テラーノベル
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カジノの空気は、いつだって少しだけ狂っている。
音も、光も、人の視線も。
全部が“もう一歩踏み外せば終わる場所”にちょうどいい温度で揃っている。
「――で、ビビってんのか?」
低く笑ったのはチャンスだった。
黒のスーツ、ラフに緩めたネクタイ。指先でコインを弾きながら、わざとらしくエリオットを見る。
「別に。……ただ、こういうの慣れてないだけ」
エリオットはグラスを持ったまま、視線だけ逸らす。
シャンデリアの光が軽く結んだ金髪に反射して、やけに目立つ。
「嘘つけ。心臓うるせぇの、こっちまで聞こえてんぞ」
「は?聞こえるわけ――」
「賭けるか?」
遮るように、コインが空中に弾かれた。
くるり、と回る銀色。
落ちてくるそれを、チャンスは手の甲で受け止める。
「表なら、お前が今日は全部決める」
「裏なら――」
一拍。
「俺の言う通りに動け」
エリオットは一瞬だけ黙った。
その沈黙が、妙に長く感じる。
「……くだらない」
そう言いながらも、視線はコインから外れない。
「で?乗るのかよ」
チャンスが笑う。
逃げ場は、もう最初から用意されていないみたいに。
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ゆゆゆゆ
ゆゆゆゆ
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