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また俺は悩んでいた。
それは大切な恋人のこと。
「元貴、ちょっと相談なんだけど」
俺たちのフロントマンである元貴と二人きりのときに改めて声を掛ける。
「いやだけど」
「ちょっと!まだなにも言ってないって!」
「だいたいわかる、お前の考えてることくらい」
「はぁっ?俺の悩みはそんな単純じゃねーのよ」
「俺たち何年一緒にいると思ってんの?どうせ涼ちゃん絡みでしょ?最近涼ちゃんの色気が凄いからちょっと衣装とか髪色とか大人しめにしてよ〜とか言っちゃうんでしょ?」
すずいっと眉間にしわを寄せて元貴が俺に顔を近づける。
俺はぐうの根も出ない。だってドンピシャにそれを言おうとしていたんだから。
「だってだって元貴が悪いんだよ!ピンクっぽい色のスーツ、ちょっと色落ちした髪色とか挙句色付きサングラス!浴衣まで!何着てもカッコいいし!ちょっと痩せて更にカッコよくなっちゃって、けどなんか行動は天然で余計あざとい!どーすんだよ!カッコいい姿を見るのは俺だけにして!」
一気にたたみかけハァハァと息する俺を見てニヤッと笑うとほらみろ、と元貴はため息をついた。
「いいじゃない、恋人が色気増しててカッコいいなんて名誉でしょう」
「距離感は近いしさぁ、どうなってんの?他の人と喋ってほしくない、なんなら俺とだけしか喋んないでっ」
本人に言いたくても言えないことをニヤニヤしてる元貴に全部ぶちまける。
「だから前も言ったけどカップルで同じことを俺に言いにくんのやめてよね」
まったくもう、と俺を通り過ぎて後ろにあったドアを開けるとそこには涼ちゃんが顔を真っ赤にして突っ立っている。
「なっ、えっ、いつから?!聞いてたの?嘘でしょ?!」
「すりガラスだから涼ちゃんがいるのはすぐわかったよ、わりと最初から」
「言えよぉ···ひどい、2人とも···!」
「情緒不安定かよ」
思わず机に突っ伏す俺を笑う元貴と何も言わない涼ちゃんというカオスな空気感でほんとに泣きそうになる。
「若井がそんなふうに僕のこと思ってくれてたなんて嬉しいよ、泣かないでよぉ」
ポンポンと頭を撫で俺の隣に座る。
優しい涼ちゃん···その優しさが逆に更に恥ずかしい。
「そもそも、涼ちゃんのほうが先だったんだから。最近若井がカッコいいからどうしようって」
「ちょっと!それ言わないでよっ」
「モテるしカッコいいから心配だーって。だから俺が言ったの、若井よりカッコいい色気ある男になったら安心なんじゃないって、若井もイチコロだし。んでそうなったら本当にイチコロな若井が泣きついてきたと···」
「もおぉ、言わないで!」
「は、えっ?えっ?」
何、涼ちゃんもおんなじような心配してたってこと?
