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私
の名前はナナチ。
ちょっと前に死んだばっかりだけど、生き返ったらこんな体になっててビックリしたよ。
なんせ死んでからの時間が短かったもんでね、記憶もあやふやだったけど、なんとか元通りに動けるようになったのさ。
最初は訳がわかんなかったけど、色んなことを思い出したら……なんか懐かしい気分になったっけ。
そういえば、あいつとも会ったかなぁ? まあ、それはいいとして……これからの話をしなくちゃいけないよね。
あたしらの住処でもある、あの洞窟のそばの廃墟の街。
そこには今、一人の人間が住み着いてる。
その人間は、あたしらのご先祖様にあたる種族で、「黎明の子」とかいう名前なんだって。
なんでも、ずっと昔に起きた大きな戦争のせいで文明が崩壊しちまって、今はもう滅びかけだって話だよ。
それで、街の住人たちはみんな地下に隠れ潜んでいるんだけど、そんな状態じゃ食べ物もまともに手に入らない。だから、地上に出てきちゃうんだとさ。……そうやって出てきた人の中にはね、当然だけど、もう帰ろうとしない人もいるわけよ。ほら、今みたいにさ──
「えっ? それってどういうこと?」
話を聞いて首を傾げたのは、まだ幼い少年だった。
少年の名前はラガス。十歳にもなっていない年齢でありながら、その身体つきはすでに大人並みであり、顔立ちだって整っている。黒髪の下からは、どこか獣を思わせる金色の瞳が見え隠れしており、それが彼をさらに魅力的に見せていた。
ただ一つ欠点を上げるとすれば、それは彼が孤児であるという事だろうか? しかしそれも些細な事でしかないかもしれない。なぜなら彼は現在、王都にある有名な学校に入学するために勉強している最中だったからだ。しかもかなり優秀な部類に入る学校なので、これからの生活に期待できるだろう。
そんな彼の前に突然現れたのは、なんとも不思議な女の子であった。
―――――☆――――――
「さて……どうしたものかな?」
僕は目の前にいる女の子を見て、思わずそう呟いた。彼女はとても可愛らしく整った容姿をしているのだが、なぜか薄汚れたボロ布のような物を身に纏っていたのだ。それに加えて頭や腕などに包帯を巻いており、明らかに普通ではない雰囲気を放っている。
(……とりあえず怪我の治療をしてあげよう)