テラーノベル
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クリスマスショー当日
フェニックスワンダーランドはクリスマス仕様の飾りが施され、イルミネーションは星のように煌めいている
僕…神代類は控え室で台本の最終確認をしていた
偽物のサンタクロース
幼少期のトラウマから、クリスマスを壊そうとするこのショーの悪役だ
本番1時間前
少し張り詰めた空気の中、ヘアメイクをしている後ろ姿が見えた
少し緑がかった灰色の癖毛に、宝石のような紫色の瞳をした女の子
幼馴染の草薙寧々だ
「寧々ちゃ〜ん!」
「わっ、ちょ」
どこからか声がしたと思ったら、その正体はいつの間にか寧々に飛びかかっていた
大きなピンク色の目に、同じくピンク色のボブ
小柄で可愛らしい少女、鳳えむ
薄い黄色のパジャマのような衣装を見に纏っている
彼女は主人公の女の子の役だ
「危ないでしょ、もう…」
少し困ったような顔をして、寧々は言った
2人の仲良さげな雰囲気が、微笑ましくてつい見入ってしまった
「えへへ、あ、それ!」
えむくんは寧々のスマホを指差した
「ステージにあったツリーのと同じだよね!」
寧々のスマホには、小さな緑色のオーナメントが吊るされていた
先日、僕が彼女にプレゼントしたものだ
「あー…ちょっと前に買ったの。ツリーのやつに似てたから、可愛くて」
寧々の口から出た言葉に、違和感を覚えた
それは僕が買ったものだ
「そうなんだね!可愛い〜!」
なんの疑問も持たず、えむくんは無邪気に笑いかけた
…考えすぎだろう、きっと
「おーい、お前たち!」
後ろから少し低い声がした
金髪に、サーモンピンクのグラデーション
吊り上がった眉に、山吹色の瞳
赤色のサンタクロースの衣装を纏っている男性…天馬司だ
「もうすぐ本番だ、いけるな?」
彼が声をかけると、控え室の空気が変わった
「あぁ、もちろん」
「ぜったい成功させようね!」
「うん、絶対」
僕らは目を合わせ、ステージ脇に足を進める
『それでは只今より、ワンダーランズ×ショウタイムのショーが始まります!』
偽物のサンタクロースは、子供達の願いを奪った
本物のサンタクロースと主人公の女の子、そして街を守っている妖精は偽物を追いかけ、願いを奪い返そうとする
物語は終盤
心優しい主人公は、偽物を説得し、一緒にクリスマスを過ごそうと言い出す
そんな彼女の背中を押す、わたしの1番の見せ場
演じていて気づいたことがある
妖精が街を守り、街を愛す以上に
彼女は人々を愛している
だから街で生まれ育った偽物にも情を見せ、彼にも愛を見せる
『♪きっと大丈夫よ、貴方は強いから、優しいから
貴方はできると、信じているわ』
その直後、辺りが真っ暗になった
「トラブル?」「あれ?」「どうしちゃったの?」そんな声が観客席から聞こえてくる
「寧々ちゃん、どうしよ〜!?」
「このまま中断させるわけにもいかん、アドリブは…」
小声で2人が話しかける
「……大丈夫」
目を見て、笑顔で
『きっと大丈夫、貴方なら』
アドリブに驚いたような顔をした2人を横目に、観客席に目を向ける
『わたしの大好きな街の人たちが、今日も笑ってくれるように、わたしたちの気持ちが届かように!』
観客席に呼びかける
「私たちに言ってる?」「妖精さんがこっちに向かって喋ってるよ!」
‥好印象、いける!
『♪〜〜〜』
さっきわたしが歌った曲のコーラス部分
ここなら、観客も一緒に歌える
意図に気がついたのか、司とえむも歌い始める
「「「♪〜〜〜」」」
観客席からも歌が聞こえる
このまま…!
パチッ
ステージ上がパッと明るくなる
『あの人を止めて、大好きな街のために、‥あの人のために!』
最終的に主人公たちは偽物と和解し、その日は幸せなクリスマスを共に過ごした
たくさんの拍手と歓声の中、わたしたちは観客席に向かって頭を下げた
「「「「ありがとうございました」」」」
コメント
2件
わぁ、!続きだ、!ありがとうございます!
みなさん、メリークリスマス🎁 クリスマスまでには完結させようと思っていましたが、まさかのトラブルで終わらせることができませんでした… 一応完結はさせますので、気長にお付き合いください