ガチャッ
そっと食堂のドアを開ける。
流石に食堂には誰もいなかったが、調理室からカチャカチャと音がする。
夢「この時間からご飯を作ってるのかな…」
時刻は朝の3時だ。
朝…というより深夜に近い。
そっと調理室を覗くと、ゴブイチとシュナ、ディアブロが何かを作っていた。
夢(何作ってるんだろ…)
気になって仕方がない。
夢は基本深夜に出歩くことは無い。リムルや、ギィ、他の魔王達も夢のことを子供のように扱うからだ。まぁ、長命種の魔王にとっては半世紀しか生きていないものは子供なのかもしれないが。
そういう理由があって深夜にコソコソなにかを作っているというのは気になって仕方がなかった。
しばらく見つめていると、ディアブロがちらっとこちらを向いた。
未だにディアブロの目はちょっと怖い
反射で覗いていた顔を*ひゅッ*と引っ込めたが、どうやらバレたようで少しずつこちらに近づいてくる。
夢(や、やばい…!!)
ディアブロ「夢様、こちらで何をされているのですか?」
夢「あ…えと…」
シュナ「夢様?」
ゴブイチ「夢様…?!」
シュナ「まぁ、こんな時間に…。どうかされたのですか?」
ディアブロ「リムル様ならあのギィと客室にいるかと思いますが…。お呼びしてきましょうか?」
シュナ「ディアブロ!ギィ様ですよ」
ディアブロ「おっと、これは失礼しました。つい癖でして。」
ゴブイチ「夢様、お腹すいてるんじゃないですか?」
シュナ「まぁ!そうなんですか?」
なんだか周りからの圧(ディアブロ)が怖いので喋れずに*コクコク*と頷く。
シュナ「でしたら何かお作りしますよ!何か注文はありますか?」
夢「特に…」
シュナ「う〜ん。どういたしましょう?」
夢「ご、ごめん。夜遅くに…邪魔しちゃって…。やっぱり大丈夫だから…!部屋に戻る!」
ディアブロ「でしたらクッキーを持っていかれてはどうでしょう?ちょうどリムル様とギィに持っていく予定でしたし。」
シュナ「そうですね。夢様クッキーでもよろしいですか?」
夢「う、うん!」
ゴブイチ「でしたら、飲み物も用意しますね」
シュナ「ゴブイチ、リムル様とギィ様のも用意してくれる?」
ゴブイチ「分かりました。」
ゴブイチ「夢様は飲み物何にいたしましょう?」
夢「ミルク!」
ゴブイチ「ミルクですね」
夢「私、リムルとギィのところに持っていっていい?」
シュナ「良いんですか?夢様」
夢「うん!」
ディアブロ「では飲み物は私が」
シュナ「ディアブロ、夢様任せましたよ〜」
夢「うん!シュナ、ゴブイチ、ディアブロありがとう!」
シュナ「いえいえ〜」
ゴブイチ「いえいえ」
ディアブロ「喜んでいただけて嬉しい限りです。」
コンコン
一応、客室のドアをノックする。
聞かれちゃいけないお話をしてちゃいけないから。
ん?どうぞ〜
ガチャッ
夢「リムル、ギィ…?」
リムル「うお、夢。」
ギィ「夢、どうかしたのか?」
ディアブロ「飲み物とクッキーをお持ちしました。」
リムル「ディアブロが付き添ってくれたのか。すまんな。」
ディアブロ「いえいえ。」
ギィ「ディアブロ、お前子守りまでできるようになったのかw」
ディアブロ「あなたこそ。リムル様を困らせてないでしょうね?」
リムル「ディアブロもギィもここで喧嘩するなって。」
夢「あ、あのね。お腹が空いて起きちゃったんだけど、シュナ達がリムルとギィと食べておいでって言ってくれてね! 」
リムル「そうか。ありがとう」
リムル「すまんな、ディアブロ。下がっていいぞ。」
ディアブロ「では、失礼します。」
ガチャッ
夢「ごめん。迷惑だった…?」
リムル「いや、全然そんなことはないぞ。」
ギィ「あぁ。」
夢「ならよかった…」
ギィ「来い」
そう言ってギィはリムルの反対側に座りながら*ガバッ*と手を広げる。
そこに誘われるかのように私はギィの膝の上に座った。
夢「なんのお話してたか聞いても良い?」
ギィ「ん、お前の昔話だよ」
夢「私の?」
リムル「夢がどうやってギィに出会ったのかってところだな」
夢「あぁ…」
ギィ「そういや、お前らはどうやって出会ったか俺知れねぇな」
夢「あれ、言ってなかったっけ?」
ギィ「知らねぇ」
リムル「じゃあついでたし話すか」
リムル「夢もいいか?」
夢「うん。」
そう言いながらリムルは話し始めた。
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