前回から結構間が空いてしまった……
がんばります。
5話目っ!
|クヌギmain
体育祭が終わって、じわじわと中間テストが
迫ってきている6月中旬。
5限目の始め。
オレは数学の抜き打ちテストの結果と
にらめっこしている。
どれだけ先生に採点ミスがないか見直して
もらっても、先生の丸つけは完璧だった
ようでオレの答案用紙には「21点」と
しっかり書いてあった。
どうにか31点とかに見えないだろうか。
そう思ってると、見たことがある金髪が
目に入った。
「また赤点かよ」
60点と書かれた紙をひらひらさせている
サカキに鼻で笑われた。
「補習には付き合ってやんねーからな」
「……なにかってほしい?」
「マクド」
「1000円以内!!」
「しゃーねーな」
よし、サカキは承認してくれた。
あと……、
「ねえねえシオン!」
「マックならついてってあげる」
「うえー!!」
そこをなんとか!と
オレは頭を床につける。
それはもう綺麗にびったりと。
教室にいる人々の視線はオレらに向く。
先生がこちらを呆れた目で見てる気がする。
「あーはいはい」とシオン。
これで2人を補習に巻き込むことには
成功した。
「んじゃあ私、
後で先輩に連絡入れとく から」
「さすが」
「ふん」
シオンは当たり前、という言うかのように
鼻息を漏らす。
補習を受ける人の名前が呼ばれていって、
その後ぬるっと授業が始まった。
「それにしても、補習長かったねえ」
と、ケヤキ先輩。
確かに今日は先生の熱が入っていて、
いつもの時間よりかさ増しされた。
窓から微かに雨の音がする。
オレたちが今いるマックの店に入った瞬間
一気に降ってきたのだ。
オレンジ色の照明に照らされてオレらは
イスに座っている。
人は少なく、店内は静かだ。
「最近あんま集まれなかったよな」
「そうそう、久しぶりだよね」
そう何気ない会話をしながら
それぞれ頼んだハンバーガーやらジュース
やらポテトやらを自由に頬張っている。
サカキは今になって親に連絡をしている。
コイツは通信料を気にするタイプなので、
親に電話は滅多にかけないんだとか。
「うわっ」とシオン。
「うわー……」とオレ。
「おー」と先輩。
全員サカキの予測変換に映し出された、
「クソババア」という文字に対して
反応している。
「あんた、実の母をそう呼んでんの?」
「そーゆーの良くないと思う」
「年頃って感じ〜、やめた方がいいよ」
先程と同じ順番でサカキを責める。
「うるせえな!」
サカキが顔を真っ赤にして言う。
そのあと、流石に3人に怒られたのが
メンタルにきたのか少し大人しくなった。
すっかり空っぽになったハンバーガーの
容器とオレの財布の中身。
シオンの分も奢るんだったことを忘れてた。
先輩が何百円か出してくれて助かった。
雨は止まなくて、店から傘を借りた。
サカキたちに手を振って、
ケヤキ先輩にも挨拶しなければ
と振り向くと
「クヌギくん」
そう呼ばれて、後ろに先輩が立ってた。
その声は少しだけ曇ってるような気がした。
「ケヤキ先輩、オレ帰ります」
「でもこんな雨でしょ?」
「はい、?」
周りは土砂降りで、雨粒は酷く冷たかった。
オレは薄々嫌な予感がした。
「サカキくんのほうはシオンちゃんが
いるから大丈夫だと思うし─、 」
先輩。それはちょっと。
「私がクヌギくんを家まで送っていくよ。」
まずい。 それは無理だ。
だって、オレの家には、母さんがいる。
仏壇もなにも飾らず、ただ棚の上に
雑で、綺麗に、母さんの遺影を飾ってる。
誰にも、一度も、
自分の家族の話をしたことはない。
家の場所だって通学路だって、
誰にも悟られないように生活していた。
いくら仲のいい先輩でも、
本当に、本当に駄目なんだ。
「大丈夫ですって!オレ目良いし、
ちょっと薄暗くても平気です!」
「………………そっか」
「ハイ!また明日、先輩!」
意外にあっさりと先輩は手を引いてくれた
ので、オレは安心して足を進めた。
家に着くまでに、
思ったより辺りは暗くなってしまった。
少しだけ霧も出てきた。
鍵を開けてやっと家だと思ったとき、
「クヌギくん」
さっきも聞いた。あの声。
先輩……?
先輩?!?!?!?!
雨が降ってる中の飲食店?カフェ?の雰囲気
が好きです。特に夕方くらい。
オレンジ色の照明がエモいです。
ではまた次回!
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