夜風
自由少女
電車の音に耳を澄ませ、りんごジュースを口に含み、夜風に身を任せる。街灯が私を覗いている。秋の気配と香りが全身を包んでいく。ざわざわと草木の降れる音。場に合わないバイク音。どれもこれも愛おしく感じる。やはり夜になると外に出たくなる。理由はとくにないけど、なんとなくアスファルトの地面を踏みたくなる。トッ、トッと足をならして。どこに向かうかもわからないまま。
一度だけ駄々をこねて夜の散歩に行ったことがあった。普段見る世界が全く違って、私の目にはとても神秘的に見えたのだ。
もし私が独り暮らしを始めたら、熱々のカフェオレを持ちながら湯気をたてて月を見上げるだろう。その時間だけは全てから解放されるのだ。時間、人間関係、過去、未来、今、全て。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!