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__翌日
自分の教室に入ると、中央の方で人だかりができていた。
まるで何かを囲っているかのように円になり、声を荒げている。
何かあったのだろうか。
俺もその現場を覗こうとすると
途端に、その人達は自分の席へと戻っていった。
俺が避けられているようにしか感じなかった。
__この学校に転校して来てから一ヶ月。
ここは何かがおかしい…。
数時間後
休み時間となり、俺は一人で机に突っ伏していた。
いつきは今日休んでいるし、することもない。
暇だった。
その時、とある男子生徒が俺の視界に移った。
と、彼が俺に目を向けたかと思うと、突然焦った様子で話し出した。
「はやてくん!」
「ど、どうしたの…?」
「俺、峰田蓮っていうんだけど」
「今急ぎでさ…」
「初の会話がこれで申し訳ないけど、この課題のプリント、先生に届けてくれる?」
早口でそう切り出した蓮。
いきなりのことで戸惑ったが、お願いはできるだけ聞いた方が印象もいい。
友達も作りたいし、いいかな。
そう思ってOKを出すと、彼は笑みを浮かべた。
「ありがと、助かる!」
「担任に届けといてほしい!」
「あ、先生のいる職員室までは、西の廊下通ったら近いよ!」
「ごめんねーよろしく!」
最後に更に早口でそういった後、彼は立ち去っていった。
「(なんだったんだ、あいつ…)」
「(それに、西廊下って、通ったらかえって遠回りにならないか…?)」
色々と疑問が湧いてきた。
その末、東廊下から職員室に行くことにした。
恐らく蓮の言い間違いだろう。
俺は急いで教室を出て、歩き始めた。
_休み時間終了間際
用が終わって教室で寛いでいると、どこからともなく蓮が現れた。
そして妙に俺の体をジロジロと見つめ、眉をひそめた。
「…あのさ、はやてくん、東廊下通ったでしょ」
いきなり言葉を発したかと思えば
それ?
なんでそこに目をつけるんだ?
どうでもよくないか?
そう思ったが、俺は正直に答える。
「うん、そうだけど…」
「なんでわかったの?」
蓮は答えた。
「…いや、ごめん、何もない」
「またな。今日はありがと」
そう言ってまた、自分の席について行く。
意味がわからない行動だった。
「…(なんだか不思議だなぁ…)」
この時の俺は、まだ、たいしてこのことを気にしていなかった。