『ねね見て見て曽良くん。』
とかの有名な俳聖松尾芭蕉がお供の河合曽良に呼びかける。
松尾が指を指す先には坂道の端っこに植えられた木に巣があり、その中には雛が居た。
『どうしたんですか、これが。まさか採って喰う訳じゃないですよね?』
河合が松尾を引いた目で見る。
『そんなわけないでしょ!可哀想だよ雛達が──────』
松尾が河合に怒っていると松尾が足を滑らせ坂道に落ちていく。
『芭蕉さんッ!!』
河合が手を伸ばしたがそんなのも聞かずに落ちていった。
河合は急いで落ちていった松尾の元に駆け寄って行った。
『生きてますか?芭蕉さん』
河合はそこら辺にあった木の棒で松尾を突く。
『だ、大丈夫だよ』
松尾は起き上がった。
『行きますよ』
河合が松尾に手を差し伸べ行こうとすると、松尾が痛ッと言う。
『そ、曽良くん』
松尾は震えながら呼びかける。
『なんですか?』
河合は松尾の方をむく。
『足動かない……』
松尾が発した言葉の通り足を見ると酷く腫れていた。骨が折れているようだ。
『しかたないですね、』
と河合が、松尾をおんぶする。
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