テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
藤蔭家と名乗った人達は自分たちを説明してくれた。
「俺は藤蔭悠磨、こっちが柊磨。神社の宮司をしている」
「俺は権宮司っていう、宮司をサポートする仕事をしてる」
藤蔭家は藤蔭神社の家系だそうで、2人は神社に勤めるのが決まっているらしい。
「前から宮野家のことは知っていたよ。君のこともね」
「私の事も?」
びっくりしてオウム返しをする。私はこの人たちに会ったことはない。兄も藤蔭家の話なんてしたこと無かった。
「昔、君の両親が他界したよね。その時に宮野家に行ったことがあってね。魁ちゃんを見てびっくりしたよ」
悠磨さんが深刻な顔をする。よっぽどの事なのか、言うことをためらおうとしていた。それが歯がゆいのか、柊磨さんが言った。
「お前、呪われてんだよ」
聞きなれない言葉に耳を疑う。呪われてる、なんてそんなのアニメや漫画だけの話だと思っていた。
「赤ん坊の頃から呪われてるやつはもう助からない。呪いを解くことはできねぇんだよ」
「じゃあ、私の両親や兄が亡くなったのは、私の呪いのせい…?」
「いや、それは違う」
悠磨さんが否定する。そこには絶対的な確信を持っているのか、堂々とした声色だった。
「呪いは君が望まない限り、此岸の者に手を出すことはできない。君の家族が亡くなったのは紛れもない事故だ」
真っ直ぐとした瞳に、私は心を射抜かれた。
今まで、家族が他界したのは本当に自分のせいだと思っていた。カウンセラーの人がただの事故だよと言っても、本当にそうなのかと思っていた。実際、周りの人達は私を厄介そうな目をして見る。
私が呪われていると聞いて、ますますその気持ちは膨れていた。だが、カウンセラーの人たちとは全く別の違うを聞けた。その瞬間、私の心は軽くなった。
「よかった…よかったぁ…」