TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

今日が終わるまで

一覧ページ

「今日が終わるまで」のメインビジュアル

今日が終わるまで

71 - 第71話 この胸に

♥

1

2024年11月30日

シェアするシェアする
報告する

人工星の中心に浮かぶ巨大なクリスタル状のコア――それはまさにこの星系の生命線、そして全ての運命を握る「心臓」だった。その光が脈打つたびに、周囲の空間が揺れ、時間の流れさえも歪んでいるように感じる。

ウィリアム「これがこの星系を支える“心臓”か。俺たちが選ぶべきは――」

雅也の目には決意が宿っていた。彼はこの決断をすることで、すべての結果を背負う覚悟を決めた。

橘「破壊すべきだ。どんなに美しくても、この危険な力を抑えきれるとは思えない。」

加藤が険しい表情でその背後に立ち、手にした武器をぎゅっと握りしめた。

加藤「俺も賛成だ。だが、どうやって壊す?」

その時、ウィリアムが前に出てきた。彼の顔には冷徹なまでの冷静さが浮かんでいた。

ウィリアム「このクリスタルは物質ではない。だが、分かる。心臓を壊すには中心に最も強力なエネルギーを打ち込む必要がある。」

橘「最も強力なエネルギーか……」

ウィリアム「爆発的なエネルギー、または、内部の空間を一瞬で解体できる力が必要だ。」

彼の目の前に現れたのは、ウィリアムが持つ特殊な爆弾だった。それは、ただの爆発物ではない。エネルギー波を利用して物質そのものを分解する能力を持った兵器だった。

加藤「それを使うのか?」

ウィリアム「一度起動すれば、この星系を含む周囲の空間すら一瞬で変容するだろう。ただし、それは……あくまで全てを終わらせるための手段だ。」

全員が一致してその決断を下す。ウィリアムが爆弾をコアの中心に取り付け、橘と加藤はその周囲の警戒を続ける。周囲のエネルギー波動がますます強くなり、時間の流れが急速に速くなるのが感じられる。

橘「こいつが本当に破壊されると、何が起きる?」

加藤「知らねえ。けど、今はそれが最良の選択だ。後悔する暇もねえ。」

爆弾を設置したウィリアムが振り返り、静かに言葉を放つ。

ウィリアム「それでは、心臓を壊す。すべてを。」

彼はボタンを押すと、爆弾が光を放ちながら炸裂し、次の瞬間、空間そのものが引き裂かれた。コアの中心に爆発が広がり、膨大なエネルギーが放たれる。まるで宇宙の中の一つの星が消滅するかのような圧倒的な力が、周囲を飲み込み始めた。

その瞬間、全員の周囲で時空が歪み、光と闇が交錯し、引き裂かれるような音が響き渡る。加藤は一歩後ろに下がり、橘はウィリアムの指示に従い、必死でその場を離れようとした。

橘「これは……!」

コアが爆発し、全ての構造物が崩れ始める。人工星は徐々に崩壊し、地面も宇宙空間そのものも引き裂かれる。宇宙が一つの生命体のように、全てを呑み込もうとしている。

加藤「早く離れろ!こいつは手遅れだ!」

爆発が広がり、周囲の空間が完全に消し飛んだ。残るのは、空虚な宇宙だけ。

数分後、周囲が静寂に包まれる。人工星が消失し、破片が空間に漂っていた。加藤、橘、そしてウィリアムだけが、無事にその場から逃れることができた。

橘「……終わったのか。」

加藤「いや、終わったわけじゃねえ。けど、あの心臓は確かに壊した。」

ウィリアムは何も言わず、無言で彼らを見つめた。その瞳に浮かぶのは、達成感ではなく、冷徹な空虚感だった。

ウィリアム「我々の選択が正しかったかどうか、それは時間が教えてくれる。」

その言葉の通り、宇宙の中で新たな道が開かれ、何か大きな力が目覚めようとしていた。だが、心臓が壊されたことで、それは確実に新たな時代の幕開けを意味するものだった。

今日が終わるまで

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