しずつ整ってくる。
「……ごめん。」
小さな声。
ひでは苦笑した。
『また謝る。』
愁斗も少し笑う。
「……癖。」
『知ってる。』
二人で笑った。
さっきまで張りつめていた空気が、少しだけ和らぐ。
『顔、拭こう?』
「うん、」
⸻
椅子に腰掛けたひでが、ふっと笑った。
『俺さ。』
「……ん?」
『最初だったら、絶対パニックだったと思う。』
「……うん。」
『でも今日は、不思議なくらい落ち着いて動けた。』
少し考えて、自分で笑う。
『俺、愁斗の対応に慣れてきたのかな。』
少し間を置いて、首を横に振る。
『……いや。違うな。』
「?」
『慣れたんじゃない。』
『愁斗が、俺の日常になったんだ。』
愁斗は照れくさそうに笑う。
「……それ、なんか恥ずかしい。」
『事実だから。』
少し静かな時間が流れる。
愁斗は天井を見つめながら、小さく口を開いた。
「さっき。」
『うん?』
「俺、自分で分かった。」
『何が?』
「やばいって。」
「だから 兄ちゃんって呼べた。」
少し笑う。
「前だったら。」
「絶対、一人で隠してた。」
「大丈夫って言ってた。」
「でも今日は 頼れた。」
ひでは何も言わず、愁斗の頭を優しく撫でた。
『それでいい。』
『頼ってくれて、ありがとう。』
愁斗はゆっくり目を閉じる。
鼻の奥はまだ少し痛い。
体も少しだるい。
でも。
心は、不思議なくらい穏やかだった。
“一緒にやりたい。”
そう言えた日。
“兄ちゃん。”
そう呼んで助けを求められた日。
それはきっと。
愁斗が少しだけ、自分を信じられるようになった日だった。