ここは数ある宇宙の中の一つ、その中にはそこそこの生命が生息しているが、知的生物は一人を除きいなかった。
そんな宇宙に完全な円形の宇宙船が一隻宇宙空間を彷徨っていた。
「このままだと、異世界へ続く特異点までに辿り着くまでにかなり掛かりそうだ。」
この知的生物は公に宇宙人という存在だった。
見た目は皆が想像する目が大きい宇宙人グレイに、チョウチンアンコウのような大きな触角が2つ頭部から生えている。
「取り敢えず、出発開始時よりも自動運転は安定しているから、後はコールドスリープでもして異世界に着くのを待つか。」
この宇宙人が何故、異世界を目指しているかと言うと、まだ見ぬ資材を集めるためである。
その目的は自身が乗っている宇宙船、マッド・ケラライスをより大きくし、惑星規模の完全な宇宙船にまでにしようとしているのだ。
だが、それにはこの宇宙にある素材では量的にも、種類的にも実現不可能だったのだ。
そのため、この知的生物は数十年その素材を探すのに宇宙中全ての惑星を調査したが、素材の質も、量も、足りなかったのだ。
だが、この知的生物はその調査の中である希望を見出した。
別宇宙………この知的生物が名付けた名は、異世界《マジックワールド》その世界には魔法が有り、モンスターという怪物が居る。
この知的生物はそのマジックワールドなら、自分が求めている素材があるだろうと推測し、マジックワールドへの門、今いる宇宙の真ん中にあるブラックホールを潜《くぐ》ろうとした。
のだが、ブラックホールを通過している途中でマッド・ケラライスが破損した。
[緊急事態発生!本艦の四分の一が破損!直ちに自動修復システムにアクセスし、修復を行ないます!]
サイレンの音が館内に鳴り響くが、知的生物はコールドスリープをしている為に気づかない。
[自動修復システムにアクセス………不可能。]
続け様に知的生物がコールドスリープしていた部屋の部分が壊れた。
そこから、コールドスリープしたまま、外に放り出された。
その先には知的生物が見たことの無い頭がとても厳つく胴体が蛇のように長いが手足がついている禍々しい存在、この異世界に繋がる門の万人、淵門龍|《しんもんりゅう》だ。
その存在が放つブレスに知的物が特別頑丈に作ったコールドスリープは壊れていなく、コールドスリープを続行していた為、当然意識はなく、あっけなくブレスに飲み込まれて、コールドスリープする機械も壊れ、無防備になり、死んだ。
★★★★★★★★★★★★
知的生物が覚めると、そこは木で出来ているであろう部屋でベットの上に寝ていた。
その知的生物は試しに腕を見てみると、以前の銀色の肌だったのに今は白い肌になっている。
「エリア起きて!朝ご飯よ!」
知的生物………エリアは詳細には何を言っているのか分からなかったが、行ってみることにした。
行ってみた先にあったの物はトーストと目玉焼きだった。
エリアは何かと、調べてみようとした時に今までの記憶が蘇った。
(そうか、私はマジックワールドの人族という人形知的生命体になったのか。)
エリアはこれまでの事を直ぐに理解し、母と言われる存在に急かされたので朝食を取った。
その後一時間後、エリアは外に出た。
「ああ、いい空気だな、宇宙全体が放射能で汚染されていた前の宇宙とは、大違いだ。」
エリアは大きく息を吸ったり吐いたりした後、本題入ろうと、手をかざした。
その手に神経を集中し、魔力と言われるものを流すと、魔法陣が出できた。
「これが、この宇宙の理、魔力か。」
そうつぶやいた後に更に魔法陣を体の一部と思い、そこに先程と同じ様に集中し、風の魔法『エアカッター』を捻り出そうとしたが、ほんの少し露出しただけで引っ込んだ。
「記憶の中の、母親が仕事で裁縫をやっていた時に使っていた魔法を真似てみたが、これは厳しいな。」
気を集中させて、魔法陣をしまった。
「折角マジックワードに生まれ変わったんだ、魔法は使えるようにしたいな。」
それから、数週間の月日が流れた。
(私がかなりの時間を魔法に費やした結果は、魔法の発動自体の進展は前と全く変わらなかったが、魔法陣を展開させるのは異様に早くなったと言う事だ、他には、図書館等で調べたら、既存の魔法のパターンを見つけることが出来た。)
エリアは真ん中に丸が書いている魔法陣を即座に展開し、そこに文字などを足し、その魔法を発動させようと、神経を集中させてた。
そうすると、その魔法陣から火を纏った球がほんの少しだけ露出し、引っ込んだ。
(どんな魔法を使うのかは、魔法陣を展開する時に中央の模様と他の文字などの要素で構成されると言う事だ、これを踏まえ、様々なパターンを思考し、魔法を作り出せると言う事が分かった、あとこの宇宙では魔力は生命の形を保つものなので、魔法等で使い果たすと、実質的な死亡となるので気を付けないといけない。)
エリアはそんな思考も程々にしておいて、魔法が発動出来るように試行錯誤を始めた。
更に二年後、エリアは6歳となる頃、遂にその時はエリアが自作した実験場で来た。
