この作品はいかがでしたか?
406
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Rあり☆(今回はなし)
キャラ崩壊あり☆
NTR要素あり☆(今回はなし)
直接的にはないけどモブエミあり☆
ご本人様とは関係なし☆
長いよ!☆
拙い文章ですがどうぞよろしくよろしくどうぞ〜↓
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某日、とある場所にて開催された結婚式。
主役は薄茶金の七三分けの髪をした男とその相手。
参列するのは彼の友人や同僚や仲間。
皆一様に笑顔で、本気で彼の結婚を祝福しているようだった。
ただ一人、影に隠れるものを除いて。
「あぁー、今日も疲れたぁ!!!!」
「ははっ、今日はもう金曜やから夜まで飲むぞ!!」
関西のとある居酒屋で数人の仕事終わりのサラリーマンが明日が土曜日の無敵感に浸りながら酒を飲んでいた。
カウンターに並んだ5人の中央に位置する男は、名前をエーミールと言った。
「エミさん、最近はどうなん」
シャオロンが尋ねる。
「おかげさまで平和に仲睦まじく暮らせてますよ。」
どう、というのも、エーミールはつい先月結婚式を挙げたばかりの新婚だった。晩婚ではあるが、気の合う女性と街コンで知り合ってそのままゴールイン。いままで散々いじられてきた街コンネタがまさか現実でいい方向に転ぶなんて、他のメンバーも、彼自身も予想していなかった出来事だった。
「しっかし、まさか本当に街コンで運命の相手見つけるなんてなぁ〜ようやったな、エミさん。」
枝豆をつまみながらゾムは言った。
「いえいえ、本当に青天の霹靂、こんなこともあるものですねぇ。」
「エーミールお前、こんな時間まで飲んでて嫁に怒られへんのけ」
もうすでに酒に悪酔いした鬱がエーミールにダル絡みし始める。周りは面白がって観戦するばかりだ。
「今日は遅くなるって伝えたので、大丈夫ですよ!」
「ほんなん、口では大丈夫言うても実際は早く帰るもんやろがい!せっかくできた嫁に愛想つかされるぞオオン!?」
「ちょ大先生声でかいもう少し抑えてw」
チーノが鬱を牽制するが、鬱がチーノの言うことを聞く訳が無い。ましてや酔っているなら余計に、だ。
「オオンなんだチーノ、やんのかテメェオルァ」
「あ駄目だこれ。シャオロン、鬱は任せた。」
「えそんなん俺も置いていくわ。なんで俺がコイツの介抱せなあかんねんふざけんなよ」
「でもシャオロン一番家近いやん」
「そんなん知らんわ勝手に帰れやw」
「シャオロンさん冷たぁ、、、w」
「おいエーミールぅ!嫁待たせとるんちゃうんかいや!早う帰れぇっ!!!」
「帰れは酷くなぁい?www」
「鬱、いくら明日休みやからって、撮影あるからな?遅刻したらトントンにブチのめされるぞw」
「トントンがなんぼのもんじゃい!!!!」
「あ、これ大先生終わったな()」
「トントン今頃バカでかいくしゃみしとるで」
「どっちかというと悪寒ちゃいますか」
他愛もない会話で盛り上がる。
時間はあっという間に過ぎるもので、腕時計をチラリと見るとエーミールは慌てた様子で「ごめん、妻を待たせているので先に帰ります!!!また明日!」と帰り支度を整えて居酒屋を出ていった。
「ぁ、、、待ってくれエーミール!」
突然、さっきまで大人しく酒のアテをつまんでいたゾムが大声でエーミールを呼び止めようとした。
「ん、ゾム、、、どないしたん、?」
「エーミールに送り届けてもらいたいんちゃうん」
「エミさんでももうだいぶ見えんくなってしまったけど」
ゾムは自分の鞄と上着をひったくるようにして手に取ると、エーミールを追って急いでその場を飛び出していった。
「、、、、エーミール!まっ、、、待ってくれ!」
ゾムは、駐車場で車に乗り込もうとしていたエーミールになんとか追いついて引き止める。
「ん、あれ?ゾムさん!どうしたんですか?そんな息切らしてまで、、、」
「今日、エミさんの車で送り届けてくれへんか、、、?」
いつものことだ。居酒屋で酔ったゾムをエーミールが車で送り届ける。何も変わったことは頼んでいない。それなのに、、、、、
「ぇ、、、しかし、今日は家に妻を待たせていますので、、、すみません。」
「、、、ぁ、、、、そ、そっ、か。すまんな、、、無理言って、、、、、。」
「はい、それではまた明日の撮影で。」
エーミールがゾムを送り届けることをしなくなったのは、明らかに結婚してからだった。ゾムはどれだけその時絶望の表情をしていただろうか。
エーミールは、俺の頼みを聞いてくれたのに、、、
エーミールは、俺の唯一無二の友人やったのに、、、
エーミールは、、、俺のモンやったのに、、、、、!
