ジミンside
朝食後も涙が止まらないところに、ジン先生が診察に来てしまって、僕は焦った。
「ジミナおはよう。…あれ?泣いてた?大丈夫!?」
「あ…あゎ…ヒック…ヒック…」
「検査怖いの?右手のことが心配…?」
ジン先生には泣いてるとこを見られたくなかったけれど、しゃっくりあげてしまっていた僕は、すぐには泣き止むことができない。
「先生ごめん、今ジミナちょっと…」
テヒョンが助け舟を出してくれた。
「そうだねわかった、採血しに来たんだけど…ちょっと後にしよっか。泣いてると血管も収縮しちゃって刺すの難しくなっちゃうしね。」
「うん、先生…ジミナが落ち着いたら呼ぶね。」
「ジ…ジン先生…い、いそがしいのに…ごめんなさい…ヒック…ヒック…」
「ジミナ、落ち着いてからで大丈夫だよー」
ジン先生が出て行くと、テヒョンはベッドの僕の横に座って背中をさすってくれた。
「ジミナ〜大丈夫だよ。泣き止もうって焦らないでいいから。落ち着いて、ゆっくり息できる?」
「スー…ハー…ヒック…ヒック…」
「…そうだ、お茶でも淹れよっか。あったかいの飲んだら、きっと気持ちも落ち着くからね。」
テヒョンがお茶を淹れて、カップを僕の口にあててくれた。
「ちょっと熱いから気をつけてね。ゆっくりゆっくり、飲んでごらん。」
「う、ヒック…ありがと…」
しゃっくり上げながらも、僕は必死で、お茶を飲んだ。
「あった…かい…ヒック…お腹の中、ほかほかする…」
「うんうん、身体が暖まるでしょう?大丈夫だよ〜。ゆっくり飲みな。」
テヒョンは僕のお腹をゆっくり回すようにさすってくれた。
「ジミナ〜…採血怖い?…嫌だよね?」
「う、うん…。小さい時からいっつもやってることなのに…本当に苦手…針がもう、無理…(泣)。何回も何回も刺し直しになっちゃうのが、痛いし、すごく怖くて…。僕の腕さ、すぐ跡残るし紫になっちゃうでしょ?注射跡だらけで汚くて、悲しい…こんなこと、テヒョンにしか言えないけど…。」
「そっかぁ…ジミナ針苦手だもんね…。跡が残るのも、嫌だよねぇ。せめて一回で、上手くいくといいんだけどね…。」
「うん…。」
「…ジミナ、落ち着いた?そろそろ、ジン先生呼んでもいい?採血…頑張れそう?」
「うん、頑張る…先生呼んで…。」
「可哀想だけどさ…泣いたら血管収縮して更に刺しにくくなっちゃうってジン先生言ってたから…」
「大丈夫、分かってる…。泣かないように、頑張るから…。」
「ジミナえらいね。先生呼ぶね。」
ジン先生は、すぐに来てくれた。
「ジミナ大丈夫?まず診察させてね。服ちょっとめくるよ〜胸の音聞かせてね。」
ジン先生は、聴診器が冷たくないように手で温めてから、僕の胸にあててくれた。ジン先生はどんなに忙しくても、絶対にそうしてくれる。
「…うんうん、心臓は大丈夫そうだね。そしたら採血やっちゃおう。ジミナ貧血で倒れちゃうことあったから、横になったままやろうね。ベッド下げるよ。」
僕は寝かされて、ジン先生に左腕をとられてしまった。僕の動かない、アザだらけの左腕…。
「ごめんね、袖まくるよ。血管見せてね。」
この待ってる時間が不安で怖くて…。
「うーんここならいけるかなぁ…。刺すね、チクッとするよ。」
痛ーっ…。僕は思わず目をつぶる。テヒョンが僕の右手をギュッと握ってくれた。
「あ〜ごめん…ちょっとここじゃあダメだなぁ。」
「や、やり直しなの…(泣)?」
「やっぱりジミナの血管刺しにくいなぁ(汗)。右腕でやってみてもいい?痺れてるのにごめんだけど。」
あー右腕かぁ…。僕は動く方の右手を大事にしてて、なるべく注射は左腕にしてもらうことにしていたんだけど…でも今となっては、もうどうでも良かった…。
ジン先生が、僕の右側に回ってくる。
「右腕見せてね。あ〜こっちならいけるかも…。ここがいいかなぁ、うん。チクッとするよ〜ごめんね。」
「うぅ…痛ったぁ…(泣)」
「あぁー。ごめん…ちょっと…」
「ま、また…失敗?やり直しなの…(泣)?」
「ごめんねぇ、ちょっと違う場所でやってみるから…」
ああもう嫌だぁ…。2回もやり直しになっちゃった…。僕は涙が出そうになるのを堪えた。
「ジミナ、一緒に深呼吸してよっか。」
テヒョンがそう言って僕の胸に手を当ててくれて、僕は必死でテヒョンに合わせてスーハーと深呼吸をした。
「ごめん、もう一回刺すからね…。よし!成功だよ。ごめん、ちょっと血液多めにとらなきゃだから我慢してね。ジミナ力抜いて〜。気分悪くなったら言ってね。」
やっとうまく行ったことに内心安堵したけれど、針が刺さっている間の嫌な感じ…たまらない…(泣)。どうしても、力が入ってしまう。
「ジミナ、こっち向いてな。すぐ終わるから。」
テヒョンが、僕の顔を反対の左側に向かせてくれた。
「ほら、見てたら余計痛いでしょ?楽〜にしてな。…ねぇ、今日の検査全部終わったらさ、売店行ってジミナの好きな物買おうよ。何がいい?雑誌?お菓子?」
テヒョンが、僕の気を紛らわせようと一生懸命話しかけてくれてるのが分かった。
「え、えっと…雑誌…新しいの出てるかなぁ…」
「今日発売日じゃない?後で一緒に見に行こうね!」
話している間に、採血が終わったみたい。
「よし、針抜くよ〜。はい終わり!ジミナ、気分はどうかな?」
「うん〜ちょっとフラフラする…気持ち悪い…。」
「そかそっか。結構沢山血とっちゃったからね…ごめんね。次の検査までまだだいぶ時間あるから、ゆっくり休んで。テヒョン、付いててあげてね。何かあったらすぐ呼んで?」
「先生了解〜。ジミナ一回寝てよっか。ずっとそばにいるからね。よしよし。えらかったね、終わって良かったねぇ。」
ジン先生が病室を出ていくと、僕はホッとして、ぐったりと目を閉じた。テヒョンが僕の右腕の注射跡を、そっとなでてさすってくれていた。
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