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その日ケイトはリドル達と別れてようやく眠りにつくところだった。

一日で随分と体力を消費したとベッドに潜り込んで目をつむる。

しかし眠気はあるのに中々寝付けない。

ため息をついて体制を変えると、マジカメを起動してボーッと眺める。

すると監督生のアカウントが動き、前回の動画から二度目の投稿がされた。

ASMRシチュエーションボイス……貴方様の眠りをサポート致します。と書かれているのに目をパチクリさせた。

今は眠れないし……良いかと書いてある通りにイヤホンをつけて、 再生ボタンを押すと寝ながら眺める。

監督生が画面に映り、執事服を着た状態でこちらを振り返る。

《お帰りなさいませ、ご主人様》

お外は少しずつ寝苦しい暑さになって来てますねと、軽い会話をしながら手を握られる。

誰の手か分からないけど、動画の中の自分の手が見えることに驚いた。

《最近お疲れのご様子でしたので、今夜はリラックス出来るように、わたくしが全力でサポートさせて頂きます。》

心配している顔からすぐに、やる気に満ちた顔に切り替わる。

そしていたずらっ子のような甘い顔で近づき……

《ふふっ、もしかしてメイドさんの方が良かったですか?……駄目ですよ?……目移り厳禁です♡》

男だと分かっていてもドギマギしてしまう。

同時刻に見ていたセベクは、若様に当てはめてしまい大声で叫んだのち、こういうのが良いのかと思考を巡らせていた。

《それではリラックス効果のある……こちらのハーブティーはいかがでしょうか?》

カモミールティーを差し出して嬉しそうにしているのを見ると、こんな執事が居たらなぁと思ってしまう。

これを見ていたレオナは確かに良いかもなと何かの作戦を練っている様子だった。

寮全体が盛り上がっていたのは何故だろう。

《少し冷ましてありますが火傷なさらないように……わたくしが魔法をかけて差し上げますね》

魔法が使えるのか……?と不思議に思ったがすぐに……

《ふーっ、ふーっ……冷ましてるように見えますか?……そう見える魔法です。》

《ふふっ、きっとご主人様の方が上手く扱えるでしょうね》

胸キュンして泣きそうになった。

どっかのウツボ達は画面に食い入るように見ながら捕まえるとか何とか言っていた。

《ごゆっくりお飲みください…………美味しいですか?》

《それは良かった……それではマッサージして差し上げますね…嫌じゃないですか?》

《では……失礼します》

動画内とはいえ手や足をマッサージされて、のたうち回っているイデアはオルトに心配されている。

「大丈夫?……これほんと」

『心拍数が上昇……兄さん何かあったの?』

肩を揉んでいるのか、耳元で服の擦れる音と囁き声が聞こえる。

《今日はどんなことがありましたか?……本当に小さなことで良いんですよ。》

《何か一つ頭の中に思い浮かべてみて下さい》

するとそこにグリムが膝に乗ってくる。

自分は膝にブランケットをかけて貰ってるらしい。

周りの背景はそういうセットなのか、本当に自分が主人になった気分だ。

《嫌なことじゃなくて嬉しいことだとか……その方がきっとご主人様も楽しいのではないですか?》

こんなに優しくされて……自分が監督生に小さい頃からこんな風に愛されて育ってきたと、勘違いする猛者も現れた。

コメント欄は醜い男共の争いとなっている。

……相手男っすよ?

