テラーノベル
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すっかり暗くなった帰り道
わたしと類はスマホで足元を照らしながら、ゆっくりと隣を歩いていた
冷たい空気が鼻を赤く染める
指先は悴み、感覚を奪っていく
ただ前を向いて笑顔で、先ほどのショーについて語る彼の横顔を横目で見ていた
「ねぇ類、コンビニ寄っていい?小腹が空いちゃって」
本当はお腹なんて空いていないけど、ほんの数分でも、類の隣を歩きたかった
類の話を聞きたかった
「あぁ、構わないよ」
「ん、ありがと」
帰り道のコンビニに入る
人は店員しかいなかった
一応小腹が空いたことを理由にしていたので、おにぎりを一つ、温かいお茶を一つ購入した
コンビニから出ると、類はわたしの目を見て笑いかけた
どうしてだろう
違和感がある
胸の奥がざわざわした
不安感に襲われた
「寧々、ひとつ聞いてもいいかい?」
優しい声色
でも、逃げ場がないような、追い詰められたような気がした
「いい、よ」
喉の奥から、絞り出した一言に、類はありがとうと返した
そして類は、わたしのスマホに目を向けた
「そのオーナメント、僕も色違いのものを持っているんだ」
ほら、と言ってスマホを取り出した
紫色の、わたしと同じオーナメントが揺れていた
「ほんとだ、偶然だね」
以前から違和感を感じていた
寧々がコンビニに入ったのを確認し、自分の中で振り返った
今回のクリスマス特別ショーは、僕らが幼少期にしたものをアレンジしたものだった
寧々は何も言わなかった
まぁ、忘れてしまっているだけだろうと、その時は思った
でも一瞬、違和感を覚えてしまったら、気になってしまった
いつもより注意深く見るようになってしまった
白石くんと会った時、久々に名前も知らない親戚に会ったようなよそよそしさを感じた
僕が買ったオーナメントを、「自分で買った」と言った
コンビニから出てくる彼女の手には、お茶とおにぎりがあった
ポケットからは、スマホについたオーナメントが揺れている
僕のオーナメントと同じ色の、綺麗な瞳
彼女を見つめて言った
「そのオーナメント、僕も色違いのものを持っているんだ」
勘違いであって欲しい
『お揃いで買ったんだから当たり前でしょ』と、呆れた顔で笑って欲しい
でも、残酷なことに、最悪の想定だった言葉を発した
「ほんとだ、偶然だね」
…あぁ、本当に君は
もう覚えていないんだね
コメント
2件
なんでこんなに小説書くの上手なの……?凄すぎるでしょ、、。見習います、!