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『BLACK cat school』〜スクールライフは恋と波乱!?〜
課外授業 俺だけを見てて欲しい……
〜✝️🦋🦾🌹〜
これは体育祭練習が始まる少し前の物語――。
3年A組 ハウレス・クリフォード
『はぁっ!!』
ベシンッ!ベシンッ!
俺は剣道部の部室で竹刀を竹棒に向かって振るっていた。
『……ふぅ。』
『お疲れ様、ハウレス。』
『は、華さん。どうしてここに…』
『ハウレスに差し入れを持ってきたの。はい、はちみつレモン。』
『華さんが作ってくれたんですか?』
『うん。』
『美味しそうです…ありがとうございます。』
『ふふ。どういたしまして。』
『あの…良ければ一緒に食べませんか?』
『え?』
『華さんが隣にいてくれた方が安心するので……』
『わかった。一緒に食べよ。』
『ありがとうございます。』
私はハウレスの隣に座った。
『体育祭楽しみだね。』
『はい。部活動対抗リレーは負けられません。その日の為に俺は鍛錬してきたんですから。』
『ふふ、ハウレスならきっと勝てるよ。』
『華さん…。っ、あの…! 』
『?』
ハウレスは私の目を真っ直ぐ見つめる。
『体育祭で優勝したら…伝えたいことがあります。』
『…!』
(それって…っ。)
『俺、絶対勝ちますから。ファンクラブの特典でも。全体でも。』
『ハウレス…っ。』
私は返事はしなかった。ただ…ハウレスを見つめるだけ。
3年A組 フェネス・オズワルド
『……。』
私は図書室で本を探していた。
(ハウレスも…きっと私に…っ。)
『華さん?』
『わっ!』
急に声をかけられてびっくりしてしまう。
『フェ、フェネス…ごめん、びっくりして…っ。』
『い、いえ、こちらこそ…っ。何か悩み事ですか?』
『う、ううん。悩み事ってほど…ではないけど……』
(言っていいのかな?フェネスに…。)
『……もしかして、体育祭のことですか?』
『え…?知ってるの?』
『知ってるも何も…俺のその1人ですから。』
『っ…!』
フェネスは本を片手で抱え私を本棚越しに壁ドンした。
トン…ッ。
『その悩み事の原因が俺なら良かったのに…。俺はハウレスや他のみんなみたいに強くないし、頼りないかもしれません。だけど……
貴方を思う気持ちだけは誰にも負けません。』
『フェネス…。』
『この気持ちだけは譲りませんから。』
『フェネス…っ。』
3年A組 ボスキ・アリーナス
『ふわぁ〜寝みぃ。』
『もう少しで終わるから…。』
私はボスキに頼まれ、教室で髪を結んでいた。
『…。』
(本当に綺麗な髪だな……。)
『はい、出来た。』
『ありがとな。華。』
『私じゃなくて同じクラスの子に頼めばいいのに。』
『…俺の髪を気安く他の奴らに触らせたくねぇんだよ。華は……俺の特別だからな。』
『え……っ。』
『……俺の気持ちに気付いてるんだろ?』
『え……?』
『俺が…あんたに気があるってこと。』
『ぼ、ボスキ…』
ギシッ
ボスキは椅子から立ち上がり私の髪を一束掬う。
『俺が本気で惚れたのはあんただけだ。』
チュッと髪にキスをする。
『俺が勝ったら…その答えを聞かせてくれ。まぁ、俺ははいしか聞かねぇが。』
『ボスキ…っ。』
彼の長い髪が風でたなびいた。
その光景をただ見ることしか出来なかった。
2年A組 アモン・リード
『さてと、部活も終わった事だし華さんに会いに行くっすかね〜。』
俺は吹奏楽部の部室に向かった。
『…ん?音が聞こえる。』
•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎
綺麗な音色が廊下まで響いていた。
『綺麗だな…まさか、華さんが…?』
俺は吹奏楽部の部室の窓から中を覗いた。
『……。』
そこには静かにピアノを弾く華さんの姿が。
『っ……。』
(凄く綺麗っす…。)
『…ふぅ。ん?』
視線を感じて窓を見る。
『あ…』
『アモン?』
私はドアを開ける。
『す、すみませんっす。音が聞こえたので……』
『ふふ、大丈夫だよ。…私がピアノを弾くのは気持ちを落ち着かせたい時なんだ。』
『気持ちを?』
『うん。悩んでる時とか落ち込んだ時はこうしてピアノを弾くの。』
『そうなんすね…でも…しばらく気持ちは落ち着かないかもしれないっすよ?』
『え、それってどういう――』
アモンは私の頬にキスをした。
チュッ……。
小さなリップ音を立て…唇は離れた。
『これは…予約っす。華さんは俺のものって。』
『っ……?』
『体育祭では俺だけを見てて欲しいっす。
他の男に目移りなんてされたくないっすから。』
『アモン…っ。』
青春ってなんて残酷なんだ。例えば私が1人好きになって告白しても、他のみんなは報われない。
だって、他のみんなはその1人だけをずっと好きでいたんだから。
想われる立場っていうのは…残酷でどこか儚い。
次回
課外授業 もう我慢しません……
〜🍷🗝⭐️〜