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船の誤作動によって宇宙に放り出された雅也たちは、航路を修正しながらも新たな目的地へと引き寄せられるように進んでいた。その先に現れたのは、プロキシマ・ケンタウリbの人工衛星軌道上に浮かぶ巨大な構造物だった。
橘「……これは何だ?人工星か?それとも……。」
その構造物は、宇宙船を遥かに凌駕する規模で、複雑なパネルが広がり、淡い青い光を放っていた。表面には無数のアンテナやセンサーが取り付けられ、異星文明の技術の可能性を匂わせる。
加藤「また訳の分からねえ物体が出てきやがったな。今回は何を仕掛けてくる?」
船のAI「確認しました。この構造物はプロキシマ・ケンタウリbの人工衛星軌道上に存在し、名称不明。観測によれば、内部は空洞構造であり、高度なエネルギー源を検知。」
加藤「内部が空洞?まるで……基地みたいだな。」
船が徐々に構造物に近づくにつれ、通信チャンネルが自動的に開いた。そこから流れてきたのは、何とも言えない不協和音のような声だった。
謎の声「我々の領域へようこそ。汝ら、何を求める?」
橘「我々は求めてなどいない。だが、ここに導かれた。お前たちは誰だ?」
一瞬の沈黙の後、構造物の表面が光を放ち、全体が巨大なホログラムスクリーンへと変化した。そのスクリーンには、奇妙にデフォルメされた人間のような姿が現れる。
映像の存在「我々はプロキシマ・ケンタウリbの管理者。地球より到達した文明を歓迎する。しかし、試練がある。」
加藤「試練だと?宇宙に来るたび試練かよ。俺たちを何だと思ってやがる!」
映像の存在「試練は選択だ。この星の未来をどう導くか。我々が築いた人工星の役割を継承するのか、破壊し去るのか……。」
決断を迫られた雅也たちは、人工星内部への侵入を決意する。エアロックを抜けると、内部はまるで生物の体内のように有機的な構造をしていた。壁面は滑らかで、脈動する光が通路を照らしている。
橘「まるで生きているみたいだな……。」
かつ「これはただの機械じゃない。何かの生命体の一部を利用しているのかもしれない。」
内部の中心にたどり着くと、そこには巨大なクリスタル状のコアが浮かんでいた。そのコアは無数の光線を放ち、まるで宇宙全体と繋がっているかのように脈打っている。
謎の声「これがこの星の心臓。我々が人工的に構築した生命体でもある。守るのか、破壊するのか。それが汝らの試練だ。」
加藤「なんでそんなもんを俺たちが決めなきゃならねえんだよ!」
たちばなな「待て、加藤。これが何なのか、もう少し調べる必要がある。」
橘「もしこれが宇宙の秩序や平和に関わるものなら、下手に破壊するわけにはいかない。」
調査の結果、この人工星は周辺の星系の環境を管理する役割を果たしていることが判明した。だが、同時に、このシステムが暴走した場合、プロキシマ・ケンタウリbとその周辺惑星に甚大な被害をもたらす可能性もあった。
橘「守るべきか、破壊すべきか……どちらを選んでも未来は変わる。」
加藤「だったら、どっちが俺たちにとってマシかを選ぶだけだ。」
人工星の未来を決定する彼らの選択が、やがて宇宙全体の運命を左右することになる――。