看護師「じゃあ案内するね!」
ぺ「お願いします!」
個室を出て、看護師さんについていった。
看護師「この部屋の手前で右側のベッドね!で、奥の左側のベッドにいるのが
ぺいんとくんと同室になるあちゃみさん!」
あ「よろしく!」
ぺ「よろしくお願いします!」
元気そうな女の人だ。
看護師「ぺいんとくん!悪いことしたらダメだからね!」
ぺ「いやいやいや、しませんよ!笑」
看護師「そう言えば、今日はお友達来ないの?」
ぺ「え?」
しにがみくんかクロノアさんでも狙ってるのかな?
看護師「まぁいいわ、とりあえず大人しくしててね!」
ぺ「は~い」
そう言うと、看護師さんはそそくさと部屋から出ていった。
あ「……………」
ぺ「……………」
二人きりはさすがに気まずい。
俺は布団の中に潜り込んだ。
ぺ「しにがみくんにメッセージ送っとこ」
ぺ(ヤッホー!昨日ぶり!)
し(ぺいんとさん!どうしたんですか?)
ぺ(病室変わってさ、今女の人と二人きりで超気まずい…)
し(女の人…か……)
メッセージだけだが、しにがみの様子が少しおかしく感じた。
ぺ(大丈夫?)
し(え?はい!大丈夫ですよ?笑、それより病室は?)
ぺ(えっと、008号室!)
し(了解です!)
いつものしにがみくんだ。どうしておかしいと感じたんだろ?
ぺ(寂しいよ~しにがみ~)
し(昨日会ったじゃないですか!笑)
しにがみの笑い声が脳内に響いた。
ぺ(いや~声が聞きたくなってさ、今日も来てくれる?)
し(いいですよ!)
しにがみに会えると思うと、自然に笑顔が出てくる。
ぺ(絶対来いよ!待ってるから!!)
し(はいはい笑)
ぺ「っしゃぁ!!」
部屋を移ったことを忘れてしまい、つい大きな声を出してしまった。
ぺ「……………」
あ「……………」
それからしばらく沈黙が続いた。
どれくらい時間が経ったのだろう。気づけば緊張がほぐれていた。
そして、俺はあちゃみさんを横目で観察してみた。
あちゃみさんは俺の視線に気づいていないのか、もくもくと本を読んでいる。
ジーッ
見た感じだと、俺より年上なのは確かだろう。
だが、それ以外はよくわからなかった。
ぺ「ん~……」
声を出して見つめてみたが、それでも視線に気づく様子はない。
ぺ「散歩行こ……」
俺は逃げるように病室から出た。
ぺ「はー……まじ気まず…」
ゆっくりと歩きながら呟いた。
すると、見慣れた病室の番号が見えてきた。
ぺ「あ、俺が使ってた部屋」
俺はこっそりと病室に入り、そこで時間を潰すことにした。
と「あ!」
ぺ「あっ!ともさん!」
と「え、なんでここにいんの?病室移動したんじゃなかったっけ?」
ぺ「うん、移動したんだけど女の人と二人きりで気まずいんだよね」
そう言うと、ともさんは考え込むような表情をした。
と「女の人ってもしかしてあちゃみ?」
ぺ「そうだけど…もしかして彼女?」
と「いやいや違うよ笑」
ぺ「えっ、じゃあなんで知ってんの…?怖いんだけど」
本気で怖がる俺を見て、ともさんは笑っていた。
ぺ「何笑ってんだよ笑、ほんと怖すぎ!笑」
視点 tm
ぺんちゃんが以前使っていた病室の前を通ったとき、中から人の気配がした。
少し扉を開けて、中を除いてみた。
と「あ!」
ぺ「あっ!ともさん!」
ぺんちゃんが窓際に立っているのを見ると、少し時間が戻ったように感じた。
と「え、なんでここにいんの?病室移動したんじゃなかったっけ?」
ぺ「うん、移動したんだけど女の人と二人きりで気まずいんだよね」
と、遠くの景色を眺めながら言った。
と「女の人ってもしかしてあちゃみ?」
ぺ「そうだけど…もしかして彼女?」
と「いやいや違うよ笑」
名前を当てただけで彼女と勘違いされるとは思っていなかった。
何故か怖がっているぺんちゃんに笑いが込み上げてくる。
ぺ「何笑ってんだよ笑、ほんと怖すぎ!笑」
と「だってめっちゃ怖がってんだもん笑」
やっぱりぺんちゃんの反応は面白い。
と「て言うか、なんでちゃみんと同室に……」
ぺ「え?なんか困ることでもあるの?」
と「いや、なんでもない!」
ちゃみんは今まで誰かと一緒の部屋になったことがなかった。
だから同じ病室になるのがぺんちゃんと聞いてビックリした。
そして、初めて同室になる人がぺんちゃんで安心した。
ぺ「じゃあ俺そろそろ戻るわ!」
そう言うと、ゆっくりと病室を出ていった。
