滉斗side
滉斗『はぁ…』
今日も今日とて残業。
会社のクソ上司に押し付けられた
仕事を真っ暗な会社でやる。
自分は飲みに行くからって他人に
仕事押し付けやがって…
こんなブラック会社早く出てってやる…!
俺は死ぬ気で仕事を終わらせて、
真っ暗な会社を後にした。
居酒屋で晩御飯を食べて、
少しだけ酒を飲んだ後、帰り道を歩く。
真っ暗で街灯も少ない帰り道。
この辺は不審者が出やすいとよく噂で聞く。
空き巣の常習犯だったり、
刃物を持ったおっさんが出るとか。
物騒な世の中だな〜なんて思っていたら、
後方から声の高い女の子の声がして振り返る。
??『お兄さ〜ん』
滉斗『え?何…?』
??『これ落としたよ』
俺がそう言うと中学生っぽい少女は、
小さな細い手に持っている財布を俺に渡した。
間違いなく俺の財布だ。
ポケットに入れておいたんだった。
疲れ過ぎて財布を落とした音も、
感覚もしなかった。
滉斗『ありがとう…てか君、何歳?』
??『ん?14だけど』
今の時刻は24時25分。
14歳って…中2か中3だぞ…?
高校生ならまだしも中学生でこの時間に
うろついてるのは、真面目に言って危ない。
滉斗『両親は?お家に帰りなさい』
俺がそう言うと中学生の少女は手を後ろで
組みながら下を向いてしまった。
何か気に触れる事を言ってしまっただろうか。
俺が慌てて何か言おうとした時、
中学生らしき少女が口を開いた。
??『両親遊びに行ってさ、お金ないんだよね』
滉斗『金がないって…
この辺不審者多いみたいだから危ないよ?』
俺がそう言うと中学生の少女は僕をじっと
見つめて言った。
??『お兄さん家泊めてよ、お願い』
あまりにもいきなり過ぎて頭が真っ白になる。
思春期の女の子を俺の家に…!?
俺誘拐犯で捕まるくない…!?
俺が慌てていると中学生の少女は
口元の両側に笑窪を作って笑いながら言った。
??『大丈夫、誘拐にはならないよ笑』
滉斗『でも…』
??『お願い、
ここ数日ご飯もまともに食べてないの』
真面目な顔をして言われたもんだから、
後には引けない。このまま彼女を家に
入れなかったら、彼女は餓死してしまうかも
しれない。これからの未来を作る人間の1人だ。
ここで亡くなられるのは未来の俺が
少し苦労してしまうかもしれない。
俺は渋々了承をした。
すると彼女は“やった”と言ってにこっと
可愛らしい笑顔を見せた。
俺は彼女の隣に並んで自宅へ招いた。
??『結構いい家住んでんじゃん〜』
滉斗『どうも…てか名前は?俺は若井滉斗』
俺がそう言いながら家の電気を付けると、
彼女は口角を上げながら言った。
元貴『大森元貴、よろしくね滉兄』
…え?“おおもりもとき”って言った?
“もとき”って…男だよね?
てっきり女の子かと思ってたんだけど…
俺がぽかんと立ち止まっていると、
元貴は、にひひっと笑いながら言った。
元貴『滉兄さ〜僕の事女子だと思ったでしょ?
ごめんね?男なんだ〜』
滉斗『そうなんだ…女の子かと…』
俺がそう言うと元貴は口元の両側に笑窪を
作って笑った。さっきは暗くて顔はあまり
見えなかったけど、随分と綺麗な顔をしている。
ぱっちり二重に大きな瞳。
特徴的で柔らかそうな唇。
少し伸びた前髪が左目を少し隠している。
初見で男だとは到底分からないくらい
可愛らしい顔立ちをしていた。
元貴『…見過ぎ、あんま見ないでよ』
滉斗『あごめん…』
俺がそう言うと頬をぷくっと膨らませて
そっぽを向く元貴。頬は少し赤くなっていて、
照れていた。学校でモテそうだな〜なんて
思いながら、俺は元貴に手料理を振る舞った。
少ない給料では、トマトパスタぐらいしか
作ることができなかった。
コメント
11件
わわ、めっちゃ神作の予感 幼児化以外で初めて見ました!続き楽しみにしてます☺️ (初め子供を使った新手のスリかと思っt…おっと危ない)
誰か国語辞典ください…語彙力がなさすぎて言うことない……呼び方可愛いし、そっぽ向くのも可愛い…非がないぜ…
え?なにそれあとでその写真送って!?