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モブside
試合終了のホイッスルが、体育館に響いても、しばらくはザワついたままだった。
視線は全部、コートの中の三人に向いたまま。
「なあ、結局あの三人目なんなん?」
「マジで誰やねん」
ネット越しの握手が終わって、選手たちがコートから下がっていく。
その中で。
「おい、さっきの奴やろ」
一人の選手が声をかけた
「名前、なんて言うん」
止まったのは、噂の三人目。
一瞬だけ視線を向けて―――
『宮』
それだけ言って、また歩き出す。
「いや、それは分かっとんねん!」
思わずツッコミが飛ぶ。
その瞬間、横から笑い声
侑「ははっ、そらそうやろ」
振り返ったのは、宮侑。
楽しそうに口角を上げて肩で笑ってる
侑「こいつ、説明とかせぇへんからな」
「お前が雑に振るからやろ」
侑「なんやねんその言い方」
間髪入れずに返る、低いツッコミ。そのやり取りに、周りの空気が少し緩む。
「で、ほんまのとこなんなん」
さっきの選手が、もう一度聞く。
今度は、隣にいた宮治が口を開いた。
治「見て分からん?」
治「兄弟や」
一泊。
「……は?」
観客席まで、その空気が伝わる。
「いやいやいや、聞いてへんてそんな話!」
「三つ子⁉」
ざわめきが一気に広がる。
その中心で侑がニヤッと笑う
侑「ざんねんやな今知ったん」
「いや、初耳やわ!!」
ツッコミがあちこちで飛ぶ。
その横で当の本人は静かに立っている。
「名前は?」
誰かが、今度はちゃんと聞いた。
ほんの一瞬だけ、間。 それから、
『…紬や』
『宮紬』
その名前が、すっと空気に落ちる。
さっきまで知らないやつだった存在に、ちゃんと輪郭ができるみたいに。
「紬…」
誰かが繰り返す。
その横で、侑が笑って
侑「覚えときや」
治も、いつも通りの顔で、
治「どうせ、いやでも覚える」
その言葉に変な説得力があった。
ざわつきは、もう消えない。
「あの三人やばいって。」
「宮兄弟にもう一人とか反則やろ。」
名前が、広がっていく。さっきまで三人目だったのに。
「宮紬、な」
誰かが、ハッキリ言った。
もう”三人目”じゃない。
ちゃんとした名前で。
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