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知りたい。
桃が今どんな気持ちで病院にいるのか。
「…なぁ桃は今どう?」
そう聞くと赫が透かさず
「それは紫、自分の目で確かめたらどうだ?」
「お前が1番桃のこと理解してるだろ。」
“瑞なら信じられない~!”
その言葉はきっと確かに言う通りだろう。
俺だって今何が本当か分からない。
だけど信じたところで何か変わるのかも分からない。桃に会いにいく理由は何?
「…やっぱわかんない」
小さくそう呟いた後、
「ごめん、帰って。」
そう突き放した。
「ぇ、でも、桃には会いに」
「一人でいたい。」
赫の後押しも全部水に流して、1人になりたいという個人の理由で皆を部屋から、家から追い出した。
本当自分勝手でくだらない。
俺はどうしたら良かったかな、
頬にひとつ、ふたつと水を流した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「泣かしたね?」
病院戻ると途端、桃がそう言った。
「あぁ見えても紫は繊細だからさ~。」
「だから今はひとりで考えさせてあげて。」
それは先程紫が教えてくれた未来だろう。
そう桃が教えてくれるならそうした方がいいと思った。
でも分からない点がある
「…泣かしたって…俺ら紫の泣くとことか見たことないしさ。」
紫は人前では泣かないし、俺らにもその涙を見せたことは無い。
だから泣かせたなんて言われてもピンと来ない
「…紫は一人で泣いちゃうから。」
「人間だからさ、弱いとこ見られたくないんじゃない?」
そう言うと翠は少し納得したように
「…強がりだから、紫ちゃん。」
きっと、紫はこのふたりがいれば大丈夫、
あとは任せても大丈夫なはず。
だから。
微かに皆が駆け寄る姿が見えたところで意識が途絶えた。
俺も。みんなには弱いところ見せたくなかったんだけどな。ごめんね。
迷惑かけて。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
目覚める時、暗くなった病室、
消灯時間が過ぎていた、やけに静かな部屋。
でもそれがもう今となっては落ち着いた。
焦ることは無い。
不安に感じることは無い。
受け入れて、来るわけはない紫を待ってみよう。来なくてもいい。あの二人がいれば、紫のことは任せられるから。
さて。
この身体はあと何時間持ちますか?
みんなに伝えたのは2週間、
つまり14日、だけどそれから2日経過してる為あと12日。 だけど本当は。
そんな残り少ない時間をどう過ごすかなんて、答えは簡単、病室内にいるしかない。
だって今の俺は上手く喋れないことはもちろん。知的なことが衰え、漢字も記憶も計算も出来ない。そして何よりも。
静かすぎる病室が指している静寂は聞こえないことを示す。
まともに足に力が入らない。
少し前に“にしゅうかん“と書いた文字を機に手の力も失ってる。
認めざる負えない状況だった。