ゾムは、エーミールの車を見送りながら心の中で歯を食いしばる。今まで一番仲の良かったエーミールがいとも簡単に奪われてしまった。
エーミールの結婚を素直に喜べなかったのも、そんな危惧がよぎったからだった。実際それは現実となって今までのエーミールとの関係に深く変異をもたらすことになったのだが。
「エーミール、、、、、」
酔っているせいもあるだろう。ゾムの目からは悔しさと寂しさとほんの少しの後悔が溢れ出して止まない。こんな姿ではチーノたちのもとに帰る事もできない。
鞄も上着も、持ち物は全て持ってきた。
エーミールが送り届けてくれる微かな希望に賭けたからだ。
そんな希望、打ち消されるとどこかではわかっていたのに。
ゾムは震える手でタクシーを呼び、独りで夜の街を尻目に帰っていった。
翌日ーーー
二日酔いで頭が痛い。
撮影あるから起きなきゃいかんけど、思うように体が動かん。
ゾムはベッドから滑り落ちるようにしてなんとか動こうと試みるが、いくら頑張っても吐き気も頭痛も一向に治まる気配がない。
これは、、、今日の撮影欠席やな、、、。
傍らの充電器に挿してあるスマホを手にとって、ポチポチと歪む視界の中欠席の連絡を入れる。
ホーム画面の壁紙にしている写真を見て、ゾムの吐き気はさらに酷くなる。
2人でよく行った天ぷら屋で撮ったツーショット。
一ヶ月に一回の頻度で行ってたよな。お前から飯誘ってくれて、本当に楽しかったよな。笑顔が絶えんくて、飯も美味くて、、、。
今じゃ俺と飯行ってくれへんやん。
昔さ、俺が二日酔いでこうやって死んでたときも心配して介抱しに来てくれたよな、お前。
今じゃそんなことしてくれへん。
、、、、あーあ。
俺ってなんで幸せが続くと思ってたんやろ。好きなアイツのこと、ずっと近くで見てられるなんて都合が良すぎたんや。
俺の言うことを聞いてくれて、俺に構ってくれて、俺のことを一番に見てくれて、俺の一番好きな人、、、
そんな幻想、所詮一時の夢やったんや。
お前は結婚式で今まで俺に見せたことない笑顔やったよな。
幸せそうで幸せそうで、ちょっとだけお前が不幸になればいいのに、って思ってしまった。
そしたら、俺が慰めてやれる。
また、お前の一番になれる、、、、?
お前は、俺だけを見てくれる、、、、、?
、、、、、、、、、、、、、、、っ!!!!!
ゾムは頭痛なんてものを忘れてガバっと起き上がる。
なにかひらめいたような、この世のものではない悪い悪い笑みを浮かべて、口角を吊り上げて不気味に笑い声をあげる。
「はははっ、、、、なんて簡単な話やったんや。そうか、そうすれば、エミさんはまた俺のもとに戻ってきてくれるやんか。俺だけを見てくれるやんか。俺だけのモンになってくれるやんか、、、、、!」
待っててな、エミさん。
今、俺が迎えに行くからな。
「ゾムさん、どうやら欠席みたいですよ。二日酔いらしいです。」
「え、まじぃ?ゾムに限って二日酔いとか珍しいなぁ。」
トントンは悩んだような声を上げると頭をかきむしってさらに深い溜め息をつく。
「今日の撮影、ゾムがおらへんと単純に人員不足で辛いねんなぁ、、、。他の面子は全員予定あるらしいし。」
「あー、なるほど、、、今日の撮影は諦めるしかない感じですか、、、?」
「うーん、、、、、」
悩んでいたトントンは、急に何かに閃いたと言わんばかりに指をパチンと鳴らして提案する。
「じゃああれやん、エミさんがゾム起こしに行ってや。」
「、、、ぇ?」
「お前今まで二日酔いのゾム介抱しとったやろ?今日もアイツの家まで行って介抱してきてくれへんか」
「しかし、、、、うちには妻がいるので、あまり他の人の家に行くのは、、、。」
「、、、、、お前さ。ホンマにゾムに対して淡白になったよな。」
「そ、そう、、、ですか、、、。」
「昔なら喜んで車かっ飛ばしたのに、今は何や、妻がいるからゾムの家行けないだぁ?」
「はい、別に取り決めはないんですが、私自身の誓約としてゾムさんの家には行かないように努めてるんです、、、。」
「そらまたなんでやねん」
「それは、、、、、、、」
「〜〜♪〜〜〜〜〜〜♫」
鼻歌が部屋の一角から聞こえる。
やけにご機嫌で、単調なメロディのそれはどうやらゾムから発せられているようだった。
当のゾムはなにやらベッドに寝転がって目をつぶり、時たま目を開けては天井を眺めて嬉しそうに再度目を閉じるを繰り返している。
どうやら考え事をしているときの癖らしい。
「えーみさんっ、俺がお前のこといーっぱい愛したるから」
「お前はさぞええ顔をするんやろうなぁ~」
「ちょっとだけ辛いかもしれんけど、それ以上に俺がいっぱい慰めて愛したるからな〜」
