「Hi, ボイスフレンズ。TVの電源を点けて」
【Yes】
するとTVの電源がパッと点き、ニュース番組が流れた。
「すごいじゃないか、このロボット」
「最近のロボットって、本当に色んなことができるのね。母さん楽できそう」
両親は嬉しそうに言った。
「そうでしょ、そうでしょ! 買ってきてよかったでしょ」
私は自慢げに答える。
「響子が『はじめてのお給料は家族全員で喜ぶ物にします!』って宣言したのに、最初ロボットを買ってきたから私びっくりしちゃったわ」
「父さんは気に入ったぞ、新しい家族みたいな感じでいいじゃないか」
両親の反応に私は内心でガッツポーズを取った。
母は私の様子を微笑ましそうに見ている。
少し恥ずかしく思いながら、私は説明書を手に取り読み始めた。
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ボイスフレンズ
それはあなたをサポートする新たな友人。
あなたが出したアプリからの指示で、家の中の作業をサポートします。
冷蔵庫になにが入っているの?
献立を考えて!
部屋の温度を下げて!
ヒーリング音楽を流して!
明日の天気を教えて!
TVの電源を点けて!
ボイスフレンズと連携している家電は”なんでも”対応いたします。
それでは、ボイスフレンズとの生活をお楽しみください!
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「説明書もセンスがあって素敵ね、えっとこのイヤホンみたいなのを耳につければいいの?」
机の上に置いてある箱から、物珍しげにイヤーカフのようなデバイスを手に取って眺める母。
「そう、耳に装着したデバイスから自分の声を拾って操作してくれるの。便利でしょ」
「なんだか、大金持ちになった気分だな」
はははと機嫌よく笑う父。
「お父さん、それはいいすぎ」
近年、世界中のスマートホーム家電やサポートロボットのシェアNo.1を誇る
Smart Voice Technology, Inc、略してSVT社。
私達の生活を激変させ、豊かな暮らしをもたらしてくれたデバイスを作った会社。
そう言えば、いつの間にかボイスフレンズが身の回りに溶け込んでいた。
いつから、ボイスフレンズってあったんだっけ?
まあ、いいか。私達の生活はボイスフレンズのおかげで快適になったもんね!
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