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その日事件が起きた。
「え、え??ちょっ!!」
使っていたパソコンが乗っ取られた。それは僕のだけではなく、事務所全体が騒がしくなる。
「っ!?嘘でしょ!?」
綾野さんは自分のスマホをみて唖然としている。鳴り響く通知音。他の人のも僕のも乗っ取られているようだ。
「緑谷君、外!!」
民間警備会社の警備ロボやドローンが無差別に人を襲っているのを確認。
「何が起きてるんだ…!!」
出動命令が出たので一目散に外に飛び出す。
「個性使わなきゃ助けられない…!!」
「10分でこれが収まる保証はない!!」
「でもっ!?」
綾野さんは動きを止めて遠くを見つめる。
「兄さん!!」
「アテナ!!」
彼女は見つめた先に向かって走り出す。僕は追いかける。
「(一瞬だったけど確かに綾野さんそっくりだった!!)」
襲ってくる警備ロボをなぎ倒し必死に走る姿にたまらず僕は彼女の手をとり地面を蹴った。
「緑谷君!?」
「お兄さんのところにたどり着くまでに体力消費したら個性に影響出るんじゃないかと思って…!!」
「あ、りがと…。」
「お兄さんの気配はどこから??」
「あのビルよ。」
彼女が指さすビルは理化学研究所。そこには国と共同で管理しているAI搭載のスーパーコンピューター“イザナギ”と“イザナミ”がある。
「(誰かがイザナギとイザナミをハッキングしてるって言うのか!?)」
屋上に降り立つと。
「来たね。出来損ない。」
「兄さん。今までどこにいたの??」
「あれが綾野さんのお兄さん…。!?」
彼の側で拘束されている男女が。
「人質を救出したの??」
「その方たちは我々が保護します…!!」
一向に応じる様子がない。
「兄さん!!」
「部外者がなぜ??」
綾野さんと同じく凄まじい殺気に身構えたら。彼女が割って入って彼の一撃を防いだ。
「(僕には見えなかった彼の動きを止めた!!なんて瞬発力!!)」
関心している場合ではない。2人を止めないと。
「人質を解放して!!まさか兄さん、ヴィランに…!?」
「そうさ。」
綾野さんの防御を弾いて、戦闘が始まってしまう。
「僕はヒルコ。神になれなかった哀れな子どもさ。」
「どういうこと…!?」
2人は膠着状態に。
「僕達がどうやって産まれたか知ってるか??」
「知らない。」
「この2人のDNAから造られ、試験管から生まれたクローンさ。」
驚き硬直する彼女。
「双子じゃないのか!?綾野さんは施設の玄関の前に置かれた段ボールの中に赤い糸で結ばれた2人がいたって…!!」
「段ボールに捨てられていたのはほんとさ。」
「クローンって分かったのは!?」
「ほんの最近だよ。この2人が親ってことは子どもの時に盗み聞きして知った。クローンってことは理研にハッキングして分かったんだ。」
「工業高校に行ったのって、その為!?」
「ああ。」
「イザナギとイザナミをハッキングしてるのも貴方!?」
「このコンピューターは僕たちがこの2人の子どもと認めず、個性に欠陥があると判断したからな。間違いを正すために書き換えてやるのさ。それから…。」
身体が反応せざるを得なかった。綾野さんが人質の2人に矛先を向けたから。
「アテナ…!!何やってるの!!落ち着いて!!」
殺気とパワーに押し負けそうになる。
「なんで止められてるんだ。やっぱり出来損ないだな。そのくせアテナなんてたいそうな名前名乗りやがる。」
「ごめんなさい兄さん。次は失敗しない…。」
僕を見る目に彼と同じ殺気を感じ、背筋が凍る。
「ちゃんとしたやり方で私達を造らなかった報いを受けろ。その前にお前を倒す。」
「アテナっ!!」
僕は中空に投げ出された。綾野さんは完全に我を失っている。
「(彼が感情を操作しているのかそれとも、双子いや、クローンだから以心伝心は容易??)」
「そろそろ乗っ取りが完了する頃だ。僕はイザナギ達の所に戻るよ。手始めに何をしてやろうかな。」
「待て!!」
追いかけようと体制を立て直したところで綾野さんの拳をくらい地上へまっ逆さま。
「(10分で蹴りをつけなきゃ…!!)」
そうじゃないと、彼女にどんな影響がでるか想像もつかない。
彼女はまだ我を失っている。
「痛い思いさせたくないけど。覚悟してね!!」
思いが届いたかはわからない。綾野さんはあの時みたいに笑っている。
そして戦闘へともつれ込んだ。