昼休み、校舎裏の運動スペースで一人筋トレをする男がいた。爽やかな陽射しを浴びながら、黙々と腕立て伏せを続けるその姿は、まるで青春ドラマのワンシーンのようだった。
だが——
「……先輩、何してるんですか?」
後輩の鈴が、呆れたように声をかけた。
「ああ、後輩ちゃんか!」倉斗は腕立て伏せを止め、汗を拭いながら爽やかに笑った。「見ての通り、己を追い込んでるんだよ!」
「いや、見ての通りすぎますけど……そんなにボロボロになって楽しいんですか?」
彼の制服のシャツは汗で張りつき、息も荒い。普通なら「無理しないでください」と心配されるべき場面だが、鈴の顔には ドン引き の色が浮かんでいる。
「楽しいとかそういう次元じゃないんだよ、後輩ちゃん……!」倉斗は遠くを見つめ、どこか陶酔した表情で語り始めた。「運動ってのはな、自分を極限まで追い込む最高の行為なんだ。焦らなくていい、君もすぐにこっち側に来れるさ……!」
「絶対行かないです。」
鈴の即答に、倉斗は「まあまあ」と苦笑しながら立ち上がる。
「そんなこと言わずに、一緒にやろうぜ? さあ、俺と共にバンジージャンプのような人生を歩んでいこう!」
「意味がわからないんですけど。」
「つまり、限界を超えた先にこそ、本当の自由があるってことさ!」
「だから意味がわからないんですけど!!」
鈴が思わず叫ぶと、倉斗は少し寂しそうに目を伏せた。しかし、すぐに何かを思いついたように顔を上げ、キラキラした目で言った。
「そうか……まだ恐怖を克服できてないんだな?」
「いや、そういう話じゃ……」
「よし! ならば俺が手伝ってやろう!」
「いらないです!!!!」
叫ぶ鈴をよそに、倉斗は「ふふふ……」と不敵に笑う。
「後輩ちゃん、Let’s鞭打ち!!」
「ちょっと!?!? それどんな部活!?!?」
——こうして、今日も倉斗は 爽やかすぎるドM発言 で鈴をドン引きさせるのだった。
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