「今まで以上に俺に依存してくれよ?」
「全力で、受け止めたるから」
数日後、撮影外でエーミールに呼び出されたシャオロンとチーノは、その異様な空気感に息を呑んだ。
エーミールは見たこともないくらいにげっそりとして、痩せたというよりかはストレスでやつれたような見た目をして、目の下には濃いクッキリとした隈も確認できるレベルだった。
「ぁ、、、、え、エミさん、、、?どうしたん、、、。」
「あぁ、、、シャオロンさん、チーノくん、それにゾムさんも、、、。急な呼び出しに応じてくださってありがとうございます、、、。」
「いや、それは別にええねん。けど、エミさんはなんでそんなげっそりしてんの、、、?なんかあった?」
その場の雰囲気がなんとも言えない強張った緊張感を醸し出している。チーノとシャオロンは何もわからずただ目の前のやつれた男を心配する他なかった。
「そのことでご相談があって、、、。」
「う、うん、、、。」
「あ、の、、、。実は、、、私、、、、、浮気されてしまって、、、、ヒグッもう、どうしていいか、、、分からなくて、、、グスッ」
「なっ、、、、嫁さんに浮気されたん、、、、?それ気付いたのいつくらい?」
「本当っ、に昨日の、、、ゥグッ晩で、、、、グズッ」
「エミさんがいるのに浮気するとか、、、そいつホンマサイテーやな。俺が締めてやろうか?」
「ゾムさん、、、、、グスッ」
「締める、、、は流石にやりすぎやけど、見返してやることはできるんちゃうか。エミさんは、どうしたいんや」
「俺は、お前をずっと応援してサポートしたるから。」
「シャオロンさん、、ゾムさん、、、、。ありがとう、ございます、、、。」
「とりあえずさ、エミさんは離婚する気あるん?ぶっちゃけ。」
チーノの問いかけに逡巡の迷いを見せたエーミールだったが、やがてコクリと首をゆっくり縦に振った。
「きっと、ただ街コンで知り合ったに過ぎない私に愛情はそれ程なかったのでしょう。それならば、私も覚悟を決めて、ばっさりと関係を切ろうと思うんです。」
エーミールの目は嘘も冗談も迷いもなく、ただ真っ直ぐに座って3人を見つめている。
その様子を見てコイツは本気だと悟ったシャオロンが具体的な計画を提案する。チーノがより詳しい話を聞き出す。なんの因果で、どこで、いつ発覚したのか。聞くたびに苦しそうで苦い表情を浮かべるエーミールに胸が痛くなったが、今はそれ以上にやるべきことがある。
呼び出された昼間から、あっという間に日の暮れに時間は飛び、一通り計画を立て終わったその場全員でふぅ、と溜め息をついたのはすっかり空が闇に包まれた後だった。
「無難でありきたり、なんのひねりもない計画だけど、一旦完成したな。」
「ああ、これで馬鹿な浮気妻を見返せるだろうな。」
「チーノ君、シャオロンさん、ゾムさん、本当に今日はありがとうございました。大切な休日をこんなフルに使ってくださって、感謝しきれません、、、。」
「そんなんいいってことよ。エミさんが悲しんどるんやったら精一杯手助けするのが仲間、ってもんだろ?」
「ゾムさん、、、、、」
「じゃあ、今日はもう俺らは帰るな。明日仕事やし、早めに失礼するわ。」
「エミさん、あんま気ぃ落とすなよ!次があるよ!」
チーノの励ましが効いたのか、未だ少し未練がましく俯いていたエーミールは顔をあげてニコリと微笑み、「ありがとうございます」と2人の帰りを見送った。
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「ゾムさん、今日は遅くまでありがとうございました。ホンマに、ありがとう、、、。」
「いいってばよ。それよりもさ、この後なんか予定あんの?」
「えっ、いえ、無いですよ!」
「そ。じゃあさ、久しぶりに2人で飯でも行かへんか?」
予想していなかった問いに迷うことはなかった。
「ええ、行きましょう!!」
何ヶ月ぶりだろう。大して期間は空いていないのに、エーミールと2人で出かけられることがこんなに嬉しい。
ゾムは喜色満面の笑顔でエーミールの手を引く。
エーミールもまた、嬉しいと全身で表現するようにスキップでついていく。
夜も深まった頃、夜道を車で駆ける2人はとても幸せそうな表情をしていた。
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続く→
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うわぁぁぁぁぁぁぁん(ノД`) 幸せからの急転直下……emさん辛すぎンゴ… そしてzmさん…ナニしたんや……(不穏すぎて好き🩷)