彼女……正確には彼女の霊を横抱きして天へ逝く。
苦しい……息ができない……喉が熱い……痛い痛い痛い苦しい!!!
「ん……あ、れ、天使、さん……?っ……!?私、喋れてる!?!!?」
「っ……ちょ、と……だっま、で……」
「……天使さん、どうしてそんなに苦しそうなんですか?」
「君、今ぐる、ぃく、な、いだろぉ?き、みの、痛みがぼ、くへ、移動しぁんっだよ」
「……そう、なんですか」
「っ……はっ、うぁ」
あと少しだ。
あと少しで上の世界だ。
そう思った途端、白いふわふわしたもくもくした何かがぼくたちを包み込んだ。
にこりの雲、か。
今回ばかりはあいつに救われたな……。
雲に身を委ねて上へ連れていってもらう。
ふわふわもくもく、上へと。
「私、もう、戻れないんだなぁ……」
彼女の瞳から水が頬を伝って下へと堕ちる前に。
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