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目が覚めてからの燈和野は、誰かに語りかけるような独り言をするようになった
優しく、愛しそうに
何に対してそんな表情をしてるのか分からないのが、少しだけモヤモヤした
彼は俺に対しても少しだけ優しくなった気がする
いつもの皮肉はもちろんあるが、俺が寝こけていると心配そうに顔を覗いてきたり、手首や首を触ってくるようになったのだ
怪我をすれば以前は「馬鹿か」と言って雑に手当していたのに、今では「大丈夫か、気おつけろよ」と言って優しく介抱される
『なんか、むずむずするなぁ……』
自分の動きに繊細に反応する燈和野はなんだか可愛い気がしてきて不思議だ。
確かに彼は小さくて周りからも可愛いと言われる見た目だが、中身が中身だから今まで可愛いと思うことはほとんどなかった
けど、一生懸命こちらを見てどうにかしようとしてる姿はどこか擽られてるような感覚にさせた
「すぅ……、すぅ……、」
最近では暇があればどちらかがどちらかのそばに居るようになって、燈和野の寝顔を見ることも増えた
『……ん、呼吸よし!』
寝顔はどうしてもあの夢を彷彿とさせてくるので、時折呼吸を確認しなければ不安になるようになってしまった
「ん……、りゅ、せ……ふふ、」
優しく名前を呼ばれ不思議な感覚に包まれる
夢の中の俺とどんな会話をしてるのか、起きたらきっと忘れているんだろう
『寝顔子供っぽ〜…』
つんつんと頬をつつけばすこし眉を顰めるがすぐにまた笑った
『……。』
なんとなくムカついて、鼻をつまんでやると「んぐっ、ん”ぅ”、」と、今度こそ怒って背を向けられてしまった
『ぶはっ!ちっちぇー、コロコロ転がって…ははっ!』
なんだか最近、燈和野に対する感情が分からなくなってきてるけど、きっと悪いものではないだろうと、今の感覚を味わっていこうと思った