「くっそ…」
一瞬のうちにルドに絡んで連れ去っていった紐。ザンカの足元にはルドが何より大切にしていた手袋だけがただ、落ちていた。
急いで拾い上げればほのかに感じるルドの体温が徐々に消えていく気がして妙な汗が流れる。
廃墟の上へと階段を駆け上がれば、目の端に特徴的な黒の混じったルドの白髪が見えた。
「ルドっ!!」
「フォロは本部に連絡入れろ!」
「俺とザンカでルドを追う」
後から着いてきたグリスは階段を上がりながらも、後方のフォロに指示を与える。
「待たんかぁ!!」
バンと屋上の扉を蹴り壊せば、先程よりも固く強く紐が絡んでいるルドと紐を使うギバーがいた。
ルドの手は包帯の所々が解けていて、赤黒い素肌が白い包帯の奥から見えている。紐が食い込んだその手は相当痛むのかルドの顔には汗が伝っている。
「ルド、返せや」
「…断る」
「彼は僕の運命だ!」
「白い肌と髪!惹きつける程の赤い瞳!!」
「全てが僕を魅了した」
「おい…もっぺん言わにゃあいけんか?」
「ルドを今すぐ離せ」
抗い尽くしてグッタリと首をもたげているルドを抱きしめて安心させてやりたい。
「…そんな殺気を出すなよ、怖くてこの手を離しちゃいそうだ」
ソイツはこれ以上近づけばルドを屋上から落とす、そう暗に脅した。
またか、また。おれはルドを助けられんのか。目の前で連れてかれるんか。
ジャバーの時と同じで。
ザンカの手にはジワリと汗が滲む、痛くも無いのに体が重く感じる。
すぐ側にルドはいるのに、体が動いてくれない。
コメント
6件
好きぃぃぃぃ!!ザンカが誰か分からないってことはタムジーじゃないのかぁ、ザンカの愛がめちゃ重いのは好きだけど、近ずいただけでルドを落とせる勇気がある悪役君も結構好きー🫶
やったぁぁぁぁぁ!!!! 続き!!きた!!神作!!
ルド様落ちそう?紐の奴許すまじー☆なるほどルド様にやったこと後できっと紐のやつにも返ってくるんだろうなー!神!神作!だ!わぁぁぁあああ