「この2年間、考察と検証を繰り返した、時には暴発して大事になったりもしたが、全て今の為だ。」
エリアが手に神経を集中させて、魔法陣を数個作り、それを歯車のような形にし、個別に模様と文字を刻み、それらを合わせて回転させる。
それにより、巨大な一つの魔法陣が完成し、そこからレーザービームが放出された。
そのレーザービームは狙っていた的に命中し、真ん中に穴を空けた。
「よし!やっと、私にも魔法が使える様になったぞ!」
エリアは喜びと達成感のこもった声をあげた。
「他にも、魔法を使える様にしたいな、だが、このマジックワールドの魔法は私にとって不都合が多いので、既存の魔法を再現するより新たな魔法を生み出すのに注力しよう。」
レーザービームを思い出したエリアは手帳を取出した。
「一応、この魔法について、利便性を考えて名前をつけよう、まず、歯車型の魔法陣を使う魔法を歯車魔法としよう、さっき出した魔法は『レザビム』だ。」
エリアは取出した手帳に書き込んだ後、すぐにしまった。
「これで、この世界での最低限の自衛手段を手にしたし、マッド・ケラライスを惑星クラスまでにする計画を始めようか、まあ、そのマッド・ケラライスがなくなっているが。」
エリアは魔法陣を展開した。
「防護服の素材を手にいれる前に防御が出来る歯車魔法を作っておこう。」
その後、数十日エリアは自分で山奥に作った実験所に通い、防御歯車魔法『チバリア』を完成させ、穴から出た。
そして、向かった先は魔力由来の硬い金属が取れる代わりにモンスターがいる魔鉱山だった。
★★★★★★★★★★★★
エリアは薄暗い洞窟の中を自作したライトもどきで探していた。
(私が探しているのは図書館という所で読んだ本に出てきた、柔軟性もあり、何より耐久性が高い鉱石、マガナライトだ、本当は商人当たりから購入したかったが、如何せん、私は金という物を持っていないので、仕方なく採取しに来たのだが、無事に取集出切ればいいが。)
エリアはそう考えながら、周囲に気を配り、マガナライトがないか探していると、見つかったのはマガナライトではなく、マガラナイト同様、エリアが図書館で読んだ本に出てきた、宝石のモンスターラファイトだった。
このマジックワールドの魔物という存在は種類が多彩だ、無機物が魔力の影響で動き、意思を持つ魔物や、動物等が魔力で形が変わり能力が向上したり、突弦変異したりするもの等だ。
ラファイトは周囲をくまなく探し、マガナラライトを発掘しようとしている者を排除しようとしていた。
そこをエリアは気づかれないように気をつけて、マガナラライトに近づいていった。
だが、ラファイトは目敏く、エリアを見つけた。
(不味いな、このままなら、ラファイトと交戦しなくてはならなくなってしまう、出来れば、『バリア』を使って、ラファイトの攻撃を防ぎながら、マガナラライトを回収いきたい。)
エリアは『バリア』を使い、ラファイトと距離を保ちつつ、マガナラライトに近づいていく。
ラファイトは何度もエリアに近づいて攻撃しようとしたが、エリアの巧みな、間合い取りにより、攻撃をできないでいた。
そして、エリアはラファイトとの距離を保ちつつ、マガナラライトを採取できる所まで、近づいた。
(よし、後は作った採掘道具で、マガナラライトを回収して、走って帰るか。)
そう思って、エリアは急いでマガナラライトを回収して魔鉱山を脱出する為、出口に向かって走ろうとすると。
石に躓き、転んだ。
その一瞬、気が抜けたエリアは、『バリア』を解除してしまった。
その隙を狙って、ラファイトが飛び込んできた。
(クソッ、使う気はなかったのに『レザビム』を使わないといけない、状況になってしまった、私はマッド・ケラライスは失ったが、惑星規模の宇宙船を作るまでは、死ぬ訳にはいかない、もう使うしかないか。)
エリアは転んでしまい、地面に伏せる状態で、魔法陣を数個だし、模様と文字を刻み、『レザビム』を放った。
『レザビム』はラファイトに直撃し、ラファイトは呆気なく倒された。
(うん?何だか今まで感じてた、生物に危害を加える事の悪感情が薄くなった気がするぞ?何故だ?ラファイトを倒すと言う事象がそこまで私とって、大きなものだったのか?いいや、今はそれよりも、このマガナラライトを持って帰る事の方が重要だ。)
エリアはその後特にアクシデントは起こらず、家へと帰る事が出来た。
そして、数週間後、エリアは服屋の母に頼み、マガナラライトを使った防護服を作る計画が始まった。
まずは鉱石を糸状に加工するため、火の魔石を使い、ドロドロに溶かす、それを予め用意していた糸の様な細さと形になるように形を掘っている金属に流し込み、冷やして、糸状に固まったマガナラライトを形から外し、そこからはエリアの母、リアナが編み加工し、完成した。
「防護服1号、完成だ。」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!