恥ずかしい〜って顔を押さえて隠しているけど耳が赤い、きっと俺もだろうけど。
「仲良しでいいねぇ···あー、楽しっ、くふふっ、本音出ちゃった」
涼ちゃん、元貴は絶対楽しんでるよ···。
「だって本当に若井がカッコいいんだもん···」
「そんなの涼ちゃんもだしっ!」
「続きは家でしてよね、それかインスタライブでもして皆に公開してやろうか」
おっかないことをいう元貴に俺たちは静かになり、真面目にきちんと仕事に取り組むことにした。
こっそりと仕事終わったら家に行くねって涼ちゃんが約束してくれたのが嬉しかった。
「若井、お邪魔しまーす」
「いらっしゃい!って、えっ?!涼ちゃんどうしたの?浴衣?!」
誕生日にお揃いだよって見せてくれた浴衣を着てきている。
「んふふ、せっかくだから来てみようかなって」
「···かっこよすぎて、ずるい」
ぎゅっと抱きついて涼ちゃんの体温に包まれて、俺はドキドキが止まらない。
「若井がすごく可愛くて、かっこよくて僕も心配だった···僕には若井だけなんだよ、わからせてあげる」
「えっ、なに、どういう···」
しぃ、と人差し指を唇に当ててにっこり微笑むとすぐに唇を奪われる。
うっとりとキスを続けて気付けば俺は裸でベッドの上、胸元がはだけた浴衣姿の涼ちゃんに乗っかられている状況で。
「可愛い、この唇も···手も、胸も、首筋だって、全部大好き」
そう言って唇でなぞられる。
恥ずかしくて顔を手で隠すとだぁめ、と手を浴衣の帯で縛られた。
「恥ずかしいから···やだ···」
「恥ずかしがってるところも全部可愛いよ、大好き、舐めるね」
「言うなぁっ···!」
全身を舐められて、もう溶けそうなくらいクラクラして···気付けば脚を広げてお願いお願いって欲しがっていて、涼ちゃんが余裕のない表情で入ってきた瞬間に俺はイッてしまった。
「···もっと欲しい、滉斗大好き」
「りょ、ちゃん···っ、俺も···」
何度も何度も涼ちゃんが満足するまで俺は気持ちよさに意識が飛びそうになりながらたくさん気持ちよくなって、涼ちゃん大好き、大好きって名前を呼んだ。
ぐったりした俺はまだまだ体力のある涼ちゃんに綺麗にしてもらってくったりと涼ちゃんのすべすべの肌にくっついて寝転んでいた。
着物はすっかりくしゃくしゃになってベッドのそばに落ちている。
「こえ···ひど···」
「あれだけ喘いでたらねぇ···最高だった♡」
「ひどーい···」
明日もこの声だったらまた元貴にからかわれるんだろうなぁとぼんやり考えながら涼ちゃんの手を握る。
「他の人と喋んないのはさすがに無理だけど距離感は気をつけるからね」
そう言えばそんなことも元貴に訴えかけたわ···と、思い返してまた恥ずかしくなる。
「ん···ほんとに涼ちゃんのこと好きすぎてさ、自分でもびっくりするくらいヤキモチ妬いちゃうから···ごめん···」
「人一倍ヤキモチ焼きな僕からしたらすっごく嬉しいんだけど···もっかい抱いていい?」
「体力おばけぇ···もう無理」
なにはともあれ涼ちゃんは俺のことが大好きで、俺も涼ちゃんのことが大好きってことが改めてわかる。
ますますカッコいい恋人に悩みは尽きないんだろうけど。
「滉斗···ねぇ、大好きだからね」
握った手に力が入る。
涼ちゃんの大好き、という言葉は俺を幸せにする。
「俺も···だいだいだーいすき」
「んふ、可愛いねぇ」
俺がこんなにも気持ちを素直に伝えて甘えられるのは涼ちゃんが真っ直ぐに愛してくれるおかげて、こんな姿は涼ちゃんにしか見せられない。
「ゆっくりおやすみ···明日も大好きって伝えるからね」
「嬉しい···おやすみなさい···」
涼ちゃんの大好きな優しい声を聞きながら俺は眠りについた···。
「っとに、びっくりするくらい可愛いんだから」
子供みたいに眠る若井を起こさないようにそっとキスをする。
若井が思うよりもっと僕はカッコよくて可愛い恋人がいつ誰かに目をつけられないかとハラハラしている。
「だからねぇ···許してよね」
今は気づいてないだろうけど、身体中キスマークで赤くなっていることを謝る。まぁ隠れなさそうなところには、一応配慮したつもりだし。
そして言うつもりはないけれど元貴の提案に乗ったのはもっと若井に嫉妬してほしいからだった。
惚れて、これは俺のだと嫉妬してほしかったわけで。
「ごめんねぇ···けど、そんな若井が好きだから元貴のプロデュースに僕は乗るからね···もっともっと好きになって」
こんなところが涼ちゃん、じゃなく藤澤涼架だと言われるところだろうか。
そんな僕も含めて若井は好きなんだから仕方ないよね。
「···おやすみ、夢の中でも離さないから」