テラーノベル
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pr「そんなん言われたら、帰りたなくなるやん」
冗談っぽく笑ってるのに、声は少しだけ掠れていた。
教室には紙をめくる音と、遠くの運動部の掛け声だけが響く。
さっきまで普通だった距離が、急に近く感じて落ち着かない。
ak「……じゃあ、もう少し残る?」
思わず口から出た言葉に、自分で驚く。
相手も一瞬きょとんとして、それから嬉しそうに目を細めた。
pr「ええの?」
ak「別に、作業まだ終わってないし」
pr「ふは、言い訳下手やなぁ」
そう言って笑う彼の顔が、夕焼けのせいか少し赤い。
また二人で作業を始める。
だけどお互い、さっきから全然集中できていなかった。
テープを取ろうとして手がぶつかる。
ak「あ、ごめ──」
pr「っ、いや……」
引っ込めようとした手首を、軽く掴まれた。
びくっと肩が揺れる。
pr「……なぁ」
いつもより低い声。
pr「今、手離したら……ちょっと後悔しそう」
冗談みたいな言い方なのに、目だけは真剣だった。
心臓がうるさい。
逃げた方がいいのか、わからない。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
ak「……離さなくても、いいけど」
小さく答えると、彼は息を止めたみたいに固まって、それから照れたように笑う。
pr「反則やって、それ」
掴まれていた手に、少しだけ力がこもる。
窓の外では、夕日がゆっくり沈み始めていた。
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枢空乃希
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