《ご主人様はいつもとても頑張っているように感じられます。わたくしはどんなに小さなことでも素晴らしいと思うんです。》

眠れない訳ではないが気になってしまって見に来たリドルは急な褒め言葉にビックリ。

《だから大きなことを成し遂げなくても、朝起きられたとかご飯を食べれたとか問題を一問解けたとか……全部全部頑張ってると思います。》

とにかく全肯定されて泣きそうになった。

母親の言いなりになって、自分を蔑ろにして自分より、年下の生徒を傷つけようとした 自分を許せなかったのに、心が少しずつ楽になっていく。

《今寝てしまっても偉いし……眠れなくても偉い……》

《呼吸をして生きているだけで本当に素晴らしいんですよ。》

画面の端に腕が見えて、自分が今抱きしめられていることに気が付く。

《はい、……お疲れ様でした……マッサージは気持ち良かったですか?》

リリアは途中までゲームを片手に見ていたが、今はこちらに意識を持っていかれている。

《では……こちらのアイマスクをプレゼントさせて頂きますね》

《こうやって……はい、ごろんとしたまま眠ってしまいましょう。》

パックをしながら聞き流していたヴィルは、落ち着く音楽と監督生の声に、すっかり眠くなっていた。

《ご主人様には無礼を働きたくないのですが、一つだけわがままをしても良いですか?》

ツノ太郎はわがままを言われることが新鮮で嬉しそうに耳を澄ます。

《ありがとうございます……な~でな~で……ふふっ、すみません、どうしてもしたくなって。》

ここまでを虚無顔で観ていたトレイは……怖い。多分連れ拐われる気がする。

《ご主人様は周りの人に甘えれていますか?……何でも我慢していては辛くなってしまいますからね》

トレイさん、あの、多分めちゃくちゃに甘やかされるか意地悪されるか……恐い。

《よしよし……ご主人様、今日もお疲れ様でした》

《寝ちゃいました?……うーん》

少し考える素振りを見せた後、ニッコリと笑って一言。

《わたくしが添い寝して差し上げますね?》

寝れるわけね”ぇだろ~~~~!!!!!

《ふはっ……見つかったら怒られてしまいますね?……でもちょっとだけ……許して下さい》

執事服の上着だけを脱いで布団に入ってくる。

拒むことは出来ない……動画だから。

《おやすみなさいませ…》

ここで眠ってしまった人も多いが動画は続いている。

眠れなかった人はそのまま再生される動画を聴いた。

暗転して今度はエースが店の制服を着て、こちらに挨拶している。

普段のおちゃらけた様子から一変した姿に感極まってる人が何人か。

《いらっしゃいませ……当店は予約制のヘッドスパを行っております。 》

《今回ご予約のお客様でお間違え無いでしょうか?》

何人か男でもいけるかと目覚めた人もいるが……眠ってください。

《では、こちらへどうぞ》

《それではよろしくお願いします。力加減等は不快に感じる度に……お教え下さい。》

ヴィルはさっきよりは眠気も引いたが、とりあえず聞き流しながら寝ることにした。

《まずは髪をブラッシングしていきますね》

《お客様が御一人で行う場合は、毛先から順に行っていくと、髪も傷まずに綺麗になりますよ。》

丁寧な解説に眠らずに聴いた方が良いと判断して、目を閉じたまま耳を澄ます。

《では、髪がもっと綺麗になりましたので頭皮の凝りを取るためにマッサージをしていきますね》

“もっと”って気遣い~!!byモブ

《次にシャンプーをしていきますね……痒いところがあったら遠慮なく言って下さいね》

《ヘッドスパワイヤーで頭皮をマッサージしていきますね……これ罰ゲームでされた時、本当に気持ち良すぎて逆に辛かったんだよな……ゾワゾワ~ってw》

途中でいつもの口調になり可愛過ぎと話題になるのは仕方ないよね。

因みにこれは普通にRSAでも観てる人がいるので……取り合いになりそうだね。

《では、もし痛かったら教えて下さ~い》

《ブラシに切り替えますね~》

ヘッドマッサージの音は泡のせいか物凄く良くて、ずっと聞いていたくなる。

《はい、シャワーで洗いながしていきますね……ご自身でマッサージされる時は、あんまり長くシャンプー等を付けたままにしないで下さいね。痛んでしまいますし……痒みの原因になることもありますので。》

ちゃんと注意されて、付き合っていた、?という勘違い野郎が増えた。

《洗い流せたのでウォータートリートメントを塗っていきますね。》

《ウォータートリートメントは、普通のトリートメントよりも水っぽいテクスチャーなのが特徴で、クリームタイプの物よりも浸透しやすくてオススメですよ。》

《ただし、基本的には週に1~2回の使用をオススメします。髪に付けた後に作用として熱を帯びるのですが、それが栄養成分の浸透を高めるとされています。》

お前本当にエース??byモブ

《しかしそのせいで、髪に大きな負担となってしまう可能性がございます……なので週末のスペシャルケアとして当店に入らして下さい。》

ヴィルは自分がウォータートリートメントを知らなかったことにビックリ。

この世界ではまだ販売されて、間もないからね??

