テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
佐久間side
イルミネーションの光は、もう十分に見たはずなのに。なのに胸の奥がざわついて、帰る気になれなかった。
「……さっきの、冗談だよね?」
笑いに変えようとして、声が少し震えた。
宮舘はそれを見逃さない。
「冗談なら、しない」
真っ直ぐすぎる目。
逃げ場を与えない静かな声。
――あ、これ。
俺、逃げられないやつだ。
今まで恋愛なんて後回しだった。
楽しいことの方が大事で、誰かに本気になる感覚なんて、ずっと忘れてた。
でも。
料理を振る舞われたときの視線。
楽屋でさりげなく隣に立つ距離。
自分が誰かと絡むときだけ、少しだけ空気が変わる瞬間。
全部、思い当たってしまう。
「俺……」
言葉を探している間に、宮舘がコートを掛けてくれる。
「急がなくていい。考える時間は、ちゃんとあげる」
その余裕が、ずるかった。
優しさが、逃げ道を塞ぐ。
この人の前だと、無防備になる。
――ああ、俺。
もう、とっくに。