と「……………」
俺はしばらく、外の景色を眺めることにした。
視点 pi
ぺ「はぁ…なんだろう……しにがみくんは違和感あるし
ともさんは怖いし……俺なんかしたっけ?」
そうぶつぶつと呟きながらベッドへ戻った。
よく考えてみたら、俺の回りには超絶可愛いしにがみくんに、なんでもできる
イケメンのクロノアさん。いつでも寄り添ってくれるトラゾーに、誰にでも
優しく接するともさん。そして、らっだぁ。
そんな皆に比べて俺はちっぽけで情けない。
ぺ「はぁぁ……」
あ「あの…ずっとため息ついてるけど何かあったの?」
ぺ「えっ、あ、すみません!!」
急に話しかけられ、ビックリして謝ってしまった。
あちゃみさんの顔を見たが、怒っている様子はなかった。
あ「別に謝らなくていいよ笑」
ぺ「つい…ビックリしちゃって笑」
俺が思っていた以上にあちゃみさんは優しかった。
あ「まぁそんだけ声が出せるなら元気だね!」
ぺ「はい!全然元気っす!」
あ「何かあったら言ってね!話聞くことぐらいなら出来るし!」
普通にめっちゃ優しい。俺は恵まれてるんだな。
あ「じゃね!」
そう言うと、自分のベッドへ戻っていった。
ぺ「……………」
少し心が温かくなった。気がした。
視点 sn
ク「しにがみくん!今日も病院にいくの?」
し「はい!なんか病室移ったそうなんで!」
ク「そっか、俺も行こうかな」
し「一緒に行きます?」
そう言うと、クロノアさんは首を横に振った。
ク「いや、まだ仕事残ってるし、終わったら行くよ!」
し「じゃあ先行ってますね!」
さすが生徒会長だ。休み時間にたまに見かけるが、毎回忙しそうで声がかけられない。
し「生徒会長じゃなくてよかったぁ……」
きっと僕が生徒会長になったら倒れてしまうかもしれない。
し「てか、僕が生徒会長だなんて考えられんしなぁ笑」
そんなことを考えながら、僕は病院へ向かった。
ぺいんとさんに教えてもらった病室に来た。
ガラッ
ぺ「あ!しにがみ!」
し「昨日ぶりですね!」
ぺ「ちょっと場所変えない?」
そう言い、僕の背中を廊下まで押した。
し「どうしたんですか?」
ぺ「やっぱ人がいたら落ち着かなくね?」
し「あ~、確かにそうですね」
すると、僕の手をとって以前ぺいんとさんが使っていた部屋に入った。
し「入ってもいんですか?」
ぺ「ん~……ダメだと思うけど、ばれなきゃいんだよ笑」
学校でずっと心配していたが、どうやら平気そうだ。
し「いけないんだ~笑」
ぺ「お前も入ってるからばれたら同罪だけどな笑」
し「確かに笑、そう言えば同じ部屋の子とはどうなんですか?」
ぺ「優しい人だった!ため息ついてたら大丈夫?って話しかけてくれてさ~」
楽しそうに話をするぺいんとさんを見て、心が痛む。
し「そうですか…」
ぺいんとさんは、僕の反応を見て少しビックリしていたが
すぐにいつもの優しい顔に戻った。
ぺ「しにがみも俺を心配してくれてたんだよな、ありがとう」
いつもと変わらない声。だけど、表情は柔らかかった。
し「はい」
僕に笑いかけてくれるときのぺいんとさんは誰よりも綺麗だ。
ぺ「あと、来てくれてありがとう!」
し「はい!」
僕たちは少しの間見つめあった。それだけで心が通じる気がした。
ぺ・し「あのさ」
まさかここで声が合わさるとは思っていなくて、二人で笑いあった。
ぺ「ごめん笑」
し「いや謝ることじゃないですよ笑」
今さらだけど、こんなに笑い合える友達がいる僕は幸せ者だなと思った。
し「それで何ですか?」
ぺ「あ、俺から言っていいの?」
し「はい!」
ぺ「あのさ」
小さく深呼吸し、ぺいんとさんの言葉を待った。
ぺ「抱きついてもいい?」
し「え?」
ぺ「行くよ!」
し「わっ!?」
勢いがありすぎて、後ろのベッドに倒れてしまった。
し「ちょっぺいんとさん?!///」
名前を呼ぶと、抱き締める力が強くなった。
思わず僕も力一杯抱き締めた。
ぺ「好きだよ」
そう耳元で囁かれた。
ぺいんとさんの声が心地よかった。
ク「……………」
コメント
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アッメッチャイイデス… ここまでかけるのマジで尊敬です✨
うわぁ…クロノアさん…報われないな…でもしにー嬉しいだろうなーぺいんとさんは、マジで好きなんだろうな