テラーノベル
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あれから何日過ぎたのだろう
この部屋にはカレンダーもなくスマホも持って来なかった
あの時から俺は叶さんの部屋から出してもらえずにいる
俺の体は疲れていて常に怠く、食欲もない
俺はここで毎晩叶さんに抱かれ、眠り、ボーッとして過ごしていた
それでも何か口にしないと‥‥
そう思い冷蔵庫を開ける
中にはいつもの食事の他に、カップに入った色んなフルーツが用意されていた
シャインマスカット、メロン、ラフランス、イチゴ、マンゴー‥‥
俺はラフランスと書かれたシールが貼ってあるカップを手に取った
蓋を開けて一緒に添えてある串に刺し、ラフランスを一口頬張る
良い香り‥‥
そう言えば小さい頃に食べた記憶が蘇る
その時から好きな味だったかも‥‥
懐かしい思いに浸っているとドアのノックする音が聞こえた
誰だ?
ノックなんかされても俺は出る事が出来ないのに
「‥‥はい」
「ロウ君?」
「え、セラさん?」
ドアの前に駆け出す
開けることの出来ない扉に両手を付いた
「ロウ君、大丈夫?」
「セラさん‥‥」
「今ちょうどこの家には俺とロウ君しかいなくて‥‥ここ、出られないの?」
「鍵がないと‥‥」
扉越しに聞いたセラさんの声
声だけでもこんなに嬉しい
「なんでこんな事に‥‥このドア壊そうか‥‥」
「やめてっ!そんな事してセラさんが‥‥」
「あの日、あのまま寝てないでロウ君連れてこの家出れば良かった」
バンッ!
扉が強く叩かれる
セラさんが殴ったんだ
「怪我するから‥‥」
「どうしたらいい‥‥助けてあげたいのに」
「もう少し‥‥何か状況が変われば」
「このまま待ってたらお前が叶さんのものになっちまう」
「‥‥書類上だけだから」
「そんなの分からないだろっ!」
「何を騒いでおられるんですか、セラフ様。叶様の部屋の前で」
「あ‥‥‥‥」
家政婦さんの声?
俺たちが騒いでたから‥‥
「この事は叶様にお伝え致しますから。セラフ様はお部屋にお戻り下さい」
「待って!俺が悪いんだ、俺の心配して様子を見に来てくれただけだからっ!それだけなんだから叶さんに言わなくても‥‥」
「私が聞いた事のみをお伝えさせていただきます。さぁ、部屋にお戻り下さい。それまで私がここにいますので」
「‥‥‥‥」
静まり返る扉の外
お互いここを去ったのだろう
この家で俺達が安心できる場所なんて無い
その夜
叶さんの持っている本をソファーに座り読んでいると、いつもより乱暴にドアが開き叶さんが帰ってきた
そして本を取られ腕を掴まれる
「叶さん?」
「‥‥ただいま」
「おかえりな‥‥んっ!‥‥」
強引に口を塞がれ壁に押し付けらる
凄いアルコールの匂い
キスだけで酔いそうだ
壁に押さえ付けられたまま、服を緩められる
俺の素肌に叶さんの舌が這っていく
「叶さんっ‥‥待って、扉が‥‥」
「‥‥‥‥いいよ、今日葛葉いないし」
「や、でもっ‥‥んっ‥‥叶さんっ!」
叶さんは扉をチラッと見るだけで、また俺の身体を貪っていく
今日の叶さんはおかしい
こんなにお酒に飲まれるなんて‥‥
俺はされるがままに叶さんに身体を奪われていった
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コメント
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家政婦さ~んタイミング.... ( ᐛ )<ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ! かなかな酔ってんな~どうなるんだロウ