放られた阿部ちゃんのスマホはマナーモードにしてあったので、柔らかいラグの上で振動が吸収されているけど、それでも静まり返った中では一度切れて、また少しして鳴り始めているのがわかる。
🤍(めめって意外と鬼電とかするんだ)
俺は阿部ちゃんを組み敷いたまま、他人事みたいに考えてすぐ我に返った。
正直こんなのはハッタリだし、このまま無理やりどうこうしようなんて考えてない。
でも俺を見上げる阿部ちゃんの表情に驚きや恐怖はなく、この状況でその顔できるの?と思うくらい落ち着き払っている。
こうなると逆に、自分のノープランぶりと人生経験の浅さが嫌になってくる。
💚「考えなかったよ?」
阿部ちゃんがふいに発した一言。
俺ははじめ、その意味すらすぐにわからなかった。
そして、記憶を呼び戻して自分の発言をやっと思い出す。
明らかに自分を狙っている俺を家にあげて、2人きりで、それでもこうなる考えはなかったということだ。
なんで?
俺が恋愛対象じゃないから?
出かかって、そうだと言われたらと思うと怖くて、飲み込む。
自分で聞いたのに、それに対する阿部ちゃんの答えの真意を問う勇気は出なかった。
また静寂を取り戻してしまった部屋の中で、めめからの着信を知らせる僅かなバイブレーションだけが響く。
コメント
7件
うわーー切ないなぁ… そもそも眼中にないのか🥲ラウー🥹🤍
うえーーーん😫😫 らうが可哀想だよーーーー(繋がって得た感想