第3話
花咲病にかかって1ヶ月。俺の体には少しづつ変化が訪れた。
「やっぱり、おっきくなってるし、花が取れなくなってる…」
俺の体に咲く花は、最初はとっても小さかったのに、今ではバラぐらいの大きさになってきた。
この大きさだと、服で隠してもすこしシルエットが写ってしまう…。また、それを防ぐために、俺は花をいつも通り取ろうと思ったが、花は日に日に強い根っこを貼るようになり、花が取れなくなった。こうなってくると俺の病気がバレるのも、そう遠くはない。
そこで、俺はある人の元へ向かった。
ピーンポーン
「はーい!」出てきたのは、
「おっ!佐久間じゃん!お久!ほら!上がって上がって!」
俺の大好きで尊敬する先輩、宮田くん。
なぜ俺が宮田くんの元を訪れたかと言うと、彼は【経験者】だからだ。
「お邪魔します」そう言って入る宮田くんの家の匂いはいつも一緒。彼の匂いだ。
「挨拶してってもいいですか?」
「うん!していって!あ、勝手に入れたら嫉妬しちゃうかな?笑」
「ですね笑」
俺が挨拶をすると言って、向かったのは、仏壇。その仏壇にある遺影の彼は、玉森くんだ。
「玉森くん。お邪魔しています。安心してください。俺には好きな人がいるので!」
『安心なんてできるものか!』そんな声が聞こえた気がした。
「で、佐久間が俺のとこに来るってことは、なんか相談事?」さすが宮田くん。俺の事わかってるなぁ
『宮田が見てんのは俺だよ!』ちょくちょく玉森くんらしき声が聞こえるのは無視しておこう
「宮田君は鋭いですね笑そうです。今日は相談事があって来ました」
「なんでも聞くよ」宮田くんの声は優しく、俺は素直に自分の病気のことを話した。宮田くんは奇病について理解がある人なんだ。だって、宮田くんの彼女である玉森くんは奇病で死んだから。
「俺、玉森くんと同じで、奇病にかかったんです。治療法がなくて、あんまり前例の無い病気で、今、必死に隠してたんですけど、もう隠しきれない状態まで、病気が進行しちゃって…」
そう言って俺は自分の袖をまくしあげ、宮田くんに花で埋もれそうな俺の腕を見せた。宮田くんは嫌な顔1つせず、笑顔でこう言った。
「誰かに言った?」
「言ってないです」俺はこう答えることしか出来なかった。宮田くんは、玉森くんが死ぬ直前に玉森くんが奇病だったことを知ったから、誰かに言う。その選択肢の重要性をとにかく知っている
「佐久間、迷惑かけちゃダメ。そうやって考えるのもわかるよ。だって玉もそうだったから。でもね、残されたメンバーは頼られなかった悔しさ、無念さ、そして大好きな人を失った絶望感に襲われるの。その思いは迷惑よりも嫌なやつだよ。だから、言わないと。大丈夫。否定的なこと言われたら俺のとこ来ていいから。わかった?言うんだよ?」やっぱり、宮田くんに相談してよかった。俺は改めて感じた。
「そういえば、もうすぐ玉森くんの命日ですよね?」
「よく覚えてるね。そうだよ、玉が本当の幽霊になっちゃったんだよね…」「星に願いをや運命みたいになったら、もう1回やり直したいな…」
「玉森くんってどんな感じで死んじゃったんですか?」
「って、めっちゃ無神経なこと聞いてごめんなさい
「聞きたい?」俺はその問いに素直に頷いた。そしたら宮田くんは変わらぬ笑顔で、話してくれた
「玉は、綺麗な旅立ち方だったよ」
続く
コメント
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今日始めて読んだけど めっちゃ面白くて、悲しくて… 続き楽しみです!