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お化け屋敷へ
ある夏の日。この日偶然にも暇な日が重なった5人は一つのポスターを眺めている。そのポスターは近くに期間限定で出来たお化け屋敷の告知。
「アユ~これさぁ。」
「行きたいね。」
「近いしね。」
「片道50分以内。」
「よし行くか。」
「ひぃ!?」
『けってーい!』
(強制的に)いくことが決まった瞬間であった。
否応なしに連れてこられた約1人はお化け屋敷を前にメイの後ろに隠れている。
「や、止めない?帰らない?」
「ここまで来たのに帰れないよ!」
「そーだそーだ!」
「ここまで来ちゃったんだし諦めなよ。」
「ううぅぅぅぅ。」
ユユカはガックリと肩を落とした。
そんなユユカとは逆に目を輝かしているのはアユとチイそして意外にももう一人ソラだ。
「楽しみだねぇ!」
「楽しみぃ!」
「だぁ!」
そんな三人を暖かい眼差しで見ているのはユユカが服を引っ張っているメイ。
「…………。」
無言のままで三人を見る姿は母親のようだった。
いざ中に入ると
「うわぁぁぁぁ!?」
「!?」
「もういやぁ!!」
「(今日も元気だぁ)」
「ぎゃぁぁぁ!?」
上から順にソラ、メイ、ユユカ、アユ、チイだ。
アユは笑っているものの右隣に居るチイに二の腕をバシバシと叩かれ(どちらかと言うと殴るに近い)「右腕が痛いなぁ」と思っているくらいだ。痛さで恐怖が薄れていると言って良い。
ついでにまだ序盤である。
中盤に進む頃には
「ぎゃぁぁぁ!?でたぁぁぁ!?」
「ぅわ!?」
「グスグス」
「ぅん?何かいた?」
「ゼーゼー。」
上から順に先程と同じである。
ユユカはメイの腕にしがみついたまま涙ぐみ、チイは序盤に叫びすぎて少し疲れたらしいが相変わらず驚くとアユに一発入れるのだからアユの右腕は痛いままだ。「あとどれくらいかなぁ。」とアユは一人恐怖が薄れていると実感しながら歩き続けている。
そろそろ終わりというとき
「うわぁぁぁぁ!」
恐怖のあまりソラが皆を置いて走り出した。
「あ。」
「逃げた。」
「…?」
「あ~あ。」
四人(一人はわかってない)がそれぞれに走り出したソラを見て呆れた。
次の瞬間
「うわぁぁぁぁ!?」
突然横から現れたモノにソラが驚きずっこけたのだ。
思わず全員が吹き出した。今まで泣きそうになっていたユユカも笑っていた。そんな中アユは誰よりも爆笑しながらもソラのもとに向かった。ソラは驚きすぎたのか正常な判断ができていないのか、腰が抜けたのか立ち上がることはせず「え?え!?」と辺りを見回している。
「ほら立ちなよ。ずっとそこに座ってるの?」
「そ、それはやだ!!」
アユが手を差し出すと勢いよくその手を握り、辺りを気にしながらも立ち上がった。
「腰打ってなーい?」
チイがニヤニヤしながら問うと
「打ってない!」
とアユの後ろに隠れながら答える。
「ふーん。」
チイはまだニヤニヤしている。
「先にいくからだよ。」
「無謀にも走っていくから。」
メイとユユカもここぞとばかりにソラを弄る。
「うぅ…。」
恥ずかしそうに俯くソラはアユの背中を押す。
「はいはい。わかったよ。早く出たいんだね。」
アユはまだ少し笑いが収まっていないがソラに押されるままに足を進めた。
とはいっても数十歩進めば出口だったのでアユは笑いながら外に出たことになる。
「ほんとにあと少しだったのにwww」
「最後の最後にwww」
「やらかしたなwww」
「……うぅ。」
恥ずかしさのあまり顔を赤くして肩を震わせているソラに
「ドンマイ。」
ユユカが生暖かい眼差しで慰めた。
ソラにとってそれが慰めになったのかは定かではないが、一つだけハッキリと言えることがある。
それは
「あの時のソラ面白かったぁ!」
「ねー。」
「ねー。」
「あ、思い出したら笑いがwww」
「もうやめてぇぇぇ!!!」
そのときの話がこれからも笑いのネタとして扱われるであろうことである。
いつまで言われ続けるのか
ソラの新たな悩みが出来たのであった