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ジミンside
きのう最初に右手が痺れていることに気づいた時…僕は、絶望した。
唯一自由に動かせる、右手が、もしも動かなくなったら…。
両手ともに動かなかったら、もう僕は、何ひとつ、自分では出来なくなるんだ。
考えただけで、震えが止まらなかった。
怖くて誰にも言えなくてこそこそ病室で泣いていたら、テヒョンがやってきて、結局ジン先生にも診てもらって検査を言い渡されて…。
検査自体も、結果を聞くことも、怖くて怖くてたまらなかった。
そんな僕の為に、テヒョンは病室に泊まって、夜も隣で一緒に寝てくれた。
夜中もなかなか寝付けず何度も何度も起きてしまったけれど、その度にテヒョンは、寝ぼけていても僕の右手をギュッと握って「大丈夫だよ」と言ってくれた。
朝僕が目覚めると、テヒョンはベッドサイドの椅子に座ってやっぱり僕の右手をさすっていた。
「ジミナおはよ〜。眠れた?夜中起きちゃってたね?」
「う、うん…何度も起こしちゃってごめん…」
「右手は、どう…?動かしてみて?」
恐る恐るグーパーしてみる。一応動かせたけど、やっぱり痺れるし、すごく痛かった。
「痛いよう(泣)。今日、検査だ…。」
「そうだね。僕、今日学校休んで検査付き添うよ。頑張ろうね?結果きく時も、一緒にいるから。」
「テヒョン〜ぐすん…。ありがとう。」
「ジミナ、お通じは?トイレ、行く?」
「うん…行くー…」
「1人で行ける?ついて行こうか?」
テヒョンと手を繋いで、一緒にトイレに行った。
「ジミナ、下着下げるね?」
「うん…。見ないでよぉ」
「分かってるって。外で待ってるから、終わったら呼びな?焦んなくて大丈夫だからね。鍵は開けときな?」
テヒョンに扉の外で待っててもらって、用を足した。さすがにテヒョンにお尻を拭いてもらうのは絶対に嫌で、自分で震える右手を伸ばしてなんとか拭いた。手、痛い…。力が入らなくて、なかなか上手くいかない。こんなこともまともに出来ないなんて…惨めで泣きそうになる。
「ジミナ大丈夫なの〜?」
「う、うんー」
「出たー?」
「ちょっ…そんなのきかないでよぉ」
「ごめんごめん、お尻拭いたげよっか?」
「もう、大丈夫だってばぁ…自分でできるもん…」
病室に戻ると、朝食のトレーが届いていた。食欲…全然ない…食べれるかなぁ…。
「ジミナ、ごはん、食べれそう?」
「うーん…(泣)」
「食べさせてあげるよ。今日は採血もあるからしっかり食べとかないと、ジミナまた貧血で倒れちゃうよ?」
「わ、わかってるよぉ…。」
僕は、テヒョンが口に運んでくるフルーツやパンを、一生懸命もぐもぐした。全然味がしないし、美味しくない。モサモサしたスポンジでも食べてるみたいな気分…。
なんとか咀嚼しながらも、やっぱり不安が込み上げてきて…必死で我慢していたのだけど、半分ぐらい食べ終えたところで、僕はとうとう泣き出してしまった。
「う、うわーん…」
「ジミナ…どした…?検査、怖いよね?よしよし…」
「う、う…ヒック…ヒック…もしも、右手が動かなくなったら…こうやって、毎回毎回誰かに食べさせてもらわなきゃいけないんだね…。」
「ジミナー…。それはまだ、わからないでしょ〜?」
「分かってる。まだ分からないって分かってるけど…でも怖くて怖くて…たまらない…(泣)」
テヒョンは手に持っていたフォークをトレーに置くと、僕の顔を両手で包み、指で涙を拭ってくれた。
それから僕の両腕をさすりながら、言った。
「ジミナきいて。もしね…万が一そうなったとしても…僕がジミナの手になるよ。」
「え…」
「いっつも言ってるじゃん。僕たちは双子なんだから、2人で1つだって。ジミナの手がもしも動かなくなっても、僕の手はまだ2本あるよ。全部やってあげるし、いつでもそばにいる。だからさ…そんなに心配すんな。」
「あ、ありがと…ぐすん。」
テヒョンは僕の頭をポンっと勇気づけるように叩いて言った。
「…もう、ごちそうさまにしよっか。少しでも食べられてえらかったね。お薬用意するね。」
僕は食事が終わったことにホッとして、けどやっぱり泣きながら、薬をなんとか飲み込んだ。