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この人は凄いな、と隣りを見る。
欠伸をして眠そうに目を細める横顔。
この人の前だと気が緩んでしまいそうになる、というか。
全てを受け入れてくれそうな不思議な安心感がある。
それは多分、この人が自分を隠さないから、自分を偽らずありのままの姿を見せてくれるからなのかもしれない。
「…でも昨夜は怯えてビビり散らかしてたくせに、余裕そうですね」
「ちょ、あんま言いふらさんとってな?俺が小動物並みに怯えていたことは」
「うーん、でも面白かったからなぁ」
「面白がってたん!?」
怖くて人の部屋訪ねてきて無理やりベッドに入ってこようとするし人違いしてるし相当面白かったが。気付いていないのだろうか。
「でも何であのポケモンは襲ってきたんですかね」
昨夜鬱先生を襲った犯人はとあるポケモンであることが判明していた。
しかし何故鬱先生を狙っているのか、原因がわかっていない。
そして脅迫文との関連性も。
「うーん、分からへんなぁ」
「…無意識のうちにポケモンまで口説いてたんじゃないですか?」
「いやー、流石にそれはないと思うねんけど…もしかして雪乃ちゃんのこと口説こうとしたのまだ根に持ってる?」
「根には持ってないけど、面白かったなって」
「面白がってたん!?」
先程と同じような反応に思わず笑う。
ダメだ、面白いわこの人。
「まぁ、また現れたら撃退しますから…あ、見えてきましたよ」
そんなこんなで話しながら歩いていたら、学園の校門が見えてきた。
何やら生徒たちがわらわら集まっている。
近付くと、校門の前に並んでいるのが風紀委員達だと気付く。
どうやら服装検査をしているらしい。
そしてその中の1人、春翔と目が合う。
「よぉ。無事に来れたか」
「なんとか」
「生きてるか鬱」
「いやちょっと死にかけかも…」
何故かダメージを受けている鬱先生。
「何だ寝不足か?まぁ無理もないが。
お前は引き続き護衛頑張れよ」
鬱先生を見た後雪乃に視線を移す。
「分かってます」
目を伏せながらそう言い、春翔の前を通り過ぎる。
「あ、草凪さん」
そして声をかけられる。
「瀬戸」
雪乃は瀬戸を見つけた瞬間、駆け寄っていく。
「おはよう草凪さん」
「おはよう。朝早くから大変だね」
「あはは、昨夜遅くまで本を読んでたから寝不足だよ。草凪さんも、護衛のお仕事中だよね?」
「うん」
「頑張ってね。まぁ草凪さんなら大丈夫だと思うけど」
「…瀬戸、後ろの髪ハネてるよ」
「え、うそ」
ピョン、とハネている後ろ髪に慌てる瀬戸と、それを見て笑う雪乃。
「ほんと、そういうとこ瀬戸っぽいや」
「あ、ありがとう…?」
そんな会話をしていると、後ろから声をかけられる。
「雪乃ちゃん、先行っとくよ」
「あ、…じゃあね瀬戸」
「うん。またね」
雪乃は慌てて鬱先生を追いかける。