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第3話「忘れられないあの日🥺のこと」

日曜日の朝、空はいつもより少し曇っていた。

風も少しひんやりしていて、夏の終わりが近いことを感じさせる。

すみれは、カレンダーの「友引」と書かれた日に、

なぜか少し胸がざわついていた。

今日は、みくと“はじめての場所”に行く日だった。

前に一度だけ、電車の中でチラッと話題に出た小さな神社。

誰もあまり知らないけれど、願い事が叶うと噂されているという。


美玖:「ここ、すごく静か……でもなんか落ちつくね」

すみれ:「うん……ねえ、みく。お願い事、なににする?」

美玖は少し考えてから、にっこりと笑った。

美玖:「すみれと、これからもずっと友達でいられますように」

すみれ:「……わたしも、同じこと思ってた」

ふたりは同時に手を合わせ、

心の中で、同じ願いをそっと唱えた。

その瞬間、境内の風鈴がふわりと鳴った。

どこからともなく吹いた風が、ふたりの髪をそっと揺らした。


帰り道、近くの公園でベンチに腰を下ろしたふたり。

すみれは、小さな紙袋をそっと差し出した。

すみれ:「これ、みくにあげたくて……手作りのしおり。絵、描いたの」

美玖:「えっ、うれしい!……わたしも、ちょっとだけど」

そう言って、美玖はすみれのリュックに、

小さなキーホルダーをつけてくれた。

小さな星がついた、透明なビーズのキーホルダー。

美玖:「すみれは、わたしの大切な人だから。

この星みたいに、ずっとそばにいてくれる気がするの」

すみれは、思わず胸がぎゅっとなるのを感じた。

嬉しくて、でも少しだけ、胸が痛くなるような感覚。


それが、

ふたりが最後に一緒に過ごした“ふつうの日曜日”だった。

あのあと、すみれの前から、突然みくは姿を消した。

学校にも来なくなり、連絡も取れなくなった。

先生は「家の都合で転校した」とだけ言った。

でも、すみれには、言葉ではうまく言えないけれど、

“何か”が起きたのだと、どこかで分かっていた。


すみれは今も、大事にそのしおりを手帳に挟んでいる。

星のキーホルダーは、色が少しあせてしまったけれど、

リュックにちゃんとつけたままだ。

――そして、時々思い出す。

「また来てもいい?」と笑った、みくの顔を。

「もちろん」と返した、自分の声を。

その日、すみれの願いは、まだ叶っていない。

でも、あの日のことは、今も心の中に――

光のように、残っている。


つづく

忘れられないあの日のこと

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leafです

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