《その時はご褒美を用意して待っていますね?……え?ご褒美ですか?……内緒ですよ……確かにそうですね~……では、飴ちゃんはいかがですか?……俺のオススメをプレゼントしますね》

戸惑ったように会話をしていたが、すぐに小悪魔な笑顔と一緒に提案する。

《ふはっ、良かった……楽しみにしていて下さいね?》

何それ可愛いとひたすらコメントしたい。

《そっれではぁ……ブラシでトリートメントを馴染ませていきますね》

先ほどのブラシより音が静かで眠くなってくる。

《さぁ、後はシャワーで流していきますね》

《嫌なことも流しちゃいましょうよ?……え?だって、どんなに辛い時でも……ここに来たら流れて消えちゃうなんて最高じゃん?》

何人か救われた。

ありがとうエース大好き。(ガチトーン)

《じゃ、ふわふわのタオルで拭いていきます。……今日もお疲れ様でした》

《眠ってしまったなら今夜は夢の中でお会いしましょうね……そして起きているお客様……ご褒美をあげますね?》

眠くなっているが寝付けない俺達の為にご褒美を、?とこれまた勘違いやr (n回目)

《他の眠っていらっしゃるお客様には内緒ですよ?……こちらが俺のオススメのチェリー味の飴ちゃんです》

分かってたけど嬉しくて、画面から取り出せないかとイデアがガチな顔をしている。

《チェリー味美味しいんですよ?……いつか食べ終わったら、また来て下さいね?おやすみなさい》

何度でも来るよ!とまるでアイドルオタクになっているファン達。

最後のシチュエーションですと流れてきたので時間も忘れて姿勢を正して聴いた。

デュースが映されてこちらに近づいてくる。

《まだ眠れなかったのか?……それとも俺が来るの待っててくれた?》

《子守唄歌ってやろう、あんまり上手く無いかもだけど……ご愛嬌ってとこだな》

オルゴールが流れ出す。

♪♪*~♪※

優しいオルゴールの音と綺麗な歌声に赤ちゃんになりたい男子が増加してしまい、コメ欄がすんごいことになった。

ケイトは途中まで見ていたが、眠くなって耐えられずに寝てしまった。

《どうだ?……眠れたか?》

《なんだか…疲れちゃうよなぁ……よっし、起きてる奴、俺と夜の散歩しようぜ》

《俺が外で歩きながらお話してるから……気が向いたら寝ろよ?》

さっきの二人よりも近くにいるような距離感に、マブダチになりたい奴が歯を食いしばる。

《こういう歩いてる音って普段気にしないけど……ちゃんと耳を澄ませば……意外と良い音してるよな》

確かに気にしないかもと耳を澄ませながら、夜の散歩に行っているような気分になる。

ツノ太郎は突然の夜の散歩にご機嫌だ。

《水辺に来たんだけど……落ち着くな》

座ってすぐ手前にある泉の水を触りながら、デュースが話す。

《皆しんどいこともあるだろうし……逆に楽しいこともあるだろ?》

《俺は明日マブに会うのが楽しみなんだ……当たり前に一緒にいるけど、もしかしたら会えなくなるかもしれない。》

《だからいつも会えるのを楽しみにしてるんだ》

これにリリアは人は儚くすぐに置いていってしまうからの……と干渉に浸る。

《君も明日が辛いなら、俺とまたここで会えるのを楽しみに生きて欲しいな》

《俺じゃ楽しくないか?……でも……俺はいつか来る君が楽しいって思える日が、ずっと続けば良いなって思うよ》

俺達にもそんな日が来るんだと、落ち着きを取り戻したモブ達が眠くなっていく。

《あ、流れ星……願い事しとくか?》

デュースはそう言って……手を握って願い事をする。

《さぁ、帰ろうか……今日は添い寝してやるよ》

暗転してベッドに戻って来た。

《じゃ、俺はここにいるからな……今日も明日もお疲れ様……おやすみ》

トントンされながら寝息が聞こえてくる。

添い寝をされて、完全にシャットダウンした奴は起きていた中で約9割。

残りの奴は終わっちゃったと寂しく思うが、すぐに気持ちは無くなる。

《完全に寝ちゃったんだゾ……コイツ不器用だから変なこと言ったかもしれねぇけど……良い奴だから、許してやってくれなんだゾ》

そう、グリムが心配して来てくれたんだ。

《最後に深呼吸して寝るんだゾ?》

深呼吸を三回ほどすると可愛いことを言いながらこちらを見る。

《俺様明日ツナ缶だと良いなぁ……お星さまにお願いするんだゾ……お前らも頼んだゾ》

《おやすみなんだゾ》

動画は終了した。

え、?何このご褒美?



案の定……次の日は追いかけっこになったし誘拐されかけ、何故かRSAの人にナンパされた。

うん、お疲れ様でした。

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