東京都 都庁
生命体が死亡して1週間が経過した。夕日が知事の部屋に差し込む中、知事の元に1本の電話がかかってくる。
「もしもし……?」
「知事!国立研究所の黒霧です!」
「これはこれは…黒霧所長ではありませんか。本日はどういうご要件で?」
「知事があの生命体の死体を米国に渡したと聞きました!なぜ私たち国立研究所に提供しなかったのですか!!!」
電話の向こうから怒声が聞こえてくる。
「おや?私は、今後このような事態を起こさないために、米国に提供したまでですが?それにあなた達のミスで今回、このような事態になったのはご存知で?」
「………」
「それに聞きましたよ〜。あの化け物が国立研究所から脱走したのに研究員全員、無傷だそうですね?あんなに凶暴だった生命体が近くの人間を襲わないわけがないと思うのですが?」
「戯言はよしていただきたい…」
戯言という言葉に、知事の堪忍袋がはち切れる。知事はデスクを叩き勢いよく立ち上がる。
「戯言とはなんだ!!貴様らのミスのせいでこうなったのは事実当然だろ!!貴様らのミスのせいで日本人はおろかアメリカ人の死者も出している!!この結果に貴様らは何も感じぬのか!! 」
「………」
「隠し通しても無駄だ。あの生命体は貴様らが解き放ったのだろう?アメリカが今、あの生命体の研究を行っている。お前らが国際的抹殺を受ける日もそう遠くないだろう。首を洗って覚悟しておけ。」
知事はガチャっと受話器を戻す。
知事の予想は命中していた。アメリカの研究で生命体の体内から国立研究所にある試料から合成された謎のウイルスが検出された。この情報はすぐさま日本にも届き日本政府は自衛隊を国立研究所に向かわせた。自衛隊は国立研究所内の研究員ら全員を差し押さえその場で拘束した。自衛隊の化学特化部隊が研究所内の薬品や機材を調べたところ、アメリカで検出されたあのウイルスと同等なものがいくつも発見された。黒霧所長含む研究員全員がその場で処刑指示を受け、研究所前で自衛隊によって全員射殺された。
2年後 東京都 渋谷駅 構内
時刻は午後8時20分。ちょうど駅構内は帰宅ラッシュで大勢の人で握あっていた。そんな駅構内に2人の女子高生が入ってくる。
「ねぇ知ってる?ここで2年前、無差別殺人事件が起こったの。」
「知ってるよ〜バカにしないでよ〜?」
「やっぱりさすがに〜?」
2人が切符を購入し人気の少ない通路に来た時だった。
「そういえばさ……ッ!!!!」
「ん〜…?」
1人が後ろを見ると、そこには友人のバッグが落ちていた。友人の姿は通路のどこにも見当たらない。
「えっ…由香…?どこにいったの…?」
その時、曲がり角の通路から足音が聞こえてくる。彼女は曲がり角に近ずき通路を曲がる。
「由香…?えっ……」
彼女の前には、血だらけの友人を引きずる頭がT字型で腕が職種の人間がいた。
「えっ…うそ…キャアアアアアーーー!!!!」
その後、渋谷駅前の交番にこのような通報が入る……
「化け物の被り物を被った男が無差別に人々に斬りかかっている」
っと…………
東京の厄神 【完】
コメント
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ゾクゾクしたねぇ……