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雨と涙
自由少女
いつもより早く寝たからか、こんな時間に起きてしまった。外は雨が降っていて、大粒の水が窓を叩いている。大変大きな音だったので、動画を流していた。そうしたら、突然涙が溢れた。その理由は分かろうとしたけど、分からなかった。
そうだ。思い出した。幼い頃はどんな些細な痛みでも声に出していた。でも今は?ただ堪えているだけじゃないか。そんなことをしてるのに、私は前まで「誰も助けてくれない」だの、「誰も気づいてくれない」だの、よく言えたものだ。嫌違う………………、そうか。わかった。思い出した。堪えるしかなかったんだ。「泣いてちゃ分からない」とか、「○歳にもなって…」とか。皆言われたでしょ?それから泣くことが出来なくなったんじゃないかな。「泣いていいよ」なんて言われないと思いっきり泣けないような人間になってしまった。
私が泣いた理由は、母のぬくもりを思い出したからだ。何かあればすぐに駆けつけてくれた。雨粒が大きな音を立てていたとき、よく抱き締めてくれた。その時のぬくもりを思い出した。私は大きな音が苦手だ。意味のない大きな音が大嫌いだ。それが怒鳴り声だったり、選挙の宣伝放送だったりする。雨は好きだ。でも、こんな夜中に降る雨は少し寂しい。だからって、朝を知らせる小鳥の声は聞きたくない。ああ、今日も一日が始まってしまう。不思議な時間旅行がもうすぐ終わる。最近は不思議な夜に会わなくなったから、もう出会うことはないと思っていた。この時間だけは誰も邪魔できない。皆は夢の中にいて、私は世界の一部になっているからだ。