_君に触れた日。_
同棲生活、9日目。
夜のリビング。
明かりを落とし、テレビでゆったりと映画を観る2人。
おらふくんは、ポップコーンのボウルを膝に乗せながら笑っていた。
「このキャラ、ちょっとおんりーに似てるよね?」
「は? どこが。」
「そっけないけど、気づいたら助けてくれるところとか?」
「……それって、褒めてる?」
「うん。めちゃくちゃ褒めてる。」
ふいに、映画のクライマックス。
ヒロインが手を差し伸べ、主人公がそれをぎゅっと握り返すシーン。
その瞬間、おらふくんが――手を伸ばした。
まるで何かに導かれるように。
おんりーの手に、ふわっと触れる指先。
「あ、ご、ごめん!今の……無意識で……」
「待って。」
おんりーは、静かにおらふくんの手を取り返すように、自分の手を重ねた。
ぎゅっと、優しく。
「あったかい。」
「……当たり前でしょ、人間だもん。」
「そうじゃなくて……君の手が。」
テレビの音だけが静かに流れる部屋で、2人の間に流れる空気だけがやけに熱い。
沈黙の中、少しだけ視線を交わしたとき。
「ねえ、おらふくん。」
「……なに?」
「君のこと、考える時間がどんどん増えてる。」
「……それ、俺も言おうと思ってた。」
視線が重なる。
呼吸が合う。
けれど――まだ、ほんの少しの勇気が足りない。
だから、今日できたのは、ただ手を繋ぐことだけだった。
でもそれで、十分だった。
おらふくんは、手を握ったまま目を細めて微笑んだ。
「……今日、ちゃんと覚えておくね。」
「ん?」
「おんりーが、初めて“手を離さなかった日”。」
それは、“触れた日”であり、
同時に――恋が始まった日でもあった。
やっぱりqnorはよきよき
次回もお楽しみに!
ではではおつら!✌!
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