テラーノベル
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朝の光が、まぶたを透かす。
いるまはゆっくり目を開けた。
(……?)
視界が近い。
天井じゃない。
白いシーツ。
枕。
そして──
「……は?」
目の前に、らんの寝顔。
距離、ゼロ。
ほぼ抱き合う体勢。
らんの腕が、いるまの服を掴んだまま。
顔、近い。近すぎる。
呼吸が当たる。
(なんでこうなった)
記憶がゆっくり戻る。
熱。
看病。
手。
寝落ち。
最悪だ。
ドクン、ドクン。
うるさい。
落ち着け。
離れろ。
でも動けない。
らんの寝顔が、やけに無防備。
熱は下がったみたいで、顔色は普通。
口元が少し緩んでいる。
(……こんな顔すんなよ)
胸の奥が、変なふうに痛い。
「……ん」
らんのまぶたが動く。
ゆっくり目が開く。
「……いるま?」
まだ寝ぼけてる声。
数秒、状況を理解しようとする顔。
そして──
「え?」
固まる。
視線が下に落ちる。
距離。
手。
「えええ!?ご、ごめっ」
慌てて離れる。
ベッドの端まで転がる。
「ちが、ちがうからね!?なんか夢見てた気がして…!」
「……」
いるまは黙って起き上がる。
「俺、変なこと言ってないよね!?」
「……」
「変なことしてないよね!?」
「……別に」
「ほんと!?」
「覚えてないのか」
ぽろっと出た。
らんが止まる。
「……なにを?」
いるま、詰む。
(言えるわけあるか)
「……なんでもない」
「え!?気になるんだけど!?」
らんが近づく。
距離また近い。
「兄って呼んでたぞ」
つい言ってしまった。
らん、フリーズ。
「……まじで?」
「寝言」
「うわああああ!!」
顔真っ赤。
布団かぶる。
「忘れて!!」
「無理」
「忘れてぇ!!」
らんは完全にパニック。
でも、いるまの胸の中は違う。
(覚えてないのかよ)
少しだけ。
ほんの少しだけ。
残念だと思った自分に気づいてしまう。
それがいちばんやばい。
あさ
騒がしいのに、どこか軽い。
昨日までの重たい沈黙じゃない。
同じ空間にいるのが、自然になってきている。
らんが布団から顔を出す。
「……迷惑じゃなかった?」
小さな声。
いるまはドアに手をかけたまま言う。
「別に」
でもその声は、昨日よりずっと柔らかかった。
境界線はまだある。
でも。
もう、同じ温度で呼吸している。
短いですね…ごめん!
コメント
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よし、神きたぞ。 ちょっと、学校のお仲間さんに伝えてきまーす!
神降臨