テラーノベル
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深夜の楽屋。収録が押し、残っているのは深澤と向井の二人だけだった。
深澤はソファに座り、携帯ゲームに熱中している。画面をタップする指が忙しない。
その隣で、向井康二は退屈そうに唇を尖らせていた。
「……なぁ、ふっかさーん」
「んー(目線は画面)」
「まだ終わらんの? 俺、お腹減ってんけど」
「あとちょっと。このボス倒したら」
深澤の素っ気ない返事。
康二の「かまってちゃん」スイッチが入るには十分だった。
「むぅ……。ゲームばっかり!俺とゲーム、どっちが大事なん!」
「はいはい、その古風な質問やめなさい」
深澤が軽くあしらうと、康二は「もう知らん!」と立ち上がりかけた──が、すぐに思い直して、深澤の膝の間に強引に割り込んだ。
そして、ゲームをする深澤の腕の中にすっぽりと収まり、画面を覗き込むように邪魔をした。
「……おい、康二。見えねーよ」
「見んでええもん!俺を見て!」
康二が邪魔をして、わざと深澤の視界を遮るように顔を上げる。
深澤の手が止まる。
画面には『GAME OVER』の文字が表示されたが、深澤は舌打ち一つしなかった。
スマホをサイドテーブルに放り投げると、深澤は腕の中にいる康二の腰に手を回し、逃げられないようにロックした。
「……あーあ、康二のせいで負けたわ」
「ふっかさんが構ってくれへんからやん……」
「お前なぁ……」
深澤は呆れたように息を吐くと、康二の額にコツンと自分の額を合わせた。
至近距離。大人の色気が漂う深澤の瞳に、康二がドキッとして赤くなる。
「……な、なんやねん」
「負けた罰ゲーム。……朝まで俺の相手しろよ?」
「えっ……」
深澤の声色が、甘く、低いトーンに変わる。
さっきまでの「ゲーム好きな兄ちゃん」の顔は消え、完全に「男」の顔だ。
「お前が俺のこと好きすぎて邪魔したんだろ? 責任取れよ」
「……責任って……」
「俺、一回スイッチ入るとしつこいけど。……覚悟できてる?」
深澤の手が、康二の背中をゆっくりと這い上がる。
その手つきがあまりに手慣れていて、康二の腰が砕けそうになる。
「……ふっかさん、意地悪……」
「康二が可愛いのが悪い」
深澤は康二の耳元に唇を寄せると、吐息混じりに囁いた。
「ゲームより、お前のほうが100倍面白くて……中毒性あるからさ」
「……っ…!」
「愛してるよ、康二」
甘すぎる言葉と共に、深いキスが落とされる。
結局、康二は深澤の手のひらの上で転がされているだけなのだ。
ゲームオーバーの後に始まったのは、二人だけの甘くて長い、終わらない延長戦だった。
next…ラウこじ 1/4
コメント
3件
兄の顔から1人の男の顔に変わるふっかさんかっこいい… 康二も可愛すぎる