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それからまた1週間経って、蓮の綻びが更に大きくなってきた。
マネージャー以外の事務所のスタッフも、蓮の体調を心配する声が出始めた。
まだメイクや衣装で何とか誤魔化せる。でも、これ以上になるともう隠せない。
だけど蓮は、誰の言葉にも「大丈夫」しか返さない。
大丈夫って何だよ。何がだよ。
お昼に出る弁当やケータリングだって、全然手を付けてないの知ってるんだぞこっちは!
届かない言葉に焦燥感ばかり募っていく。
そしてある日。とうとう蓮に連絡が付かなくなった。
集合時間を過ぎても姿を見せず、どれだけ連絡しても電話は出ないしメッセージも既読にならない。
予想出来たような、それでも衝撃的な事態に、周囲の音が遠くに聞こえた。
やだよ、蓮。こんなのやだよ。
別れても大丈夫って思ったのは、蓮の姿があったから。
蓮が大きく成長して、もっと有名になっていく姿を見られれば十分だって思ったから。
俺と別れただけで、こんなことになると思わなかったから。
「おいっ!!」
パァンッ!! と目の前で大きな音がする。
驚いて顔を上げると、俺の顔の前で翔太が思い切り両手を叩いてた。
「ぼーっとしてんなよ! 早くめめのとこ行けよ!!」
「で、でも」
「でもじゃねーよ! ここまで来たら分かんだろ?! お前、マジでめめの想い舐め過ぎ!!」
「翔太…」
「めめがどんだけお前のこと好きか、何で分かんねーんだよ! あれはなぁ、もう執着とか依存って言ってもいいレベルだったぞ!? お前といたから、めめはめめだったんだよ!!」
真剣な顔で怒鳴りつける翔太の背中を、涼太が労わるようにトントンと叩く。深澤も、少し涙目になった翔太の頭をぐしゃぐしゃ撫でて「やめろ」と言われてた。
「翔太の言うことはさ、ちょっと極端だけどその通りだよ。めめは佐久間がいたから、『目黒蓮』として頑張れてるって思ってた」
「佐久間は目黒の元気の源で、精神安定剤だから」
深澤と涼太にもそう言われて、頭が混乱する。
そんな風に、蓮に深く深く想われてるなんて気付きもしなかった。
じゃあ、俺の選択は最初から間違ってたってこと?
もしみんなの言う通り間違えていて、蓮を傷付けたのだとしたら。俺が今、蓮のところに行く資格なんてあるのかな。
だって俺が蓮を追い詰めたんじゃないか。
「佐久間くん。めめのとこ行ってあげてよ」
「…ラウール…」
「めめは今でも佐久間くんのこと好きだよ。だって、ずーっと佐久間くんのこと目で追ってたもん。多分、佐久間くん以外好きになれないんだと思う」
「え…」
「だからさ、めめのことよろしくね」
みんなに背中を押される。「めめのこと頼む」って託されて、悩んでる場合じゃないって思った。
選択を後悔するなら後ですればいい。蓮が俺を拒絶しても、それはそれで仕方ない。とにかく今は、蓮のところに行かなくちゃ。
蓮と連絡を取ろうと必死になってるマネージャーの元へ駆け寄って、蓮のところへ連れてってくれるように話した。
「俺、蓮の家の合鍵預かってる! 俺が行けば中に入れるから!! だから一緒に連れてって!!」
俺の剣幕に押されたようにマネージャーは頷いて、一緒に蓮の家に向かった。