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「最近の涼ちゃんの衣装って可愛いよね」
「えっ、ありがとう、嬉しい♡」
最近撮りためていた写真を見返しながらつい本音が声になって出てしまった。
「ほんと、かわいい···」
「なんでそんな嫌そうに言うの?」
浮かない顔の俺になになに、と涼ちゃんは顔を近づけて様子をうかがってくる。
別に嫌なんかじゃない、心から可愛いと思うしなんならキュン死にしそうなくらいどタイプなわけで。別にフェミニンなのが好きとかではないけれど涼ちゃんが着ると何着ても似合っていて、それはもうとにかく可愛い。
「けどこれ、元貴が選んでるんだよね···」
そう。俺たちの衣装はほとんどが元貴が選んでいて、その涼ちゃんにとっても似合う衣装もそういうわけで。
ネットでは大森さんの好みだよね、なんて声も見かける。
なんだか少し、涼ちゃんに似合う服を元貴は熟知しているのだと思うと彼氏として複雑な気持ちで···勝手にモヤモヤとしてしまっている俺がいる。
メイクも服も。
一番可愛い涼ちゃんは俺が知ってる!と言いたいところだけど、元貴には敵わなくって。
「涼ちゃんが可愛すぎるからいけないんだ」
良くわからない言いがかり?を投げかける。
「もう、どういうこと?」
笑って涼ちゃんは俺の頭を撫でてながらわからないなりに、なんとなく俺が不満そうなのを察してくれる。
「元貴が聞いたら喜ぶと思うよ?だって若井が喜びそうなのを僕に着せてるって言ってたから」
これも、これもって写真を見せながらね?好き?と聞いてくる。
「元貴は俺の好みをわかってて好きそうな衣装を涼ちゃんに着せてるってこと?」
「うん、迷った時はどっちを着た僕のほうが若井が好きって思うかなって選んでるって」
なにそれ。
元貴が熟知してるのは俺の好みってこと???···すんごいわかってるじゃん。
「元貴凄いな、まさに全部俺の好み、ヘアメイクも何もかも」
「なら良かった、僕は若井に好きって言ってもらうのが一番だよ」
もちろんメイクなんてしてなくても、フェミニンじゃなくても、どんな涼ちゃんも好きなんだけど。
「僕も若井の衣装とかヘアメイクどれも素敵だから好き」
「嬉しい」
すっかり期限が良くなった俺の耳元に涼ちゃんが顔を近づける。
「何も着てない若井も僕好きだよ♡」
「ちょっと···涼ちゃんのえっち」
ふふ、といたずらっこみたいな笑顔で笑う涼ちゃんを見て俺も吹き出してしまって2人でしばらく笑ってしまった。
次の日、仕事に行くと既に元貴が来ていたのでおはよ、と挨拶してから話しかける。
「元貴って本当にセンス良いから、これからも涼ちゃんの衣装期待してます!」
そういって頭を下げると元貴がにやっと笑ってこっちを見た。
「そうでしょ、もっと褒めてよ。って2人して同じようなこといって···」
「同じようなことって?」
「俺が選ぶ若井の衣装大好きだからこれからも僕の好みにしてねって」
恥ずかしい、2人して元貴にそんなことを言ってしまうなんて。焦る俺に対して元貴は涼しい顔をしている。
「けど若井からはもっとカッコいい、メンズって感じの服を増やしてって言われるかと思ってたよ、スーツ着てたときとかすごい喜んでたから」
そんなこともバレてましたか···と思うと更に恥ずかしくて顔が熱い。
「あー、まぁ、好き、大好きなんだけど···その···カッコいい涼ちゃんは俺だけが知ってたらいいかなぁって···2人きりの時とか、カッコよくて男らしいところあるから···」
「もうただの惚気じゃん···それ、たぶん涼ちゃんも思ってそう。はぁ、次は若井にドレス着せて涼ちゃんにはタキシードでも着てもらおうか」
大きくはぁ、とため息をつきながらもなんだか楽しそうな元貴に俺にドレスはやめておいてよって心からお願いした。
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