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「もしもし…?」
『…あっ!…俺。久しぶり…!いま大丈夫…?』
「うん、大丈夫だよ。久しぶりだね。……元気してた…??」
『…元気では…なかったかな。ゆうは?』
「元気じゃなかったの?(笑)元気だったよ〜!あ、知ってると思うけど、引っ越し…したんだよ。いまもう東京戻って、前にいた会社いるよ。」
『…うん。知ってる。…手越さんに聞……いた…。』
多分、元気じゃないと言ったのは私に会えなかったからという事を言っているんだろうなとすぐに分かった。あきらくんはそういう人だ。私なら思っても恥ずかしくて言えないことを言える人。おそらく理由までいま言わないのは、今の関係は言ってもいいのか分からないからだろうなと思った。
引っ越しのもきっと他の人から聞いたのは面白くなかったはず。でも、それを怒る立場に今、自分がいないことを分かっているからこそなにも言えないんだろうなともわかった。
肝心のカタはついたのかどうか早く聞きたかった。けど、それを話し出すのはあきらくんからにしてほしいと思っていた。
少しの沈黙があったり、ちょっとぎこちなかったり…としていたけどすぐに付き合ってるときと同じような感じになれた。
あきらくんの声を聞きながら、あーこういう声だったな。でも実際の声と電話はちょっと違うんだよな〜とかそんなことを考えていた。
しばらく仕事の話などしていたのだが、空気感が変わった。電話口でもそれがわかった。
緊張してるのがわかった。
『…ゆう、あのさ…。』
「…うん。なに…??」
『…待たせてごめん…。ほんとにごめん…。ちゃんと…カタつけてきたから…!!!ちゃんと終わらせてきたから…!』
「うん。…待ってたよ。こーんな美人ほっといて心配になんないのかなーって思いながらめーっちゃくちゃ待ってたよっ!(笑)」
『それが心配だった!誰か寄ってきてないかとか気になってしょうがなかった…!でもまだ連絡したらダメだと思って…』
そこから、実家に戻ったことや親に返済するためのお金を貯めていたことなどを聞いた。
ああ、きちんと考えてたんだなと思った。
離婚してすぐ親にお金を借りたまんま電話をかけてくるような男じゃなくてよかったと思った。
あまり貯金がないことにも驚いたが…まぁ自分も若い時は貯められなかったなぁ〜ともぼんやり思っていた。
それと同時に…
早く“会いたい”って言ってくれないかな…と思っていた。
そこから最近ハマっている曲の話やお菓子の話など他愛もない話をしていた。それでもデートの誘いもなければもう一度付き合ってほしいなどの話にもならない。
…もうそういう対象ではなくなったのかな…。
電話をしながら帰りすでに
家に付いていて、もう1時間はたった。
お風呂が沸いたお知らせ音がなった。
『あ、ゆうこれからお風呂入らなきゃだよね。いま音聞こえた。ごめん長々と!』
「うんいま沸いたみたい〜!明日も仕事だお風呂入ってくるね!電話…ありがとう。…ほんとに嬉しかった。こちらこそ長々とごめんね。…じゃあ…」
『あのさ!!!』
『…あのさ、
…会いたいんだけど…。』
いついってくれるのかなと電話中ずっと待っていた言葉だった。
自分も言いたかった言葉だった。
でも、待たされた側の意地があって自分からは言いたくない言葉でもあった。
「やっと言ってくれた〜!言われずに電話終わっちゃうと思ったよー!!(笑)」
「…うん、私も会いたい。…デートしよ♪♪」
『!!!うん!!』
あからさまにテンションが上がったあきらくんが相変わらず過ぎて笑ってしまった。
詳細はまたあとで決めるという事で電話を切り、お風呂に入った。
湯船に浸かりながら“…電話が来たんだ…”と考えていた。
実感があるようなないような不思議な感じだった。
半年の間、はじめは考えてない時間は無いんじゃないかっていうほどに毎日いつでも彼を考えていた。
次第に考えない時間も出てくるようになっていた。
それでもやっぱり、まるっきり私の中から消えることも無かった。
待ってるとはいったものの、どうなるか分からないから万が一の良くない結果を考えて自分の中で予防線をひいていたのかもしれない。
待つと言ったくせに、考えないように…忘れるようにするのは矛盾するからだ。なぜそんな、矛盾するような真似をしたかを考えるとそういう答えに行き着いた。
結局は離れることが怖かったんだ。
傷つくのが怖かった。
もうこれ以上傷付きたくなかった。
別れることになった理由は前妻がほんとは離婚届を出していなかったことだけれど、それをすぐに話してくれないことでかなりの不信感を持った。
あとやはり一瞬でも浮気相手という立ち位置になっていたのが許せなかった。あきらくんも知らなかったにせよ、だ。
周りからしたら何言っているんだという立場になるのはわかっているが…傷ついた。
もし慰謝料請求でもされれば払わなければいけない立場になっていた。
既婚なのを知っていて関係をすすめるなら覚悟をもつのだろうけれど、生憎この性格だ。人のものには興味ない。相手がいるのにすり寄ってくるやつに興味もわかない。
だからこそ、ショックだった。
この半年色んな事を考えた。
このまんま一方的に終わりにしても良かった。
けど出来なかった。
これからちゃんとまた向き合える。
今度こそほんとにまっさらな状態から…!
考えない日もあったはずなのに、電話一本でこんなにも頭の中があきらくんでいっぱいになってしまう自分に呆れてしまいながらも、
いつもよりも念入りにトリートメントやボディークレンジングをしてお風呂をでた。
Tea.・*°
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